O-リングテスト(おーりんぐてすと)と呼ばれる奇妙な診断方法があります。O-リングテストを信奉して実際に臨床の場で使用している医師もいるようです。
ヘンテコな理論を振り回してO-リングテストの原理(?)の説明を試みる創始者の著作を読んで、「科学的・医学的にどうみてもヘンじゃん」と思った点を上げてみますね。
本記事の内容
オーリングテストがヘンテコであることの科学的医学的に証明を試みます
批判すると信奉者から猛烈な批判を浴びてしまう、O-リングテスト。
どう見ても科学的にトンデモだし医学的にはトンデモである故に、適切な標準医療をうける機会さえ逸失してしまう点が医師の端くれとして問題提起するべきだと強く感じています。
セミナーや講習会等でO-リングテスト、又の名をオーリングテストのテクニックや理論が伝授されているためか、O-リングテストに関する成書は多くありません。
O-リングテスト普及を目指したバイブル的一般書籍を参考にしてオーリングテストのどのあたりが具体的にトンデモであり、非科学的であり医学に応用する危険性を訴えたい思います。
なお、ガッチガチの信奉者の方は私のブログに対して批判がある場合はできればその方が管理しているブログやウェブサイトで対応していただけると、読者の判断材料にもなりますので、ご協力ください。
また、電話での抗議は一切受け付けません。メールのご使用もご遠慮ください、ウェブサイトの効果測定のデータの一つとして利用しています。
どうしてもメールでとの方、最後の方に記載したメルアドをお使いください。
オーリングテストは指の筋肉の反応を利用してるそうですが、そもそも指に筋肉は無いのですけど。
オーリングテストの仕組みについては以前ざっくりとながら記事にしました。これ→
「O-リングテスト入門」(大村恵昭著 河出書房新社)によれば、身体の情報を感知するO-リングテストがなぜゆびでOの形を作ることが重要であるかの説明として、他の筋肉と比較して指の筋肉は疲れにくから、と書かれています(P18)。
これは医学生レベルあるいは生物に興味のある高校生であっても、トンデモ、大間違いの説明であることに気がつくはずです。
そもそも人の指には筋肉は存在しません。じゃあ、なんで指って動くのか、それは前腕の筋肉から出ている腱が指の骨に付着してからであり、指に筋肉が存在してその筋肉が伸びたり縮んだりしているのではありません。
O-リングテストの指を使う理由が3つ述べられていますが、大前提が間違っているのです。MRI検査は放射線を使った精密な人体の様子がわかる検査です、と説明してMRI検査を受けるように促す真っ当な医師はいませんよね。
この説明によって、オーリングテストは科学的医学的に全く肯定することができないトンデモであることが理解できる大きな証拠の一つだと考えます。
O-リングテストで、ガン・心臓病・アルツハイマー病まで発見、その裏側にある秘密
オーリングテストは標準的な医療で使用する診断用検査方法や医療機器では見つけることができない病気さえも見つけることが可能だと主張しています。
O-リングテストには占いや透視といった超常現象で使われるテクニックが使用されています⋯詳細は次の章で解説しますね。
以前、波動医療というトンデモを記事にした時にMRAというインチキ診断マシーンについて軽く触れました。
このMRAを使うと水虫の場合、水虫に対応した波動が検出して、水虫に対応した数字が出てくることによって、「水虫である」と診断できます。
あのさあ、水虫なんてMRAなんて仰々しい機械(構造の詳細を知ると笑っちゃうほど単純)を使わないでも、見ればほとんど診断ついちゃうんだじゃないの〜。
※皮膚科の先生、確定診断には本当はKOH鏡検は必要ですよね。ここは大人の対応で見逃してください。
オーリングテストでアルツハイマー病(正確にはアルツハイマー型認知症)まで診断できるそうですが、検査に要する時間として書かれてある10分あれば、臨床医であればアルツハイマー型認知症の確定診断は無理であっても疑うことは可能です。
そもそも「なんだか最近物忘れが酷いようで」とか「うちのオジイチャン、この頃ぼんやりして私の名前も間違えるんです」なんて理由でオーリングテストを取り入れている医療機関を受診していれば、アルツハイマーとの確定診断はできなくても(認知症はアルツハイマー型以外に複数あります)、認知症あるいは認知症疑いと診断することは可能でしょうね。
ではオーリングテストでがん診断、これの仕組みというかテクニックを暴きます。
現代の検査機器でも診断できない、がんをオーリングテストは早期発見はこんな仕組みなんじゃないの?
