乳がんや前立腺がんの手術のあとに「リンパ浮腫」とよばれる症状が出現することがあります。せっかく手術は成功したのに足が浮腫んだり、腕が浮腫む症状です。その対症療法として「リンパマッサージ」がありますが、ダイエットにまで有効というのは明らかに間違いであることは以前指摘しています。
手術後のリンパ浮腫と呼ばれる副作用?
乳がんの手術後のリンパマッサージは多くの方がイメージするエステのマッサージとは大違いで、深い医学知識と術者のテクニックが効果を決める医学的な治療法です。残念ながら下肢の場合は医学的にはこのリンパマッサージ以外には圧をかけて浮腫まなくする「弾性ストッキング」のみがエビデンス的に有効とされています。最終手段としては「手術」がありますので、それについてご紹介します。
リンパ管静脈吻合術という繊細な手術
これらの治療は血管外科を標榜している病院でないとまず手術は不可能だとお考えください。顕微鏡を使用しながら繊細で慎重な手術として知られていますが、病態が100%把握できていませんでした。埼玉にある済生会の三原医師が電子顕微鏡を使ってリンパ浮腫のメカニズムを明らかにした上でこのリンパ管静脈吻合術を行って素晴らしい成果をあげています。
日本の医師ってこのような西洋人と比較して細かい手術は間違いなく上手いですし、さらに研究熱心であるのは間違いないところです。
この手術の成功を左右するのが「リンパ圧」だそうです。足のリンパは心臓のポンプ作用とは別のシステムによってリンパ管のなかを液が流れています。下肢の場合だと歩くという動作によって押し出されているイメージです⋯それを補助するのがエステなどのリンパマッサージらしいのですが、ダイエットには全く効果ないと考えてください。
婦人科領域のがんの手術のあとも「リンパ浮腫」は平常時の3倍の圧がリンパ管に掛かってしまう為に、リンパ管自体がのびきった風船のようになり、反応としてこんどはリンパ管の壁が厚くなってしまい、最終的には詰まってしまう事態となり「リンパ浮腫」を引き起こしてしまうようです。
なる前に先制攻撃だ〜❗対リンパ浮腫
以下はメディカルトリビューンなどから情報を収集しましたが、この三原医師はリンパ浮腫の治療はこのリンパ管が厚くなる前に治療することが重要だと発言しています。つまり、積極的なリンパ管静脈吻合術がリンパ浮腫対策の決め手であるという理解で良いと思います。リンパ浮腫の原因は電子顕微鏡による研究により術前術後の圧の差によって生じていることがわかっています。つまり、手術の影響によるリンパ管の圧を低くするために積極的にリンパ管静脈吻合術を必要性があるのです。
しかし、この治療を完璧に行う為には血管外科・形成外科・リンパ療法士・栄養士などのチームが必要となりますので、くれぐれもご注意ください。
マッサージ屋さんやエステでリンパの流れを良くして、下半身デブを解決なんて簡単にいくわけ無いんですから❗