遠赤外線、α波、マイナスイオンはトンデモグッズで多用される言葉です。
なぜか日本の大手家電メーカーでさえ当然のように使用して、健康に良さそうなイメージを醸し出しています。
今回、トンデモ健康グッズのなかで、さらに活性光線・育成光線なる不思議な一見科学用語風のパワーワードが使われているものを発見してしまいました❗
本記事の内容
遠赤外線・α波・マイナスイオンで健康問題は解決、するわけ無いじゃん❗
遠赤外線と聞くとなんとな〜く、からだに良さそうな気がしちゃいませんか?α波が出るとそりゃあリラックス効果で健康に良さそうですよね。さらにマイナスイオンといったら日本が誇る家電メーカーも利用している、それはそれは心身ともに健康になっちゃう説得力のあるワードです。
でもさあ、遠赤外線とかα波とかマイナスイオンってそもそもどんなものであるのか、知ってて皆様はありがたがっているのでしょうか?遠赤外線の効果は何?α波ってどんな波?マイナスイオンって学校で習ったっけ?と自問自答をした経験がありますか?県境を超えての外出は控えましょう、との要請だかお願いだかを真面目に守っていた私は有り余った時間を利用して、まさかこんなグッズは無いよねえ、と思いつつ「遠赤外線 α波 マイナスイオン +何々」とGoogle先生と遊んでいたところ、出てくる出てくるトンデモグッズが⋯。
Googleのシークレットモードで「「遠赤外線 α波 マイナスイオン」で検索した結果、運悪く上位表示されてしまったトンデモグッズの面々です。特に3位に表示された謎の「活性光線」には子供用科学系番組で育った私としては、猫にまたたび的に狂喜乱舞してしまったのです。
最強じゃん、遠赤外線・α波・マイナスイオンに「活性光線」がトッピングされた冷えとりパッド (笑)
大会社がどうどうと遠赤外線の効果を謳い、α波が身体に良い的なイメージをメディアが取り上げ、通販番組がマイナスイオンの効果効能を高らかと喧伝しているんですから、地方の中小企業の商品が売れなくなるのも当たり前です。そんな大企業や権威や影響力の大きなメディアに堂々と立ち向かう「活性光線」グッズとはなんでしょうか?
ジャジャーン、これでーす!
活性光線で体も心も健康になるのは、ありがちな言い回しだとしても、「魂がイキイキ」ってかなり危なっかし案件にぶち当たってしまったような気がしないでもありません。
遠赤外線・α波・マイナスイオンのトンデモグッズ調査なんて吹っ飛んでしまうくらいのパワーワード「活性光線」。
活性光線とは何だ?その定義を調べてみると⋯
魂をイキイキさせちゃう冷えとりパッドによるとアルファウェーブは、遠赤外線の中でも体内に吸収されて、
最も効率よく熱に変わる「活性光線」を出しています。日光を浴びてあったか〜いと感じるのも、この遠赤外線の働きによるものです。
https://www.binchoutan.com/alpha.html
とのこと。
国語の問題じゃないけど「この」が何を指すかが重要なポイントとなりますけど、この文脈から読解できることは
遠赤外線 = 活性光線
ですよね。「活性光線」でまたもやGoogle先生にお尋ねすると、楽天がトップで表示されてこんなにわんさかアルファーウェーブ関連グッズが出てきちゃいました。
初心に戻り、「遠赤外線 α波 マイナスイオン」で検索した時に2位に表示されたサイトを覗いてみると
アルファウェーブは人体が出す遠赤外線と同じ波長(9.8ミクロン)で、身体に吸収されやすく、育成光線を吸収し、体内で熱に変換することで代謝を促します。体内の冷え改善システムを強力にサポートします!
http://orner.co.jp/product_01.html
だ、そうーです。
アルファウェーブ = 遠赤外線 = 育成光線
ってことになって、この式から察すると
活性光線 = 育成光線
が成り立ちます。しかし、どっちも中学・高校の教科書や参考書の索引では見つけることのできない言葉なんだよなあ。
さらに調査は続きます。
出ました、トンデモ界のビッグショット東京電機大学の町好雄博士
トンデモ界のビッグショットで関英男博士という東京電機大学の先生がいました(「情報科学と五次元世界」という迷著があります)。その関博士の伝統を受け継いだのが東京電機大学の町好雄博士と一般的には受け止められています(って、全然一般的には知られていないけどね)。この町好雄博士は気功や超能力方面の研究で有名なトンデモ界のビッグショットです。町博士は「外気治療を行う気功師の生理による評価 」(医工学治療 16 4 12月出版 2004年)なんてお茶目な論文を書いている研究者であることは間違いありません。
町博士によって
特殊な遠赤・マイナスイオンの働きにより、リラックス能であるアルファ波を誘発させる効果が高い事が証明されています。http://orner.co.jp/product_01.htmlってことにこの辺り界隈では言われているようです。
特殊な遠赤ってなんだ?リラックス能ってなんだ?と私はさらなる深みにズブズブと引き込まれてしまうのでした。
遠赤外線・α波・マイナスイオンきりが無いのでまとめます
トンデモさんたちって、誰かが言い出しっぺだとそれを孫引き孫引きしてどれが一次ソースなのか、使っている本人たちもわからなくなってくる現象が頻回の起こります。楽しい話題なのでついつい長文になりかけましたが、まことに勝手ながら活性光線・育成光線問題は今後の宿題とさせて頂きます。
そもそもの話の始まりは遠赤外線・α波・マイナスイオンでした。これらをトンデモであると断言する理由として
●遠赤外線は熱をもった物体であればどんなものであっても出ています。遠赤外線が健康に良いとの話は私が知る限りでは遠赤外線の特徴である吸収されやすい、分子を壊しにくいことを利用したフライパンなどの調理器具業界が言い出しっぺ。それがいつの間にやら「健康にいいのよねえ〜」に変化していったのです。たぶん、通販番組愛好のオバサマ・オッサン達発生の都市伝説なんじゃないかなあ。たしかにオバサマ・オッサンたちの悩みの一つである関節の痛みは温めれば症状はそれなりに軽快しますからね。
●α波は脳波の一つであり、リラックスした状態だと観察される脳波とされています。しかし、リラックスした結果としてα波が出るわけで、α波を無理やり生み出したことによってリラックスできるとは限らないと思うよ。
●マイナスイオンはまっとうな科学で使用される陰イオンとは全くの別物です。マイナスイオン効果によって除菌や脱臭、さらにはウイルス失活効果があると謳っているグッズがでまわっていますが、消費者庁は次のように指導しています。
消費者庁「新型コロナに対する予防効果を標ぼうする商品の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について 」(https://www.caa.go.jp/notice/assets/200310_1100_representation_cms214_01.pdf)より。
マイナスイオン発生器に対して優良誤認表示・誇大表示だよ、と業者に対して改善要請をして消費者に対しては注意喚起をしているのです。
しかし、活性光線や育成光線ってトンデモウォッチャー的には飛んで火に入る夏の虫的に誘惑されるパワーワードです。