実際にオーリングテストで早期のがんである、と診断された方がいたとします(本当にいるんだけどね)。がんと診断された方はオーリングテストだけでは不安なので標準医療の検査を受けます。
オーリングテステストの結果が懇切丁寧であり、具体的にがんが発生した部位を特定して、例えば「前立腺がんです」と診断した場合と、ざっくりと「がんです」と発症部位を特定しなかった二つの場合を想定してみます。
オーリングテストの説明で構成分子と分子が共鳴することがオーリングテストの理論らしいので、その話を信じるのであればもちろん「前立腺がんです」との診断であり、部位は不明ながら「がんです」との診断はありえないはずなんだけどね。
O-リングテストで標準医療では見つからなかった前立腺がんを早期発見?これには裏があります
ここからはあくまで例えばの話です。
O-リングテストで前立腺がんである、と診断された場合を考えてみます。
PSA検査という非常に感度の高い検査を用いて前立腺がんは早期発見が可能です。しかし、PSA検査だけで確定診断には至りません。複数回のPSA検査を行いその動きやMRI検査などを経て、癌細胞を得るための針生検を行います。この針生検によってがん細胞がえられた時点で「前立腺がんである」との確定診断が可能になります。
前立腺がんは症状がなくても、PSA検査で異常値が無くても、ある一定の年齢に達しているとめちゃくちゃ検査をやりまくれば、その方の生死には関わらない前立腺がん細胞を見つかることが多いのです。前立腺がん以外の病気でなくなった方を解剖して前立腺の病理検査をすると30%以上前立腺がん細胞が見つかったとの報告もあります。
O-リングテストで「前立腺がんを超早期発見しました」と診断されても現代の最新医学を駆使しても前立腺がんは発見できない。でも数年後に前立腺がんが発見された、だからオーリングテストは超早期にがんを発見できた、と主要することは可能なんです。
オーリングテストで部位は特定されないけど「がん」と診断された、その場合のテクニックはこれじゃないの?
「あなたの身体には現在の標準医学の検査では発見不可能な超早期のがんがあります」とオーリングテストで診断されたとします。
その場合、大病院で精査をしてもがんを見つけることはできません。なぜならオーリングテストは現代医学で見るけることができない病気を正確に発見することができるからです。
そのためにオーリングテストを採用する医療機関は定期的に年2回のオーリングテストを繰り返すことを推奨しています(P31など)。
毎回毎回オーリングテストで「超早期のがんがあります」と年に二回も言われたら、患者さんは真っ当な医療機関をその都度受診して精査をするでしょうね。
何年経過しても真っ当な医学でがんが発見されなかったら、「それはそうですよ、オーリングテストは現代医学で発見できない超早期のがんさえ見つけてしまうのですから。半年後にもう一度オーリングテストを受けましょうね」です。
もしも、ついに現代医学の検査でがんが発見されたら、「そりゃそうですよ、以前からオーリングテストの結果でがんがあることはお伝えしていますよ」とオーリングテストを採用している医療機関は言うでしょうね。
日本人のうち、2人に1人はがんを発症する時代になっています。「将来あなたはがんになります」とどこの誰でも良いから2人に告げておけば間違いなく50%の確率で予想は当たります。
占いで使用されるバーナム効果とすでにわかっている統計のデータの確率を利用すれば、オーリングテストの超早期がん発見は可能なのです。
オーリングテストがどのような病気に利用されているかの、各論は第3章(P99)から、オーリングテストを取り入れた生活様式(新しい生活様式じゃないよ)は第4章(p144から)、オーリングテストを採用している医療機関リストは第5章の後半(P213から)とトンデモウォッチャー的にはお腹いっぱいの充実したオーリングテストのバイブル的本書。ブログネタとして本体価格1500円を投資した分は回収する予定です。
続編をお楽しみに❗
※オーリングテストを発明して精力的にオーリングテストの普及活動を行なっている創始者の経歴になどに関しては、私は個人の経歴や学歴や肩書き等の公開されている個人情報を掘り下げることはあまり好みません(犯罪で無い限り)。
※トンデモさんが主張していて、文字あるいは映像などの再現性のある、第三者であっても検証可能な材料をもとにトンデモを検証することを心がけています。