私が学生の時「将来は歯医者さんって無くなるんじゃない」なんて話がでていました。
虫歯は虫歯を引き起こすバイキンで出来てしまうことがわかっていましたので、予防的に抗菌剤を飲めば虫歯にならない、なんて簡単に考えられていました。
逆に歯医者さんは「将来、風邪とかガンなんて簡単に治るようになるんじゃない」と考えていたと思います。
虫歯って簡単な薬で予防できそうだけど⋯
30年経過しましたが、虫歯の発生率は減少していますし、ガン、特に胃がんで亡くなる方は激減していますが、虫歯もガンもそして風邪も人類は制圧できていません。そんな所にレーザーを虫歯に照射すると、歯が再生するという画期的なニュースが飛び込んできました。
以前から歯科でもレーザーは使用されていた
歯科でもレーザーは使用されていたのですが、私の知る限りでは歯茎や歯周病の治療に対してという知識だけでした。少し前に友人の歯科医に歯科用のレーザーを見せてもらったのですが、低出力であり私たちレーザーを使い慣れている美容系の医師、泌尿器科の医師からみると「なんちゃってレーザー」などと失礼な評価しかできませんでした。
しかし、その低出力レーザーを虫歯の治療に使用すると「歯が再生する」という報告がありました。
低出力レーザーが歯を再生する
再生医療がいま世の中を賑わしていますが、美容領域でも「再生、再生」と声を大にしいて訴えて(広告??)いるクリニックがありますが、実はまだまだ臨床的に使用するにはかなり早すぎる段階にあります。
「再生」という言葉の乱用により、あまりにもインチキ臭い再生医療美容治療版があるために、自主的に規制をした方が良いのではという意見も出ているくらいなんです。
今回の歯科領域のレーザーによる「歯の再生」はかなり早期に臨床の場面に登場する予感がします。歯に低出力のレーザーを照射すると「幹細胞」(この幹細胞というのも美容治療で乱用されていて問題のある言葉です)が刺激されて「歯」が再生してしまう!という驚異的な治療をハーバード大学が中心になって発表しました。
レーザーで再生させる方法は実は美容領域ではハゲの治療、増毛治療に対して低出力レーザーを軽く頭皮に当てると、レーザーの刺激により毛母細胞が刺激されて髪の毛が生えやすくなることは経験的に知られていましたが、養毛剤を頭皮に塗って、ブラシで「トン、トン」すると発毛しやすいという理論に基づいたレベルの解釈です。
今回レーザーで歯牙が再生することを注意深く観察した研究チームはレーザーにより活性酸素(エイジングケアでよく出て来る言葉です)が刺激され、TGF-β(トランスフォーミング増殖因子)という成長因子が産生されることにより、歯を再生させるという理論です。
虫歯治療の決定版になる可能性
今までは虫歯はドリルで削って、その穴を充填剤で埋めるという治療が行われていました。
この詰め物がぴっちりフィットしないとその隙間から再び虫歯が発生してしまいます。
今回の低出力レーザーを使った虫歯の治療はドリルで削ってその後にレーザー照射をすると、削った部分の象牙質が再生増殖するので、詰め物との間はぴっちりフィットすること間違いないですし、ひょっとすると削った後に詰め物をしないでも済むようになるかも知れません。
残念ながらこの治療はまだネズミレベルの実験例しかありませんので、人間にも即応用ができるワケではないのですが画期的な歯科治療の方向性になることは間違いないと考えます。でも、私たちも「ガンの画期的治療」という言葉をこの数十年間に嫌になるほど聞かされて来ましたが、ガン自体の発生を予防する画期的な薬は登場していません。
つまり、人間の体ってまだまだわからないことだらけですし、病気の根絶は人類の永遠の課題なんでしょうね。