今では左利きの人を強制的に右利きに矯正(言葉がダブった)することは少ないと思いますが、私が子供の時はなぜか左利きの人は右利きになおされていました。
私自身がなぜ人類は右利きが多いのか?という素朴な疑問を長年持っていて、多くの理系オッサンに質問した来ましたが、納得のいく回答が得られかったのです。
世界中で右利きが9割占めています
例えば字を書くとき日本や中国では右から左に書きますよね、となると昔は墨を使って書いていたので当然右利きの場合、せっかく書いた文字は左に進んで行く右手によって汚れてしまいます。その点、左から右に書いていく西洋の文字の書き方は右利きに適していて、東洋の文字の書き方は右利き不利なように思えます。
人類の歴史は戦いの歴史でもあるので、心臓が左にあるんで、敵に対して武器をより近づけるために右手に槍や剣を持った方が致命傷を負わない、という考え方もあります。
という具合に人類の進化においてなぜ右利きが有利なのか、具体的な答えを見つけることが出来ませんでした。
世界中でも圧倒的に右利きが多いのです。今回、なぜ人間は右利きが多いのか?ということを単純明快に説明した記事を見つけたのでご紹介します。
利き手に強く関連している遺伝子の同定
このネタ元はNew Scientistという面白い科学記事を集めたサイトです。
この記事によると3300人のボランティアに協力してもらってゲノムを解析した結果、PCSK6という遺伝子が一番強く利き手と関連していることが判明しました。この遺伝子は体の左右非対称に関わっているようで、心臓は左、肝臓は右、というような指令を出していて、この遺伝子を壊したマウスの実験では右側に心臓が出来てしまうことが起こるのです。
動物にも右利き、左利きがあるか?
実は動物でも利き手があるのですが、人間のように9:1の割合ではなく5:5の半々になっています。となると当然、人間と動物の違いである「言語の使用」と「利き手」の間に関連性があるのではないか?と考えてしまいますよね。それについても彼らは研究をしていて「失読症」とPCSK6の関係を調べていました。
この論文は専門用語が多すぎるので、元ネタのNew Scientistに話を戻します。人間の言語中枢は脳の左、左脳が中心となっていますので、左の脳が他の動物と比較して発達したと考えられます。
脳神経は右半身は左の脳が、左半身は右の脳が支配しているので、言葉を使用することによって有利に生存してきた人類は左脳が発達することにより、右半身、つまり右手の機能も発達してきた可能性が大になります。
左利きに天才が多いという都市伝説
ダビンチ、モーツァルト、アインシュタイン、ピカソらが左利きであったことが有名なために「左利き天才説」的な解釈がされています。しかし、オバマ大統領を天才とは呼びませんし、エミネムも天才とは呼ばないと思います。この都市伝説を証明するためには歴史上の天才を全てピックアップして、利き手を調べないと証明には至りません(こんな理屈を振り回すのでオッサンは嫌われる)。
でもね、日本だけでなく世界的にも左利きって子供の時に右利きに矯正されることが多いので、統計学的に「左利き天才多い説」を明らかにすることはまず不可能なんです、残念でしたサウスポーの皆様。
一般的に右脳は直感力に関連していてイメージ力、創造性に強く関連していると考えられています。左脳は言語力、理論に関連していると考えられています。ブログ投稿後にアメリカ人の友人から彼が日本語教室に通っていたときの同級生の約半数がサウスポー(左利き)だったと指摘がありました。右利き、左利きを決定するのは後天的な要素や文化が大きく左右するので、利き手を決定する要素は複雑⋯つまり、いまだに謎は多く残っているのですね。