顔のたるみを改善する「フェイスリフト治療で死亡」って、エステでPRP注入療法は米国でも当然違法です【追記あり】

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フェイスリフトって言葉は美容の世界では切る手術や皮膚を切らないで糸を入れたり、レーザーを使って皮膚の弾力性を取り戻し、老化と重力によって引き下がった顔のタルミを改善する方法を指します。

PRPといって自分の血液から傷などを修復する因子だけを取り出して、肌を若々しく保つエイジングケア法として副作用や異物反応がないため、日本でも安全な治療法として一般的になっています。このPRP治療 (海外ではバンパイアリフトと呼んでいるらしい)で「死亡者が❗」という報道があったので気になって詳細をしらべてみました。

フェイスリフトの治療で死亡者が!米国のエステで起きた事件

再生医療PRP治療の流れ

なぜか米国ではPRP療法を「バンパイアリフト」と呼んでいます

多分血液を使用するので吸血鬼のバンパイアと結びつけのでしょうね。こんな治療法で死亡者が出るはずないのですが、アメリカで死亡者が出た❗と一時期話題になっていましたので調べて見ました。

フェイスリフトで死亡報道の真相はこれ❗

アメリカのABCってテレビで「フェイスリフトで死亡」というニュースをやっていましたが、よくよくみると「ライセンスのない美容サロン(いわゆるエステ)でフェイスリフトをした女性が死亡した」という内容でした。そこで出てきた言葉が「ヴァンパイアリフト」。

ヴァンパイアリフトで死亡報道記事

http://abcnews.go.com/blogs/headlines/2014/02より

こんなことしなくても良いフェイスリフトは多数あります。

糸を使った新しいたるみ治療「テスリフト」について。

糸を使った新しいたるみ治療「テスリフト」について。

自分の血液を使用してフェイスリフトするをヴァンパイアリフト

「Vampire Facelift」という方法は、日本では美容皮膚科でPRP治療として普通に行われている、皮膚の張りを取り戻す若返り方です。もちろん当院でも行っていますが、自分の血液を使用する治療法ですので、異物反応や感染症のリスクはなく、死亡事故が起きる可能性なんて理論的にありえません。

時々アホな医師がこのPRP治療でいらん成分のものを添加してトラブルが起きたという報告は日本でも水面下でありますが、アメリカの死亡事故の場合は、かなりいらんものを混入して顔に注射したようです。さらに元々はこの方(患者さんとは言いません、美容サロンですから)は持病として心臓疾患を抱えていたのです。心臓に問題のある方は局所麻酔といえども医療機関であると細心の注意をはらって注射をします。この事故が起きた場所はあくまでエステであり注射はアメリカとはいえ、医療機関以外での使用は禁じられています。

フェイスリフトブームがやってくると期待していたのに残念

キム・カーダシアも2013年に自分のSNSにこのヴァンパイア・フェイスリフト(PRP注入療法)を行った写真を投稿しています

私たちが行っているPRP療法とは手技的に違った方法であることが予測されます。治療後にこんなに血だらけになることなんてありえませんもの、普通。となると、何かの医療機械または類似する機械を使用して、血液から採取したPPPと他のものを注入した可能性が高くなってきます。

バンパイアリフト直後のキム・カーダシアン

http://www.independent.co.uk/より

ここまで血だらけになるのは、ダーマローラーと呼ばれる針がでたローラーで皮膚をゴリゴリやって薬剤の浸透を高める方法がありますが、現在では余計な薬剤は使用しないでも針に高周波を流すことによって肌を甦らせるヴィヴァーチェなんて方法が一般的です。

ニキビで凹んだ後を修正するために使用するフラクセル(レーザーで皮膚に細かい穴をあける)でさえ、こんな血だらけの顔になることはあり得ませんので。

美肌治療がエイジングケア医療によって一般化されてきていますので、次のブームは重力によって避けようがない「タルミ治療」つまり「フェイスリフト治療」を目論んでいた当院としては、インチキエステよけいなことをしてくれたという思いでいっぱいです。安全にフェイスリフトを可能にする治療法が各種あるのに、フェイスリフト自体が危険な治療というイメージが拡散してしまいます。

エステでかなり危険な治療を行っている

エステで治療自体が違法ですが、多くの方はエステで治療を受けたとは言わないで、施術を受けたと表現します。

日本でも時々無資格者によるシワ治療などがニュースになって、施術を行っていたおばさん(当然、無資格)が逮捕される事件がおきていますよね。今回の悲惨な米国の事故ももともと怪しげな、さらに医療機関ではないところで「フェイスリフト」の治療を受けて、必要のない薬剤を一緒に注射したためにアレルギー的な反応が起き、最終的には死亡に至ったという事件だったようです。

とにかくシワを治療するのは簡単なことなんですが、一番難しいのは治療をする医療機関選びが重要であるのは日本も米国も変わりはないようです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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