医療機関の倒産って珍しいことですが、全く無いわけではありません。
当院のように個人でやっているクリニックは医師が高齢のために閉院してしまうことは有りますが倒産はまず考えられません。しかし、自由診療中心に美容整形を行っているクリニックの場合は時々倒産・破産って事態も発生しますし(多くは放漫経営)、レーシック(これも自由診療)を行っていたチェーンクリニックが数年前倒産しました。
本記事の内容
にんにく注射ブームを作った医療機関が倒産だって❗
今回破産したと伝えられているクリニックはスポーツ選手や芸能人が疲労回復のために「にんにく注射」を打ちに行くことでしられている東京にある医療法人のクリニックです。
にんにく注射って本当に効果があるんでしょうか?
疲労回復に効果があるとされる「にんにく注射」ですが、ホントに効果があるんでしょうか?ビタミン剤を中心とした栄養ドリンクとか錠剤は激しくCMを行っていますので、それなりに効果があると誰でも考えてしまいます。しかし、キッチリとした医学的エビデンスとなると非常に弱いんです。以前ブログに書いたように「疲労」を数字的に評価することが困難なためにアンケート的な調査・研究となってしまいます。
つまり、かなりプラセボが効く実験・研究となってしまいますので、プラセボを排除するために動物に無理矢理運動させるなんて愛護団体が知ったらデモられるようなことをしないとなりません。
プラセボが強いから支持された今回の倒産クリニック??
ガンなどで手術が必要になった場合、一般的には「名医 前立腺がん」とか「前立腺がん 評判」とかで検索しませんか?週刊誌や月刊誌も「名医に聞く」なんてコラムもありますね。でも、実際の評判と実力って一致しないことは私たち医療関係者の間では定説となっています。
患者さんは有名人・芸能人・政治家の主治医とされる医師の治療を希望しますが、有名だから名医であるとは限りません。テレビのインタビューに出ている医師が医師としての能力が高いわけではないです(私も結構出ていますが、出っぱなしではありませんよ 笑)。有名人が主治医とする有名医師と全く知られていない医師がにんにく注射をした場合、患者さんは有名医師に打ってもらった方が効果を感じるはずです。それをプラセボ効果と呼ぶんです!
違法薬物で逮捕されたASKAの主治医だったらしい
覚せい剤だとかもろもろの違法薬物使用?所持だかで逮捕された芸能人の逮捕される前のコメントで気になる部分がありました。「アンナカ」という薬物を使用していたんで、違法薬物では無いですよ、との週刊誌のインタビューです。
「安息香酸ナトリウムカフェイン」を略して「アンナカ」と呼ぶんですが、私の30年近い医師生活でその名前を聞いたのはたったの一回切りです、一回ですよ。全身麻酔の覚めが悪い患者さんに対して「アンナカ静注しといて」と麻酔科の研修医時代に先輩医師に言われただけです。そのときも他の先輩医師が「アンナカなんか今時使うか??」と笑っていた記憶があります。
当時でさえ古くさい薬だったワケですが、それを元気を出すために使用していたという芸能人の言い訳って、多分ある一定以上の医学知識がある人がアドバイスしたイメージが残ります。
今回破産したクリニックは自由診療で行っていたようですが、どう見ても繁盛していない多くの保険診療を行っている医院が倒産・破産しないのってひょっとして過剰な不正請求をしているためだったら大問題ですね。