グルコサミン、効果は膝の痛みなのに、グルコサミンの副作用で神経障害を起こすという説がでてきた❗

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健康食品の代表選手である「グルコサミン」。

テレビや新聞・雑誌、折り込み広告、そしてウェブで盛んに膝の痛みに効果があるような表現でCMを繰り返しています。

膝の痛みに効果があるように思えるグルコサミンですけど

高齢化にともない「膝の痛み」「膝関節の痛み」は老化現象の一つとしてあげられます。整形外科では、痛み止めの処方、筋肉トレーニング、関節にあのヒアルロン酸を注射(かなり痛い)で対応しています。しかし、これだけサプリが売れている状況を考えると西洋医学的なアプローチにも限界があるんじゃないでしょうか?

親孝行としてグルコサミンをプレゼントした、なんて話も聞きます。そのコンドロイチンを補給することが期待されている(効果はハテナ)グルコサミンが糖尿病で引き起こされる神経障害と似た症状を副作用的に引き起こすことが判ってきました。

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グルコサミンが原因の副作用である糖尿病性神経障害類似の神経障害とは

糖尿病は血糖が高いだけの病気ではなく、血管をはじめ腎臓などの臓器に対してダメージを与える全身的な病気です。糖尿病が信仰すると神経障害が起こります。神経障害は神経に栄養を送っている血管の障害によって神経自体が栄養不足(非常に幼稚な表現ですけど 笑)によって起こります。

その糖尿病性神経障害は糖尿病の合併症としては、早期に現れる症状とされていてこんな症状がでてしまうのです。

末梢神経障害⋯手足の先のしびれ感やじんじんした感覚、進行すると手足に力が入らなくなる

この病態がすすむと、ストーブに当たっていてヤケドしても気づかない、なんてことも起きます。目を動かす神経がダメージを受けると目がぼやける、なんて症状も出て生きてしまいます。

自律神経障害⋯無意識に体内を調節している神経がダメージを受ける

自律神経障害が起こると、胃の動きが悪くなったり、膀胱のコントロールができなくなる、下痢や便秘にもなってしまいます。

男性にとって気になるEDも糖尿病の神経障害の場合もあるんです。

なんでグルコサミンが糖尿病でおこる神経障害の原因になるのか?

膝の痛みや座骨神経痛に効果があると期待されているサプリメントであるグルコサミンが糖尿病で引き起こされる神経障害になる、という衝撃的な発表が第25回日本末梢神経学会学術集会で弘前大学大学院分子病態病理学の水上浩哉氏が行ないました。詳細はメディカルトリビューンの医療関係者向けのサイトにあるんで一般の方は読めないので、内容を抜粋してお伝えします(http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2014/M47400102/)。

関節痛などに対するサプリメントとして広く使用されているグルコサミン。これまで長期ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウスの坐骨神経でグルコサミンの蓄積が確認されるなど,糖尿病性神経障害への関与が示唆されている。水上氏らは,報告されていなかったin vivoで末梢神経に対するグルコサミンの影響を検討した。

前述サイトより

今まで実験でグルコサミンが座骨神経に蓄積されることが知られていたけど、今回水上氏は「in vivo」つまり試験管レベルの実験ではなく、体重30gのマウス30匹を使って実験をしたのです。その結果グルコサミンを与えたグループは神経の伝達速度が落ちていた
という衝撃的な結果がでてしまったのです。

ということは

グルコサミン投与によってマウスの末梢神経で見られたこれらの反応は,糖尿病性神経障害の所見と共通しており,同氏はその機序として,投与したグルコサミンの代謝酵素であるヘキソキナーゼ1が活性化されるとATPが枯渇し,Na+/K+-ATPaseが低下。それに伴いMNCVや温熱知覚などが低下すると考えられた

とのことです(前述サイトより)。水上氏はグルコサミンの代謝経路を研究して行くと糖尿病性神経障害の治療が可能になると話を締めています。

なぜ人はグルコサミンで痛みを解消しようとするのか?

整形外科のクリニックを覗くと多くのお年寄りが待っています。中には毎日のように通院している方もいるようで、待合室がコミニュケーションの場と化していることもあります。

何回も頻回に通院するのは痛みを取る効果が持続しているからかもしれませんし、中々効果が出ない為にしきりと通院している場合もあると思われます。一発で治療が完了することは多くの西洋医療では無理なのは当たり前なので仕方が無いのかもしれません。でも、あれほどに膝の痛みを中心とした関節関連サプリが売れているのは、通院が面倒くさい方が多いからではなく、整形外科の痛みに対する効果が低いことも予想されます。あるいは痛みに対処する為に多量の薬を処方されることに抵抗を感じている方が多いからかもしれません。

痛みでマッサージや鍼に通院している方も多いのは整形外科を受診しても、最初は医師が診察してその後はリハビリと称して10分程度の理学療法士の指導を受ける方ことに不満を感じている患者さんってかなり多いんです。マッサージや鍼灸の場合、たっぷりと数十分長ければ一時間を鍼灸マッサージ師と過ごして病状を詳しく説明しながら、ちょっとした愚痴も聞いてもらえます。三時間待ちの三分診療と呼ばれる、大病院のシステムは明らかに破綻していますので、多くの方が少しでも効果があるかもしれない「グルコサミン」に飛びつく心理も判らないではないのです。

注意 通常人間がサプリメントとして使用する量によってグルコサミンが糖尿病性神経障害類似の症状起こすわけではありません。あくまで関連が示唆された、というのが今回のお話です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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