「○○したければ○○しなさい!」的な命令口調の健康法をかなりの頻度で見かけます。
この様なタイトルを付けるのは自称マーケターのかなり怪しい人たちが「今は家を建てるな!家を建てる前に知っておきたい5つの秘訣」とかそんな感じの伝え方が広告として効果的である、と主張したことにかなり影響を受けていると考えられます。
自称マーケターが書いたの多くがビジネス系啓蒙本と疑似科学的健康法を出している出版社が同じ系列の会社であることからも互いに影響をあたえていることがわかります。糖質制限にしろ、ケトジェニックダイエットにしろ、スムージーダイエットにしろ海外の文献を元ネタにしていることが多いのですが、現在の日本の健康法に影響を与えているのが「西式健康法」です。
インチキ民間療法の元祖は結構マトモだった
西式健康法は昭和の初期に日本に大ブームを引き起こしたもので、現在もこの健康法の普及を行っている団体もあります。
この西式を実践して効果があるかどうかは微妙ですが、西氏の考え方にインスパイアされた健康本が多数で回っており、愛弟子と思われるのが甲田光雄医師です。
西式の後継者甲田光雄医師の本は結構面白く、なかなか味があります
この医師のことを知ったのは、私的に本年のトンデモ本ベスト3には入る女性が書いたもので、ここ数十年間一日50キロカロリーで生活しているそうです(大爆笑)。
この仙人生活を送っている女性が師と仰いでいるのが甲田医師なので、西氏や甲田氏の著書は現在入手できる限り入手して読破しました(西氏の文章は文体が古くて、理解するのにかなり難航しました)。
50kcal青汁女史は甲田医師は「オーラが見えていた」と書いているのでオカルト的な人物を想像して読み始めたのですが、至ってまともな内容だったのです(宿便を除いて)。
甲田式健康法はかなーりユルイ健康法
甲田医師の文章には関西人独特のセンスがあり、かなり健康法も緩いのです。西式が軍隊生活のように厳格に決められた運動や食事を継続しなければならないのと大違いです。例えば「断食」という言葉が多用されていますが、朝食を抜くだけで、半日断食したと甲田氏は明言しています。
健康を訴える本では必ず敵に回される農薬に対しても「あんまり神経質にならないでいい、排泄されますから」なんでお茶目なこともおっしゃっています。
野菜を生で食べることを主張している内容の本なんですが、「なぜ生野菜で難病が治るか?」との問いにも完璧な回答を寄せています「私にもわかりまへん」と。
甲田光雄氏の主張は世界を救うか?
過食・飽食の時代を憂いて、日本古来の食事の良さを訴えたかったものだと私は理解しています。ケトジェニックダイエットとかで肉を食え,食えと主張している健康法がありますが、甲田氏は別の観点からこの健康法に警鐘を鳴らしています。
牛肉を生産するのに必要な飼料を人間が食べた場合、世界で飢餓に苦しめられている人々の生命をどれだけ救えるのかと。でも、飼料となるコーンなどって遺伝子組み換え危険説を唱えている一派と甲田氏の信奉者って重なる気がすのは私だけでしょうか?この問いにも明確にお答えしてくれるでしょう「宿便を失くせば大丈夫です」。
こんな素敵な甲田光雄先生ですので、私は速効でお会いしたかったのですが残念ながら2008年に84歳で天寿を全うされていました、ご冥福をお祈りいたします。
しかし、50kcalのおばさんの本が甲田先生がご存命中に出版されていれば、私は元ネタとして先生と著作に接してひょっとすれば直接お会いできたのに、とおばさんのことを一方的に恨んでしまいました。