高齢者のサプリ使用は死亡率を高める⁉特に女性は注意です。

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ビタミン信仰に対する警告ともいえる医学論文が最近増えていますが、サプリメント大国アメリカでも高額な医療費という問題もあるためかサプリメントを愛好するお年寄りは未だに増加しています。

閉経後の女性の安易なサプリメント使用が実は死亡率を高めるという論文まで登場しましたので検討を加えてみました。

アンチエンジングのつもりで飲んだサプリが⋯

60歳以上の女性はカルシウム系のサプリ摂取が増えている

これはCDC(アメリカ疾病管理予防センター)のデータですが、60歳以上の女性が骨を強くするといわれるカルシウム系のサプリを摂っている人が増加しています。

増え続けるサプリメント愛好者⋯特に高齢者

今回取り上げる論文は60歳以上の閉経後の女性に限って飲んでいるサプリによってどのような有益・不利益があるかを調べたものなんですが、結果はショッキングなものでした。閉経後の女性38772人を追跡調査しました。

  • 27%の女性が4種類以上のサプリメントを服用していた
  • 飲んでいるサプリはカルシウム・マルチビタミン・ビタミンC・ビタミンEが多かった
  • マルチビタミンは死亡リスクを2.4%増加させていた
  • マグネシウムは死亡リスクを3.6%増加させていた
  • 葉酸は死亡リスクを5.9%増加させていた
  • 銅は死亡リスクを18%増加❗!させていた

などなど、この論文のサプリメントいじめは続きますが、この辺りで止めときます。死亡率の減少が認められたサプリって無いんでしょうか。

薬が嫌な気持ちはわからないではないですが

このサプリいじめ論文は「Dietary Supplements and Mortality Rate in Older Women The Iowa Women’s Health Study」(Arch Intern Med. 2011;171 (18) :1625-1633.)となっていますので、ひょっとするとアイオア州におけるなにか特殊な状況があるのかも知れません。

アイオア州は人口は米国で30位くらいで、面積も26位であり、アメリカでは普通の州と考えられます。合衆国入りしたのも29番目ですのでアメリカの中間的なデータを収集するには適した地域だとも考えられます。年齢を重ねるとそれなりに持病が増え、服薬が必要とされる薬の種類も増えがちですから、「これって体にいいらしいわよ」なんて言いながら健康維持・エイジングケア目的でサプリを飲みたくなる気持ちもわからないではありません。

薬って副作用も気になるし、医療費も大変だし、生意気な医師と接するのも不快だし気軽に手に入るサプリメントで代用しようと思って当然です。でも副作用が全くないということはある意味効果が全くないとも言えます。

薬を飲んでいる=自分は病気、と思いたくない方が多いのは実際に診療していると経験することですが、私の様な老獪な医師は「これは年齢によるものですから、生活の質を上げる為に服用するくらいの気持ちで飲んでください」なんて返し方をします。今回、いじめの対象になったサプリメントは様々な効果を期待して飲んでいたんでしょうけど、ほとんどのものが普通の食生活を送っていれば十分に摂取出来るんですけど。

最近はビタミン剤がかなり評判悪いです

米国では政府系の機関が妙にサプリメントは効果がないというだけでなく、危険であるとインフォメーションしています。ある陰謀説によると巨大製薬会社が政府に圧力をかけて、反サプリメント運動を起こして病気になる人を増やし自社の製品である薬の売り上げが減らないようにしている、そうです。

でも、政府を動かせるくらい力のある巨大企業なら別ブランドでサプリメントの会社を設立してサプリやビタミン剤を販売すればいいんじゃないの??陰謀説を否定して、お国の発表を信じればやっぱり必要ないビタミンを摂っても健康には反することになる、ということになります。実はもっとショッキングな論文もあるんですが、私のブログが巨大サプリメント企業の目に触れて猛烈な攻撃を受ける心配がありますのでこれ以上書くのは止めときます。

でも、やっぱり近いうちに書きますね、だって日本にそんな巨大サプリメント会社ってないし、大手製薬会社がサプリ販売していますから陰謀論者の説はあきらかに見当外れです 笑。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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