エボラ出血熱、日本で感染拡大させない為の方法として注意は必要だけど、パニックを起こすことはない❗

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西アフリカを中心としてエボラ出血熱の感染が拡大して深刻な問題となっています。

さらに、アメリカをはじめエボラ出血熱流行地域で援助活動を行なっていた人が感染して、自国に戻って治療をしていたところ、その帰国者の治療にあたっていた医療関係者から二次感染者がでる心配が懸念されています。

中にはエボラ出血熱に二次感染している可能性があるのに客船に乗ってクルージングを楽しんでいる医療関係者がいて船室に隔離されているというニュースも流れています。

エボラ出血熱の感染は空気感染はしない

エボラ出血熱について正しい情報を得るために、まず空気感染はしないということを押さえておきましょう。詳しくははエボラ出血熱は空気感染しません、ところで感染経路の空気感染ってなんだ?でお伝えしました。

エボラ出血熱ってどんな病気?_ワクチン存在せず致死率60%
http://www.huffingtonpost.jp/より

一部のサイトに「エボラ出血熱って空気感染する」と間違った情報が記載されています。このような間違った情報、極々例外の症例等をサイトに興味本位で掲載する行為、これ自体が非常に多くの人の不安をあおりパニックを引き起こす可能性があります。

代々木公園発のデング熱騒動も一先ず沈静化している様子であること、これまた「のど元過ぎれば」的な印象もあります。いかにして正しい情報を得て、それを元に自分が感染しない予防策、感染した場合感染を拡大させない方法を知っておくことが重要です。何を一番信じればいいのか?やはり厚生労働省や国立感染症研究所の公式見解が正しいと考て差し支えありません(若干、情報が送れる傾向があるのと、お役所言葉が多いので白黒ハッキリ断言していないこともあります)。

マスメディアでエボラ出血熱の日本への感染拡大を懸念する報道を見受けます。多くの場合、どちらかと言えば心から日本への感染流入を心配しているというより、やたらに視聴者の不安を煽る様な表現がどうしても気になってきますので、まずは日本国の公式的な考え方として、前述の厚生労働省や国立感染症研究所のサイトを覗く習慣を身につけましょう❗

日本にエボラ出血熱が日本に上陸する可能は??

エボラ出血熱は空気感染はしませんので、エボラ出血熱感染者と直接接触して体液に触れたり、排泄物・吐瀉物に触らない限り、自分が感染する可能性はありません。その為に国内の感染症対策施設では万が一感染者が出現した場合の対策として隔離して治療しながら、治療する側である医療関係者が感染しないように防護服を着用して、それらを感染区域としていた場所から持ち出さないような訓練を行なっています。

日本に国外からエボラ出血熱が上陸する経路は飛行機、船の二種類しかありません

検疫所で感染が拡大している地域から入国する人のチェックを厳重に行なうことである程度は感染の国内流入を防ぐことが可能になります。以前、SARS(サーズ)の国内上陸が懸念されたとき、入国前の検疫所で体温を測定していましたよね、このカメラによる体温測定は現在も飛行場で行なわれています。これも「のど元過ぎれば」的に忘れちゃった人も居ると思われますし、実際はカメラを凝視して監視している係員の姿も見当たらないことが多いですし、カメラに写らないように素通りすることも可能です。

飛行機の場合、感染が疑われる地域から日本国内に入るとき必ず健康状態を尋ねる紙が渡されます。体調はどうですか?発熱はありませんか?下痢はどうですか?等の質問が並んでいます。長時間の旅に疲れ気味の多くの方は少しくらい体調が悪くても検疫所で引っかかって、帰宅が遅れることを恐れて、「まあ、自宅に戻って少し様子を見てそれで体調がイマイチなら近くの医療機関を受診しようっと」と考えるわけです。

Ebola_Scare_Sends_Caribbean_Cruise_Ship_Back_Home_-_ABC_News
http://abcnews.go.com/より

でも、万が一エボラ出血熱をはじめとした感染症に罹っている場合、空気感染しないとはいえ長時間狭い空間で過ごさないとならない飛行機に一緒に乗っていた人に対して、病原菌・病原ウイルスをまき散らしてしまう可能が出てきます。あなたが原因となって日本にエボラ出血熱をまき散らさないようにすることを自覚してください。しかし、カリブ海クルーズを楽しんじゃっているエボラ出血熱患者さんの治療にあたった医療関係者のモラルというかリテラシーの低さには驚かされました。

エボラ出血熱の死亡率の高さに惑わされないように

エボラ出血熱は今まで人類が面と向かって闘った経験のない未知の病原体ってワケではないのです。西アフリカという非常に医療レベルが低く、生活の基本的インフラが十分でない上に、おまじない的な現地の宗教の影響によって、私たちが通常受けているスタンダード医療が行なわれていなかったことが死亡率の高さに繋がっています。

ここで注意をしないといけないことはエボラ出血熱の致死率90%という数字です。これはかなり以前の話であり、現在では対症療法によって致死率は60%くらいまで低下しています。とはいえ。60%でもかなり高い数値です。医療を取り巻く環境を改善すれば、さらに下がる可能性があります。エボラ出血熱治療の新薬やワクチンも開発されていますから、さらに致死率は低下することが予想されます。

集団発生が感染拡大を招いている状況を引き起こしているので、ワクチンの重要度が高くなってきます。今でさえスタンダード医療が現地の呪術的因習によって妨げられている西アフリカですのでワクチンは効果がないとかワクチンを打つと重篤な副作用が起きるとかの風説が感染拡大防止に邪魔をする可能性もあります(日本でも同じように非科学的な根拠でワクチンを否定する一派が存在しますが、原始的呪術を信仰しているのと大した違いはありません)。

とにかく感染拡大、二次感染を防ぐことが重要

西アフリカを訪れる日本人は極々少数ですし、西アフリカ地域からの旅行者も少ないので、観光や仕事で訪れることが多い欧米各国でエボラ出血熱が大流行しない限り、ダイレクトに日本に感染が流入する可能性は現時点ではかなり低いと考えられます。あのデング熱でも実際に国内で感染が拡がって初めて今季の騒動が起きたわけで、日本人で海外でデング熱に感染して帰国後発症した人って東南アジア旅行好きの人の間では知られていたことです。

となると万が一、リベリア・ギニア・シエラレオネを訪れて日本に帰国する時点で体調に不安がある場合は、必ず空港の検疫所に申し出る必要があります。インフルエンザにしろ、風疹・麻疹にしろ「自分は大丈夫だから」といって体調不良にも関わらずマスクもしないで外出したり、仕事に出かける人っていますよね。自分が大丈夫でも第三者を感染のリスクに晒していることにそんな人は気づいていないことになります。

エボラ出血熱と比較するのも何ですけど、「公衆衛生」という観点からはこれからインフルエンザ予防接種の季節がやって参りますので、アレルギー等でワクチンを打てない方以外は是非ワクチン接種をご検討ください(関連エントリー インフルエンザ予防接種ワクチンは打たない派の方へ)。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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