ポールマッカートニーが腸捻転だったらしいです。
ポール、腸捻転の手術していた 再来日公演は実現に向け協議中
Yahoo!ニュースより
腸捻転症で腸が腐ってしまうので緊急手術が必要です
当院の場合、診察時に今まで入院したことがある病気をアンケートに記入してもらいますが、腸捻転とか腸閉塞と記入する方が結構いらっしゃいます。そのような既往(なったことのある病気)をお持ちの方はほとんど下剤系の薬を今でも服用していることが多いのです。
ようはスムーズにお通じがあれば腸捻転や腸閉塞が起きないという考え方に従ったものです。腸捻転と言う病気はその言葉からイメージできるように「腸が捻れる」病気でそのねじれによって腸の血管も捻れてしまいますので、血流が確保できないために、最終的には腸自体が腐ってしまい下手をすれば死に至る病気なんです。ですので緊急手術の必要性が出て来ます。
腸捻転と腸閉塞は違う病気です
腸の似た様な病気としては「捻転」「重積」「かんとん」がありますが、最終的には「腸閉塞」に至ってしまい、イレウス(腸閉塞症)と呼ばれる病態になってしまいます。原因としては腸が手術や炎症によって細くなるってしまったり、ガンが原因で物理的に腸が詰まってしまったり、消化の悪いものが腸に詰まってしまうような場合があります。
このような物理的なものを「機械的イレウス」と専門的には呼んでいます。もう一つ絞扼性イレウスというものがあり、この場合は緊急手術の対象になります。それは腸の血管が絞扼(締め付けられ)るために、前述のように腸管自体に血液が行き渡らなくなってしまいますので、結果腸が腐って(正確には壊死)しまうためです。これは将に腸が捻れてしまう状態でカントンや腸重積や脱腸が元に戻らなくなった場合も当てはまります。
どのような人が腸閉塞や腸捻転になりやすいか?
腸捻転である絞扼性イレウスの場合、急激な腹痛が特徴的で嘔吐・発熱などを伴い、ショック状態になることも珍しくはないです。その為、救急車によって搬送され即手術となる場合が多いのです。血液検査とかCTなんて詳しい検査をしなくても立ち上がった状態でレントゲンを撮れば、医師国家試験にでるような典型的な一部の腸管がガスで充満しており、その下に液体である分泌液が溜まっている画像で判断できるとされていますが、実戦では違っているんです。
あまりにも急激に症状が出現する為にガスが溜まっていない状況でも腸捻転(絞扼性イレウス)である場合に注意が必要です、医学生諸君!(偉そう)
腸閉塞は一般的には腹部の手術による癒着で起きる場合が多いのですが、小児の病気(急にお腹を痛がる)としても知られています。この小児の場合は腸重積は原因は不明とされていますが、ほとんどは2歳以下ですので小さなお子さんが急に普通じゃないお腹の痛がり方をした場合は緊急的に医療機関を受診してください。
肉食と菜食だとドッチが腸閉塞を起こし易いか?という疑問も湧きます。一般的には肉食の方が原因となりやすいイメージがありますが、ベジタリアンの場合、人間の腸では消化できない食物繊維という問題が発生します。過度の野菜摂取も腸閉塞の原因になるような気もします⋯ちなみにポールマッカートニーはベジタリアンとのことです。
宿便と腸捻転そして腸閉塞
医学用語ではないですが、宿便が腸閉塞の原因となっている、なんて内容の記事がネット上に溢れていますが、宿便自体が医学的には認識できないので、これが原因で引き起こされるとは考えられません。
腸内のバランスをとる為の「酵素」は腸閉塞を防ぐ為に有効かもしれませんが、決してダイエットには有効ではありません。
海外で「コットンボールダイエット」というオバかなダイエットが話題なっていました。綿をジュースに浸して何個も飲み込むことによって、満腹感を得て、さらに腸管をキレイにしようという作戦らしいです。
たしかにコットンは人間の腸では消化できませんので、満腹感が得られるとともに腸管のクレンジングもできるでしょうけど、くれぐれも良い子はマネをしないように❗