すごく効果のある「グラッシュビスタ」というまつげの美容液が医師的に気になって調べてみました。
効果はあるにしても医師として気になるのは副作用です。
まつげ美容液なのに副作用?多くの方がそう思われるかもしれません。女性のみなさん、まつげ美容液なのに早産、流産、胎児死亡の副作用があると知ったら、どうしますか?それでも使いますか?
グラッシュビスタは確かに効果があるけど、女性の興味を引く睫毛の美容液の問題点
先日、デパートの化粧品売り場をウロウロしていたら男性化粧品専用売り場がありました。男性化粧品❗なんて反応をするほど純情ではない私は「男性化粧品の世界市場は韓国が抜群なんだよね」なんて豆知識(以前ブログでとりあげましたんで調査済み)を披露しながら、男性専用化粧品売り場を覗いて飛び上がりました❗まつげの美容液FOR MEN❗つまり、男性でも睫毛を濃くしよう、長くしようと思っている人がいるんですね。(追記 2014年10月24日の午後に再度確認しに行ったところ、男性化粧品のコーナーの横にまつげの美容液が販売されていて(処方薬じゃないですよ)、店員さんに尋ねたら「ピンク色のパッケージなんで、女性が買います」とのことでした。「FOR MEN」は私が勝手に思い込んだだけだったんで、訂正してお詫びします)
今年になって
「グラッシュビスタ」という薄い睫毛を改善する外用薬として2014年3月に厚生労働省によって製造販売が承認されました
処方薬ですから適応症が決められていて、まつ毛貧毛症(睫毛貧毛症)が対象となっています。有効成分はビマトプロスト。しかし、実情としてはまつげの美容液として処方・使用されることになると予想しますので、この塗り薬について検討を加えてみます。
四ヶ月使用した後の症例写真です。確かにしっかりとした睫毛になっています。
確かに以前から緑内障の点眼薬の副作用として、まつげが濃くなることが知られていてその副作用に焦点を当てたのが「まつげの美容液」と呼ばれる一連の商品です。
以前もブログで「まつげの美容液」の海外での強烈な副作用を報告しました(関連エントリー 「まつげ美容液」の思わぬ副作用。)今回はこのグラッシュビスタの効果と副作用をてんびんにかけてみます。
グラッシュビスタの効果
国内では販売されていない時期には海外旅行の気軽なお土産として「リバイタラッシュ」「ルミガン」「ラティース」などが知られています。もちろん毛根が無くなっているような場合の薄いまつげ(睫毛貧毛症)の場合は効果がありません。ポイントとしてまつげ美容液に効果は
睫毛の長さ、太さ、濃さを増加させる効果
ということになります。頭髪の育毛剤と同じであり発毛剤ではないと考えてください。グラッシュビスタという睫毛美容液の効果は
・77.3%(68/88例)が改善した
ということですので睫毛の美容液としての効果があったことは間違いありません。
アラガン・ジャパンのサイトより
グラッシュビスタの効果についての判定は「GEA-J」という評価スケールを使用したようです。「日本人用画像数値化ガイド付き総合的まつ毛評価スケール」という評価方法・判定方法がどのような基準で作られたのかは不明でスタンダードなものではないので、このグラッシュビスタの為に作られた評価方法なのかもしれませんね。
グラッシュビスタの副作用とその対策
全く効果のない薬とうのは「生理食塩水」以外は知られていません。医師が薬を処方する場合は常に得られる効果と万が一の不利益である副作用を天秤にかけながら判断していきます。たとえばデフェリンゲルというニキビの特効薬はそれ自体では実験でも起こっていない副作用である催奇形性を危惧して妊娠する可能性がある方、妊娠中の方には処方しないことになっています(関連エントリー 医師も間違うディフェリンの処方)。
このグラッシュビスタの主成分は「ビマトプロスト」なので今までまつげ美容液効果が知られていた「ラティース」と同じものの呼び方を日本向けに考案したことが予想されます。そういえばビスタって名前、ボトックスにもありましたね「ボトックス ビスタ」という製品が。同じ会社が日本での販売を行なっています。
この「ビマトプロスト」を含む点眼薬の副作用ってまぶたがくぼんでしまうものがあり、治療する方法がありません。アラガン社の医家向けパンフレットには「眼瞼溝深化」とこのまぶたが凹んでしまう副作用について「日本人を対象した試験では報告ありません」って書いてあります。そりゃそうでしょ臨床試験で四ヶ月使用を継続した人って88人しかいないんですから❗
たった88人の臨床試験で1人でもいたら「重篤な副作用」と呼ばれて販売が承認されない可能性ありますから。
効果と副作用を天秤にかけたら⋯・
グラッシュビスタで万が一のことが起きたら「ただちに医師または薬剤師に相談してください」って書いてあります。しかし、この「眼瞼溝深化」が起きて来院されても手のうちようがありません。さらに「虹彩色素過剰」という黒目が濃くなる、一部の方には喜ばれる副作用(使用を中止しても元に戻らない可能性が大きい)や目のまわりの色素沈着、まつげの美容液なのに早産、流産、胎児死亡の副作用があります。
この重大な副作用は動物実験レベルのものですが、万が一妊婦さんが使用したらと考えると⋯。当院ではグラッシュビスタを採用する気にはなれません。フサフサなまつげに憧れる気持ちは十分理解できます(女性視線が足りないと言われる私も改心しました 笑)。でも、まつげのエクステという方法があるのですから、そちらをご利用することを当院ではお勧めします。
ちなみに睫毛のエクステに対して正式に行なうことが出来るのは医療機関あるいは美容室と考えられています。多くのエクステを行なっているサロンに医師はもちろん美容師さんも常在していない所が多いのが実態ですけど、もとに戻すことが医学的に不可能な副作用が出る可能性がある「まつげ美容液」よりは安全だと考えています。
もしもエクステサロンで目にトラブルが起きた場合、サロンに対して苦情を申し出て保障をしてもらえる可能性があります。しかし、医療機関で処方されたグラッシュビスタでトラブルが起きても「事前に十分注意をしました」的対応でかわされる可能性が大です。
◎安全面からも効果面は
海外から睫毛美容液を並行輸入<日本で医療機関でグラッシュビスタ<まつげエクステンション
ということになります。
◎さらに安全性を重視するなら
サロンで睫毛のエクステ<美容室でエクステ<医療機関でエクステ
となるんですけど、医療機関で睫毛のエクステやっているところを探すのはかなり難易度が高いのでないでしょうか??
睫毛が抜け落ちたり、短くなる「睫毛貧毛症」の原因としてマスカラの使用とその落とし方があるとの論文がありました→女性に警告❗マスカラをつけると、まつ毛が少なくなる??「睫毛貧毛症」の意外な原因