本好きの人にとって紙の本はとにかく場所を取る、ということが大問題でした。人によっては本の重さで天井裏が抜けた、なんて人もいます。
活字中毒の私はKindleが登場した時は予約販売に申し込んで一番安いペーパーホワイトを購入しました。
寝る前に本を読む癖があり、家族に迷惑をかけないように電気を消して闇の中でKindle、nexus7,iPadで読書にいそしんで、病んでいた老眼が増々進むという自業自得の結果に悩んでいます。(関連エントリー)ディスプレイのブルーライトやフリッカーが健康に悪いということも話題になっていますので、(関連エントリー)最近は再度紙の本に先祖帰りしているしだいです。
電子書籍と紙の本を比較してみると
ブログを書く時に参考とする本は電子書籍より紙の本の方が「あの辺りに書いてあったはず」と必要とするページの存在をページの厚みの記憶をもとにパラパラめくると、必要な文章が書いてあった位置の記憶まで甦ってくるのが紙の本の特徴だと思います。
もちろん電子ツール強者のオッサンの中にはしおり機能やメモ機能を屈指して「紙より電子書籍の方が断然使い易い」と断言する人もいます。
医学の教科書は電子書籍ではほとんどでていませんので、増々「紙の本」至上主義者になりつつある旧型のオッサンになってしまった次第です。
勉強するなら電子書籍より断然紙の本という主張を裏付けるデータ発見
オッサン仲間では如何に電子書籍を便利に使いこなすかということが今の時代についていけているかという、ある意味不毛の競争が水面下で起きています。紙復古主義者は情報弱者とされないために、もちろん電子書籍は使っているけど、ヤッパリ紙の本の方が味わいがある的な情緒面に訴える非論理的思考に走りがちですが、紙の本至上主義者が電子書籍信者をやっつける研究結果を見つけました。
ノルウェイの研究者によるものですが、まさにタイトルは「紙の本VS電子書籍 読解力への影響」です。アブストラクトの
Objective: To explore effects of the technological interface on reading comprehension in a
Norwegian school context.
Participants: 72 tenth graders from two different primary schools in Norway.
Method: The students were randomized into two groups, where the first group read two
texts (1400–2000 words) in print, and the other group read the same texts as PDF on a
computer screen. In addition pretests in reading comprehension, word reading and
vocabulary were administered. A multiple regression analysis was carried out to
investigate to what extent reading modality would influence the students’ scores on the
reading comprehension measure.
Conclusion: Main findings show that students who read texts in print scored significantly
better on the reading comprehension test than students who read the texts digitally.
Implications of these findings for policymaking and test development are discussed
から大体のことが分るのですが、学生を二つのグループに別けて1400−2000単語の印刷物とPCを各グループに読んでもらい、読解力、単語の読み取りを解析しました。結果として印刷物、つまり紙の本を読んだグループの方が大幅に高得点を獲得して、紙の本(印刷物)を読むほうがデジタルでテキストを読むより読解力が深まるということになりました。
上記論文より
更にこの研究者は紙の本と電子書籍を50人の人に28ページの短編小説を読んでもらって、内容を記憶しているか?というテストをしました。この勝負も電子書籍グループの完敗に終わったようです。
これは紙をめくるという動作が読解力を強める感覚的な補助効果があるのでは無いか、と予想されています。つまり、勉強するなら絶対紙の本の方が電子書籍より有意ということです。
電子書籍VS紙の本の結果に対して出てくるであろう意見
電子書籍をこよなく愛するオッサンと紙の本一本やりまたは私のような裏切り者からは次の様な意見が出てくることが予想されます。
電子書籍偏愛オッサン
- 紙めくりビューワーを使用すれば同じじゃないの?
- 単に慣れの問題、生まれた時から電子書籍に接している世代ならそれなりに使いこなせるはず
- 電子書籍のほうがリンクしてあって、奥深く知りたい知識を得られるぞ
このような意見でてくるでしょう。一方
紙の本偏愛オッサン
- 電子書籍ってパラパラめくれないから紙の本のほうが使いやすい(私です)
- 紙の本の方が厚みを感じて読んだ!勉強した感が強い(これは個人差あるかもです)
- 紙の方が質感とか香りがなんともいえない(尊王攘夷的な非論理的)
こんなあまり合理的じゃなく情緒的な意見がでてきそうです。
電子書籍の良い所と有用な使い方
とにかく活字中毒者にとっては紙の本の保管が今、そこにある危機って感じになってきます。学生時代、子供の時に経済的に余裕が無かったけど、大人になると「ジパング 全巻」とAmazonで検索して、いわゆる大人買いをする快感もありますが(私は男組全巻を買った時は大興奮でした)、ついつい大人買いしすぎて保管場所が無くて新しい本を買うことを家庭内で禁止されたオッサン友達もいます。漫画なんか深く頭を使わないで時間つぶし的にどこでも読める便利さ、別に内容を深く理解する必要もないので電子書籍で読む方が明らかに合理的です、例の福島原発鼻血事件の「美味しんぼ」なんて100巻以上でていますから。(関連エントリー)
フォントを大きくして老眼鏡を使わないですむ電子書籍ですが、漫画は活字ではなく写真印刷?というのかコピペで電子書籍を作成しているために、ズーム拡大を使用して細かい吹き出しを読もうとすると読書速度が異常に遅くなるので、結局老眼鏡が必要となります 涙。