オンライン診療や遠隔診療といったインターネットを介した遠隔医療が広まりつつありますが、遠隔治療なるものも存在します。
リモートで治療というとロボットが遠隔操作で手術するといった高度なものもありますが、遠隔治療でGoogle検索すると怪しげな情報がちらほら目につきます。画面越しに気・癒しのエネルギーを送って治すといった類のものです。
スピリチュアル系リモート施術?は以前から存在していましたが、いま一度注意喚起しておきたいとおもいます。
本記事の内容
遠隔診療と遠隔治療は似ているようだけど、全く別物
新しい生活様式の一つとして医療機関はオンライン診療、別名遠隔診療を取り入れだしています。
今までのような直接医療機関を訪れ医師に直接会う形式(これは対面診療と呼ばれます)と比較して感染リスクがオンライン診療であれば減ることの利点が2020年の新型コロナ感染症禍において注目されていることが大きな理由です。
遠隔診療(オンライン診療と同義語)に近い言葉で、「遠隔治療」があります。「診療」と「治療」は「診」と「治」の違いだけ。
遠隔治療で思い浮かべる情景は次のようなシチュエーションではないでしょうか?
離島で緊急手術が必要な患者さんが出てしまった。しかし、その島から都市部の病院への搬送は天候悪化のために不可能。そこで離島の担当医と都市部の医師とがオンラインで協力しながら急患の手術をする。
私のようなトンデモ医学ウォッチャーは遠隔診療ではなく、「遠隔治療」と聞くと超常現象的オカルト的スピチュアル系の医療を思い浮かべちゃうんだよなあ⋯。
こんなのもYouTubeにはあったりします。
遠隔診療はまっとうな医療行為です。でも遠隔治療となると、かなりヤバ系のトンデモ医学がまじり込んでしまう可能性があることをお伝えしておきます。
※「治療」は病気を治すこと、「診療」は患者さんを診察して、診断して、治療をする一連の流れを意味する、と一般的には解釈されています。
※トンデモ医学にうとい医師は何も疑いもしないで「遠隔治療」を使っているかもしれません。遠隔治療=トンデモ医学、とは限らない点にご注意ください。
私が経験した「遠隔治療」は爆笑モノのトンデモさんでした
私が実際に体験したトンデモ系遠隔治療のお話をしますね。
家人の親族が原因不明の腹痛に長年悩まされていました。
※注意1:トンデモ医学を取り扱っている私の身の回りには、常にトンデモネタを提供してくれる家人がいます。まあ、灯台下暗し、ってやつです。
※注意2:原因不明のなんちゃら、これはトンデモでも怪奇話でも超常現象話でもお決まりのリード部分です。
そこでその親族は霊感が高いと評判の友人に相談しました(この霊感が高い人、本当に純粋で自己犠牲をいとわない善人である点がやっかい)。するとその友人は「私の懇意にしている有名な先生を紹介してあげるわ」とのこと。なんでもその有名な先生は電話をすることによって、病気の原因をピタリと診断して、的確な治療方法を指導するそうです。
そこで、家人の親族は遠隔治療で高名な先生の診断と治療を電話を使って受けることにしました。
遠隔治療の先生は電話で詳細な懇切丁寧な問診を患者さん(家人の親族ね)の訴えをじっくり聞いて、診断をくだしました。
「原因不明の腹痛の原因は切腹をした先祖がいます。その先祖の供養をまずはしなさい。それで謎の腹痛が消え去らないのであれば、霊力の高い数珠を送りますのでそれを使って私と一緒に供養してみましょう」
私は遠隔治療のやり取りを横で聴いていて(もちろん興味本位でね)、原因不明の腹痛に悩まされていた親族にアドバイスしました。「あれっ、叔母さんの家って先祖代々お百姓さんだよね。お百姓さんって切腹するの?」
親族は電話で遠隔治療の先生に告げました、「あの〜、うちは先祖は農家なんで、百姓でも切腹ってするんですかぁ???」。すると遠隔治療の高名な先生は「ガチャン❗」。
遠隔治療の先生は当然医師免許は持っていないインチキ霊能者であることが、私の詳細かつ、ねちっこい調査によって判明しました。
遠隔治療で高名な先生に海外のリゾートホテルでお会いした体験
一時期メディアでしばしば取り上げられていた超有名な遠隔治療の大家がいます(個人名などを特定されると先方も当方もそれなりのトラブルに巻き込まれますので、ちょっと話を盛ったり削ったりしますね)。
世界的に有名なリゾート地の超高級ホテルでのことです。
当時、私はなぜかかなり豊富な資金を持っていました(株でも無いし、本業の医療で稼いだものでもありません)。あぶく銭的な大金ですから、一気に使い切ってしまおうと、身分不相応な海外の超高級ホテルに家族と出かけました。
「パパ〜っ、あのオバサンってテレビで霊視して病気とかを治しちゃう先生だよー」と子供が興奮して私に告げたのです。
私はその遠隔治療で高名な先生を観たことはなかったのですが、おこもり系の超高級ホテルに滞在している日本人は私の家族と遠隔治療の先生御一行のみ。
プールサイドでもホテルのレストランでも頻回に顔をあわせますので、ついつい朝の挨拶に始まり、レストランで隣り合ったら会話をする関係になりました。
私は自分の職業を明らかにしませんでしたし、先方の職業もお尋ねはしませんでした。
しかし、霊視による遠隔治療で有名な先生御一行の話はとにかくお金の話ばっかり。
帰国してから遠隔治療の先生について私の詳細かつ、ねちっこい調査によって、詐欺で訴えられていることが判明しました。
遠隔診療では無く、「遠隔治療」で検索すると、その結果は凄まじい
以上の2つの体験以外にも、私には遠隔診療では無い「遠隔治療」に関する複数の貴重な体験があります。
中には医師免許保持者による「遠隔診療」と称したスピチュアル系医療もありますし、どうみてもあっち方面にどっぷり嵌った人を対象としたあっち方面の霊能者による擬似医療ネタもあります。
私がトンデモウォッチングを趣味としているから、へんてこな遠隔治療の話が一般の方より舞い込んでくる、あるいは巻き込まれるのかと考え、バイアスを排除するべく「遠隔治療」のキーワードでGoogle検索した結果、まっとうな医療とは常識的には判断されないあっち方面のものが多数上位表示されます。
このような遠隔治療もあります。
オンライン診療、別名遠隔診療をご希望する場合はくれぐれも「遠隔治療」で検索しないことをおすすめします。