酵素療法って医学的には否定されていますが、信者が多いのは医療サイドの問題かもです、ニセ医学だけど。

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先日から酵素によるダイエットとかそれにまつわるビジネスに対して批判的なブログを書いているにはワケがあるんです。というのも大手の○田酵素のように「健康と美容に」的な表現をとっているなら何も問題はないのですが、アトピー、喘息などの病気が治ってしまうとか、「ガンが治った❗」なんてものは非常によろしくないのです。

酵素にも色々ありまして⋯ガンが治るはやめてください!

なぜならガンの場合、医療不信の方がいらっしゃることは当然承知しています。特に末期ガンで発見された患者さんに対して、お手上げです的な心ない発言をする医師がいることは否定しません。しかし、少なくとも一定レベルの成績を挙げることが科学的方法で立証されている治療方法があるんですから、エビデンスに乏しい酵素食品で自然治癒力をアップして治そう、なんて選択をしてしまう患者さんは悲惨な結果になるのが明らかだからです。

当院でも実際に疑似医学ビジネスに手を染めた経歴の患者さんがいますが、まっとうな医療治療を今では素直に受け入れています⋯ご自身でも疑似医療ビジネスを行っていた当時も「これは本当に効果があるんだろうか、でも愛用者が効果があるっていっているんだから」と自分を納得させていたそうです

どんな理論でも最初から科学的・医学的に破綻している酵素栄養学

酵素栄養学って医学分野があるわけではなく、ある特定の人たちが「今の医学は遅れている、これからは酵素栄養学の時代だ!」と勝手に暴走しだした疑似医学なんです。1940年代後半にエドワード・ハウエルと言う人が唱えだした考え方らしいのですが、一般向けの本とし1980年以降に出版してからブームが起こったようです。

しかし、古くからある学説??のわりには全うな医学書で「酵素栄養学」ってものはありませんし、当然医学部で学ぶこともありません。

不思議なことにこの酵素食品とローフーディズムは親和性が高いようで、なんでも生で食べましょう!酵素イッパイの食品とともに!的な流れが酵素栄養学至上主義の本やサイトでは目立ちます。多分、少ない医学・生化学的知識の著者たちは酵素が熱によって変成してしまうことは理解してるんですね。

酵素が体に良い説の先駆者は日本人でした⁉

私が調べた範囲では脇田政孝著「医学を超えた健康法 酵素療法の実際」という本が1955年頃に出版されていますので、酵素栄養学の父エドワード・ハウエルさんが一般向けに本を出した時期より早いんです、日本人の方が酵素は健康にいいです説を一般的に広めたのは。恐るべし日本人疑似医学力、と感心していたらヤッパリ外国にはかないません。

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マックス・ゲルソンと言う人が「ゲルソン療法」という治療法?を唱えだしました⋯これが生の野菜を中心にしたローフード(生食)ブームの始まりと考えられます。あの「コーヒー浣腸」を言い出したのもこの人です。

日本人にアドバンテージがあったかに思われた疑似医療ですが、残念ながら「ハウエル+ゲルソン」のタッグチームには適わなかった模様で現在の日本の酵素健康法は「酵素+生食」が主流となっている状況です。

本場の米国では確実に否定されている酵素ダイエット

米国ではアメリカがん協会が酵素療法(Enzyme Therapy)に対しての判定を下しています。

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http://www.cancer.org/より一部抜粋
  • 概要 酵素サプリメントはがんの治療には役立ちません
  • 医学的証明 酵素ががん治療に効果があったとする証拠はありません

ということを警告しているんです。もう一度繰り返します、酵素食品が健康に良さそうといって普段あまり食べない野菜類を積極的にスムージーであれ、サラダであれ摂取することは良いことです。健康のために食事に気を使うことも大切なことです。

しかし、酵素を含む食品を積極的に摂取しても、なーんの効果も酵素自体は直接人体に現しませんし、ガンが治るワケは無いのです。

酵素食品が健康に良いと宣伝しまくっている人、セミナーなどで酵素の有効性を強く訴えている方は「病気が治る」的な表現はぜひ改めて頂きたいと存じます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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