以前ブログで若気の至りで入れてしまった、タトゥーを恋愛、結婚、そして子育てを気にやっぱり除去しようという人が多いって話をご紹介しました(入れてしまったイタいタトゥーを消す方法)。
水野敬也さんという有名作家(「ウケる技術」や「夢をかなえるゾウ」の著者)があることを切っ掛けにタトゥー(水野さんはタトゥと書いています)を入れたんですが、超短期間で直ぐに消しちゃった、という話をブログ「ウケる日記」に「タトゥをいれてみました」というタイトルで書いています。
オシャレで気軽に入れてしまうタトゥー
水野さんのブログからタトゥーと入れてしまう心理とやっぱりタトゥーは除去しようという気持ちになるまでの話が面白いので氏のブログを引用しながら、タトゥー問題を検討してみます。
タトゥーを入れた時の心理状態
氏がこの文字的なデザインのタトゥーを入れた切っ掛けはブログによれば知人の死について深く考えたことです。
と思い、それからしばらくの間は緊張感とモチベーションを保ちつつ仕事ができるのですが、時間が経つにつれて少しづつその感覚は失われていきいつのまにか元の日常に戻ってしまうということです。
それで、7月にその人が亡くなったとき、この人の分まで自分は頑張ろうと思ったのですが
(またいつものように元に戻ってしまうんじゃないか⋯⋯)
と不安になり、この現象をなんとか回避したいと色々考えてみた結果、
「ファイトクラブ」っていう映画の中のワンシーンで、ブラッドピットがエドワードノートンの手を硫酸で焼いて
「この傷跡を見て思い出してモチベーション上げろ!」
みたいなことがあったと思うのですが、これはもうそういう感じで行くしかないなと思いまして、
「ウケる日記」より
知的なお仕事をされているためか、この左上腕の内側のタトゥーのデザインもかなり深い意味があるようで、数字の4と方位記号の意味合いも持つものです。
まず「死」をイメージする意味で「4」的なものを色々探してみたんですけど、
方位記号って数字の「4」に見えるじゃないですか。
しかも方位記号なんで
「お前の人生は『4(死)』から見て正しい『方角』に進んでいるのか?」
と自分を戒めるという効果があるってことなんですね。
水野敬也さんの「ウケる日記」より
まあ、タトゥーを入れる時の心理状態は様々ですが、さすがに作家の方ですので、それなりに深い考えをデザインに込めています。私の大好きな映画シリーズ「ハングオーバー」では主人公の1人はその場ののりでこんなタトゥーを入れちゃっていますけど。
http://blogs.phoenixnewtimes.com/より
この人のタトゥーのデザインは映画にも出演しているマイク・タイソンにインスパイアされているのです。
水野氏のチョッとした勘違い
水野さんがタトゥーを入れに行った時のタトゥー屋さんに関しての描写で
「全力で医学部出てません」みたいな雰囲気でいよいよ怖くなり
「あの⋯⋯麻酔的なものはあるのでしょうか?」
と聞いたところ
「あー、ウチ麻酔ないんで」
「ウケる日記」より
というやり取りがあります。この書き方からするとタトゥーを入れる作業をする人は医師であると考ているようすで、麻酔を使用しながらタトゥーを入れようという希望も感じられます。
目のまわりにアートメイクと称して刺青というかタトゥーをお客さんに施して警察沙汰になるエステ業者が時々新聞で取り上げられているように、人様の身体に合法的に手を加えることができるのは医療関係者に限られていますので、このタトゥー業者が麻酔を使用していたら大問題になりかねません。
エステ業者のアートメイクで問題になる一方、日本には職人さんとかが刺青を入れる文化がありますので「彫り師」という職業の方がタトゥーと入れることは、多分行政側も大人の解釈なのか、違法とはならないようす。
タトゥーは入れるとき痛くて、消す時もお財布に痛い
タトゥを入れることによって日常に緊張感を持たそうという氏の考えは早々裏切られる結果になり、結局医療機関でタトゥーを助教するはめになった、というのがこの「ウケる日記」の水野氏の行動でした。タトゥー除去はさすがに医療機関を受診したようで、デザインの大きさから「切除」という方法を選択しています。
タトゥーを消す為の方法としては、切除する方法としてはレーザーによるものと切除してしまう方法の二通りがあります。小さめの場合や早期に消し去りたい場合は切除が一回の治療で終わりますので当院ではお勧めしています。また、多数の可愛らしい色を使用したデザインのタトゥーの場合、レーザーが反応しない色を使用した場合も切除をお薦めしますが、図柄が大きな場合は数回に別けて切除する必要があります(ビッグダディ 美奈子さんの刺青についての解決策)。
水野氏の場合、図柄も小さいですし、単独の色を使用しているのでレーザーで十分治療可能と思われますが、担当医から半年かけても取れない可能性を示唆したために、切除に踏み切った模様です。その手術あとの写真がこれです。
多分、切除手術後の腫れと出血を抑える意味でバンテージグルグルの圧迫法をこの医療機関では施していますが、通常はここまではしませんので有名作家ということもあり大事をとったのでしょう。
そういえば当院は日本で数台目のタトゥーを除去することに多大な力を発揮するレブライト(REVLITE) という新しいレーザーを数ヶ月前に導入したんです。このレブライトは肝斑の除去に高い効果があるという理由で入れて現在大活躍ですけど、米国の医療機関で大人気な理由はタトゥー治療に対して今までのレーザーより抜群の効果があるためなんです。もし、水野さんが当院を受診していただけたらレーザー単独で、それも短期間で治療が可能だったのに、と思いつつ「ウケる日記」を読み込んでしまいました。
水野敬也さんのブログは治療後の縫い後の写真は掲載されていますが、抜糸後の状態は掲載されていません。熟練の形成外科の医師の手によるものでしたら、ほとんど傷跡は残りませんので、水野さん、お大事にしてくださいませ❗
参考までに水野さんがタトゥーを入れた費用は5000円で切除に要した医療費は90000円だったそうです。写真からでは正格な大きさが測定できませんが、当院でこのタトゥーを切除した場合は多分90000円の半分くらいで済みます。
タトゥーは入れるとき痛くて、消す時はお財布にとってイタい、ということですね。