医学的には血液型が性格に影響を及ぼさないことは明確なことですが、医学って信じられないんだよね、という人にとってはショッキング、私にとっては当たり前のことが京都文教大学の縄田健悟さんによって明らかになりました。
血液型で性格なんかわかるワケないことが心理学者によって判明した
私は以前「血液型で人を判断する人は、隠れ差別主義者である」と先輩の言葉が常に頭にありましたので、患者さんの「血液型知りたいんですけど」というリクエストに対して「もし、事故で輸血することがあって、あなたが自分がA型であるといっても必ず検査をしてA型であることを確認してから輸血しますので、必要ないですよ」と絶対に血液型占いとか血液型で性格判断を使用すると思われる方にかなり嫌われて来ました。だって、血液型で将来が決まったり、性格が決まってしまうわけないじゃないですか。
もちろん戦場では緊急的に輸血できるように血液型を明記した認識票を付けていますが、同じ血液型でも拒絶反応を起こすことがありますので、医療機関では必ず貰う側と輸血する血液が異常反応しないように、輸血のパックごとにチェックをします。
血液型で性格がわかると言う意見について⋯単にバーナム効果です
古くは1927年に書かれた論文が血液型は性格に影響を及ぼすということが発表されたのですが、その後の多くの追試によって学問的には否定されています。しかし、ブームは繰り返し流行して巻き込まれる人が多いのが現状ではないでしょうか?
血液型によって性格に傾向があるとされていますが、こんな具合いです。
A型⋯神経が細やかで慎重で几帳面な真面目タイプ
B型⋯常識破りで楽天的、考えが自由で柔軟性がある
O型⋯ロマンチストであるが現実主義者でもあり、保守的な面もある
AB型⋯夢見がちで変わり者、合理的な反面傷つきやすい
なんて、どのようにも解釈できる誰でもある部分は当てはまる分類がされているため、「あっ、俺じゃん」ということが起きてしまい、血液型って性格がわかるんだ、だから血液型占いも当たるんだろうなあと思ってしまうんです。
このような傾向をバーナム効果って呼びまして占い師や予言者が常用する誰でも当てはまる様な曖昧な表現をしようする心理学的な裏技です。
地震を予想したとか大事件を予想したと主張する占い師とか予言者と同じ手法ですね。特に予言者が未来を予言してピッタリ当たったことって皆無なんです。
未来を当てる予言なら地震の場合は、「どの場所で何月何日にどのような規模の地震が何時何分に起きる」までわからないと当たったことにはならないのですよ。予言者・占い師の未来について当たったとの主張は後日の調査でほとんどがインチキであることは「と学会」などの関係者によって明らかにされています。
血液型と性格の無関連性という論文
本題に入ります。医学的なアプローチでなく、より文系的な心理学の専門家が書いた論文です。「血液型と性格の無関連性 ―日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠」というタイトルです(心理学研究2014年 doi.org/10.4992/jjpsy.85.13016)。
2004年に「発掘!あるある大辞典」が血液型による性格が関係していることを端を発してそのご血液型による性格の説明書的な本が出版されたことに対して疑問をもった著者が大々的に調査を行ったものです。調査は日米でおこなわれ日本人約3700人、米国約3000人を対象としました。性格を表すと考えられる質問を日本では26、米国では21行って血液型ごとに回答を解析しました。
結論は
血液型と性格については全く関連性はなかった
ということがわかりました。詳しい内容は前述の論文をお読みください、PDFになっていて誰でも読めます。今回の研究の素晴らしいところは、今までのものは「関連性が見られない」という結論になっていましたが、今回は「無関連である」と言い切れる結果になっている所です。さらに研究はもともと経済学の調査として行われたものをベースに解析していますので、気になる「お金と血液型」や「金運と血液型」は全く関係ないということになります。
血液型で人を判断する危険性
血液型による性格の判断って日本発で世界に拡散されている傾向があります。ドイツのクレッチマーによる優生学的要素が強い「体型と性格」と同じように必要ない先入観を人に与えるということで、ナチスの民族差別にもつながる危険な考え方なのです(クレッチマー自身はナチスとは対峙していたようです)。先輩の言っていた
「血液型で性格を分析する人は人種差別をする傾向がある」
という言葉は間違っていなかったようです。
こんなことばっかり言っているから若い女の子にモテないのかもしれません、私。