バナナは花粉症に効果がある⁉さらに美白効果って話をじっくり検証してみました その2 有効成分は何?

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前回、バナナ2本を毎日食べ続けると花粉症の症状が軽くなる、という話からそれを裏付ける研究論文、さらにその論文の問題点を僭越ながら指摘させていただきました。ある食べ物が健康にいいよ、という話の真贋を明らかにする場合、病気を抑える効果、花粉症の場合であればくしゃみや鼻水、あるいは目がかゆいといった症状を予防したり緩和するのであれば、食品に含まれいている成分が作用しているはずです。

バナナが花粉症に効果があるのなら、その成分はなんなんだ?

バナナのスギ花粉症予防効果(研究紹介)___バナナ大学 2

バナナ大学https://www.banana.co.jp/nutrition-function/preventive-effect/influence01/

このような人を対象としてバナナが果たして花粉症に効果があるか?を筑波大学の研究チームが検証しています。

柳の鎮痛作用を調べることによって、サリチル酸が見つかりそれを化学的に合成したものが解熱鎮痛作用があることで有名なアスピリンです。自然界に存在するものに薬効があり、それを抽出して効果をもつ物質を特定する、さらにそれを化学的に合成する、というのが医薬品の開発の歴史です。

バナナが花粉症を抑える、あるいは予防する効果があるのなら、その薬効をあらわしている物質を特定することが必要となります。バナナに含まれている「オイゲノール」という成分がアレルギー反応に対して影響を与えている、と考えられているようです。

聞きなれない「オイゲノール」とはなんなんでしょうか?「オイゲノール」は英語では「eugenol」。このオイゲノールはフェニルプロバノイドという化合物の仲間に含まれます。健康に良いイメージがあるポリフェノールに分類される化合物のいくつかも、このフェニルプロパノイドに含まれます。簡単に整理するとオイゲノールはポリフェノールの仲間だから、多分体に良いんじゃない、健康に良いんじゃない、という考え方が成り立ちます。

バナナが免疫反応に関連している可能性??

バナナが花粉症に効果があるとしたら、花粉症はアレルギー反応によって起こるのですから、バナナがアレルギー反応を起こしにくくする、あるいはアレルギー反応が起こらないような成分を含んでいる、という仮定が成り立ちます。この仮定を裏付ける成分がこのオイゲノールのはずなんですけど⋯。

以前、ファイトケミカル(正式にはフィトケミカル)って言葉があり、フィトケミカルがダイエットをはじめエイジングケア・免疫・ガン予防に効果を発揮する、という理論の危うさについてブログに書きました(長生きの決め手は「酵素」にあった⁉は理解不可能 酵素栄養学は間違いなく疑似科学です)。このファイトケミカルを第9番目の栄養素だ❗と声高に叫ぶ一派の怪しげな健康理論はスタンダードな医学・科学を学んだ人間には理解不可能なのです。

バナナが花粉症に有効である、という考え方の裏付けがオイゲノールという成分でありオイゲノールはファイトケミカルなんで免疫系に影響を及ぼすという理論というか、流れで「バナナは免疫系に影響を与えるので花粉症に効果がある」ということになっています。

オイゲノールが果たして本当に免疫系統に関連していて、アレルギー反応の一つである花粉症の予防、あるいは花粉症対策に効果を上げるのかを証明した理論や論文を探してみました。

バナナの成分であるオイゲノールと免疫システムの関係

バナナが免疫システムに影響を与えることで初めて「バナナは花粉症予防に効果を発揮する」とか「バナナを食べると花粉症対策になる」と言えます。ファイトケミカルの一つである、ポリフェノールの仲間で構成されたバナナと免疫反応を研究した論文は幾つがありましたが、医学論文としては「Eugenol modulation of the immune response in mice」(Immunopharmacology Volume 12, Issue 3, December 1986, Pages 187–1929)が一番バナナ花粉症に効果あり説を説明できるものかと思います。 著者に日本人らしき名前がありますが、カルフォルニア大学で生理学や毒物の研究をしている方のようです。論文の内容をざっくり伝えるとオイゲノール(バナナの有効成分)は免疫反応を増強するとなっています。免疫反応を増強する、って⋯アレルギー反応がより強く出る、ということなんじゃないかな???

バナナの成分の一つであるオイゲノールが心臓病のリスクを減らす、などのポリフェノールおよびファイトケミカル健康に良い説を裏付けるような研究論文もありますので、バナナが健康に良い、と考えて差し支えないのです。

残念ながらバナナが花粉症の症状を抑制したり、予防に効果があると断定できるだけの論文を見つけることはできませんでした(どなたか見つけたらお教えくださいませ⋯薄謝進呈)。

結局のところバナナは花粉症対策に役立つのか?

医学論文を振り回し、バナナを食べることが果たして花粉症の対策になるのかを検証してまいりました。バナナは確かに免疫系統になんらかの影響を与える可能性があることは幾つかの医学論文によって可能性があることがわかりました。しかし、バナナが花粉症の原因であるアレルギー反応に対して、その反応を抑制してくしゃみや鼻水、目のかゆみを確実に抑えるという効果に対しては明確な理論は現在のところ無い、と判断していいと考えます。

私が子供の頃はバナナは高級な果物でした。今ではスーパーなどの食料品店でブランド物でも一本100円程度、安いものだと一袋あるいは一房で150円程度で販売されています。花粉症に効果を発揮する抗ヒスタミン薬と呼ばれる処方薬は多くの種類がありますが、先発品で一錠100から150円程度、ジェネリックだと70〜50円程度です。保険診療で処方される場合は患者さんの負担はその3割なので1日分の薬の負担は50円から20円程度になりますので、バナナと同様あるいはバナナ以下の費用で花粉症の症状を抑え込むことが可能となります。

ちなみに医師が自分が花粉症であった場合に処方する薬はこんな薬です(眠くならない花粉症の薬、医師は自分で何を処方しているか?
経済的な点から考えた場合大きな差にはならないバナナと花粉症の処方薬です。食べて美味しいのはもちろんバナナですよね、だから花粉の季節はバナナを毎日2本食べて(2本だとバナナの方が少し高くつきますけど)切り抜けよう❗ってことに⋯なりません。なぜならバナナが明らかに花粉症を予防する効果があることの裏付けとなる論文は幾つか問題点があることは前回のブログで書きましたので、お時間がありましたらご覧ください。

次回はバナナに美白効果がある、という話の真贋を追求してみますね❗

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バナナは花粉症に効果がある⁉さらに美白効果って話をじっくり検証してみました その3 バナナの美白効果は本当か?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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