「不食」って知っていますか?全く食べ物を食べないで、水も飲まない人たち❗

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ファスティング、断食、プチ断食、1日1食、などの「少食で健康になろう」という感じの本が出回っています。

私自身1日に三回しっかり食事を摂ることはほとんどないのでこれらの少食主義が健康的か、健康的じゃないのか、は不明ですけど、少なくとも生命を維持することが可能なのは自分で実証済みです。「少食で健康になろう」カテゴリーのなかで「不食」というものがあります。

「不食」ってそもそも何なのよ??

不食は全く食べ物を食べないで、上級者になると水も飲まないで生活するという医学だけではなく、科学的に信じられない生活を送っている人が実際に存在するようです、というか存在していると主張しています。

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http://www.fao.org/hunger/en/より

世界中ではこれだけ多くに地域が「飢餓」が問題になっていますから「不食」で健康になれるのが本当なら、世界中の飢餓問題が一気に解消します❗

『食べない人たち「不食」が人を健康にする』(マキノ出版)という本があり、帯には「六年間水も飲まない弁護士」「18年間1日青汁一杯の鍼灸師」(例の1日50kcalで生活してる、あの方です)「不食の人体実験に自ら挑んだ思想家」の3人の「不食」体験が紹介されています。

奇抜な健康法についての調査・批評・批判は医療関係者が書いたものに対してのみ行なうのが私のポリシー(例外もあります)ですから「思想家」が書かれた章は飛ばします。

六年間、食べ物だけでなく水さえ飲んでいないとの弁護士さんは、経歴のところに医師では無いようですが「医学博士」とも書かれていますので今回の調査の対象とします。

「不食」って、モチロンなんにも食べないってことですよね

日本語って漢字自体が意味を持ちますので、便利な反面、云わんとするニュアンス通りに使用されないこともあります。そもそも「不食」の「不」というのは⋯と始めると周囲の理系中心のオッサンの中にも文系に強い人がいるんで止めときます。

本来なら「無食」とするべきですが「無職」と伝わる可能性がある為に「不食」という新しい言葉を造語したと予想します(ちなみに私のPCは「ふしょく」とタイピングすると「腐食」になってしまいますwww)。

弁護士さん兼医学博士(どうもディプロマっぽいですけど)によれば「不食」とは

「物質的な食物を摂取しなくても、人は生存できる」ということを証明するための生き方といってもよいでしょう。

と著作中で定義してくれていますので、この定義にしたがうと、青汁50kcalの鍼灸師の方より理解しがたいことになってきます。不食の弁護士さんは「断食」とは別物とも述べられていますので、私の解釈は間違っていないようです。

「不食」の内容はオカルト・疑似科学・疑似医療のオンパレード❗

不食本の著者が「スピリチュアル弁護士」と自称しだすあたりから、雲行きがかなり怪しくなってきます。「プラーナ」という不思議な言葉が途中から再三登場してきます。「プラーナ」は本来はサンスクリット語の仏教用語で「呼吸」を意味するようですが、日本語だと人間だけでなく植物でも使用出来る「息吹(いぶき)」が適切かも、と思われます。

この「プラーナ」は「宇宙のエネルギーである気」のことらしく

「プラーナ」を取入れることで、食べ物はもちろんのこと水さえも飲まないで、生命を維持している

そうです。

青汁の方はあり得ない理論ですけど、光合成で生命を維持しているような記述が他の著作にありました(笑)。しかし、「宇宙のエネルギー」となると完璧にあちら側にいってしまったとしか考えられません。

次々にオカルトをイジルの大好き・懐疑主義者が攻撃する用語の「気功」「ホメオパシー」「人体のエネルギーライン」「波動」等の言葉が登場します。さらに読み進むと決定打的にどんな場合も絶対に認めることのできない「フリーエネルギー」に到達してしまいます。この本は確実の非科学的であり、医学としては全くもって方向違いの「自己啓発本」だったんですね、オカルト・スピリチュアルのテイストをプラスした。

「不食」で世界の飢餓を救おう❗はさすがにマズいのではないでしょうか?

精神的な飢餓感と食べ物への餓えは別物と主張されている著者です。さらに強烈なことを三番目の思想家の方は述べています

なぜ餓死があるのでしょうか。恐怖が餓死を引き起こす、と考えてください。

こんなことを本気で述べている方々がいるなんて⋯。世界連合食糧農業機関(FAO)やユニセフの努力はいったいどうなるんでしょうか??

つなぐよ子に~ユニセフ・マンスリーサポート・プログラム
ユニセフのサイトより

この「食べない人たち」という本は怪しげな健康グッズを販売したり、指定した健康食品に誘導したりするものではないのが不幸中の幸いです。このような極端な主張は権威のある科学者や医師は無視しますので、権威も地位もない私が批判させていただきました。

著作権法や不正競争防止法、知的財産権を専門とされる「医学博士」と著者経歴に書かれているこの弁護士さんから警告の内容証明が届くことを恐れながらこのブログをアップしちゃいます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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