今年は肥満治療薬や糖尿病の薬などの新薬が登場していますが、今の季節に多くの方の悩みのタネである「花粉症」を根本的に治すことが可能なものも登場しました。アレルギーの治療は対症療法が主体である為に、根本的な治療法の開発が待たれていました⋯と、書きたいところですが、「根本的な治療法」って実は大昔からあったのです。減感作療法という治療方法です。
減感作療法が自宅で可能な花粉症薬が登場しました
減感作療法や減感作治療という方法はアレルゲン免疫療法という呼び方のほうかプロっぽい呼び方です。花粉症を含むアレルギーはアレルゲンと呼ばれる、アレルギーを引き起こす物質があります。花粉症の場合は今の季節ならスギ花粉ですね。このアレルゲンを少量づつ皮下に注射していく治療法は大昔から存在していました。
私の知人もこれでスギ花粉症を完治させ、大喜びでした。 なぜ減感作療法は流行しなかったのか? とにかく面倒なんです。週に何回も通院して、アレルゲンを薄めた注射を皮膚に打ち続けます。効果が出てくるのが更に数ヶ月後、治療が完了するには数年かかってしまいます。普通のお仕事をしていたら不可能な治療法だったと言えます。
医師だったら自分で注射できるからいいなぁ、と思うでしょうが、医師ほどこの減感作療法に対して積極的ではありませんでした。実は副作用が怖いのです。
この新薬は怖い副作用はないのか?
減感作療法で起きうる副作用の一つにアナフィラキシーショックというものがあります。「蜂に二回刺されると死んじゃう」なんて話を聞いたことはありませんか?
一回目に刺されて時に体内に抗体というものが出来ますが、二回目に刺されたときのその抗体が異常に増加してショックを起こしてしまうと言う怖いものです。給食を食べてショックを起こした事件もありましたが、アナフィラキシーショックがベースになっていたものです。
今回の花粉症の薬は飲み薬ではなく、舌下薬と呼ばれるものです。アレルゲンを含んだ液体状の薬を舌の下に垂らして使用します。つまりスギ花粉を含んだエキスを口の粘膜から吸収させ、その後飲み込むという方式です。今回の花粉症の根本的な治療薬もこんな縛りがあります。
そうなると気軽に処方できる薬では無いようですので、専門医を受診することをお薦めします。皮膚科のアレルギーもアレルゲンを皮膚に打ち込んで確かめる「皮内反応」という検査がありますが、これさえもアナフィラキシーショックを起こす可能性があるため避ける医師も多いので、今回採用された花粉症の新薬も耳鼻科を専門とする医師の間でも賛否はあるようです。
花粉症を避けるには花粉を浴びないことが一番です
って言いたいのけど日本中にスギが植林されていますので、ほとんど不可能ですね。民間療法もありますのでお試し頂いてもいいかもしれません。厚生労働省はなぜか非常に民間療法には冷たいので「花粉症の民間療法に厚生労働省は冷たすぎです(笑)。」というブログも書きました。アレルギーを引き起こさないスギ自体も開発されていますので、それが日本中に植えられるまでは、かなり時間がかかりますので、今ある薬でやりくりをしないと厳しい季節であることには変わりがありません。