キレイに瘦せたいなら炭水化物を食べなさいって狙い過ぎでしょう(笑)!

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糖質(炭水化物)の制限によってダイエットする方法は間違いなく、体重を減らすことができますし、血糖値を下げます。私が炭水化物ダイエットをdisる様なブログを書いたのは「瘦せられるけど、長期的に見た場合のリスクはないか?」ということなんです。医師であっても栄養の代謝の仕組みを十分に理解していない人が多いということもあります。

炭水化物を制限すればそりゃ誰だって瘦せますよ

炭水化物の多い食べ物

海外の論文ほど日本人に悪影響はないことが最近ある程度判明してきましたし、私が尊敬するキレイに傷を治す方法を提唱している夏井睦先生は「炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学」という本を出版するほど、糖質制限賛成派であることは最近になって知りました。

そんな糖質制限ダイエット・炭水化物制限ダイエットブーム中に登場したのが「キレイに瘦せたきゃ炭水化物を食べなさい」という柴田真希氏による本です。この本、かなり事実誤認というか、勉強不足というか、ハッキリ言って間違いだらけなのです。以前「食べない生き方」という本をdisったところ、著者が中年の見栄えのしない方だからだじゃない的コメントを頂きましたが、今回の著者は若く見栄えがする方ですけどdisります、オッサンは。

昔の人はたくさんお米を食べていたのに痩せていた理由

むかしのエネルギーを比較しても意味が無いです。よく糖質制限ダイエットを否定する時に出してくるデータとして昔の日本人は炭水化物でエネルギーを今の人より大量に摂っていたのに肥満が少なかったというロジックがあります。

これはインだけを考えたものでアウトを考慮に入れていませんので比較すること自体が無理なんです。炊事・洗濯・買い物でも今は簡単にお米が炊けて、洗濯機が洗濯して乾燥までしてくれる。買い物自体も多くの人が車を使用しています。

そうなんです、昔の人は日常生活をするだけで大量のカロリーを消費していたんです。

実は糖尿と相関関係がハッキリしていて、世界中で差が見られないのは車の普及率なんですよ。

糖尿病との関連性が強いのは都市化によって車の普及率であることはブログに書きました

摂取カロリーの年次推移

日本人は栄養不良?http://d.hatena.ne.jp/kuiiji_harris/touch/20090219/1235055253

1950年前後は糖質でエネルギーをガンガンとっていたけど、肥満が少なかったですよね、という時に出されるデータです。この本でもグラフは違いますが使っていました。元のデータは厚生労働省の「国民健康・栄養調査結果」ですね、それも平成18年のものです。これは言い難いことなんですが、新しい平成23年のものもありまして、それによるとカロリー摂取自体増えていて2047kcalになっていて上のグラフの2003年より増えているんです。

食物繊維は0カロリー?キノコも海草もカロリ-あるんですけど

この著者は便秘気味らしいので、食物繊維を多く含む雑穀類を薦めています。もちろん雑穀はビタミンを多く含み健康的な食べ物であるは間違いないです。でも食物繊維がカロリー0って、いつ栄養士の勉強をしたんでしょうか?

五訂日本食品標準成分表2007」というのが文部科学省から出されています。以前はキノコや海草はカロリー0となっていましたが、厳密に調べるとカロリーはあります。多分、著者は食物のカロリーが実際にどのようにして測定されているのを知らないんじゃないの(例えばボンブカロリーメーターとか)、と意地悪な理系オッサンは考えてしまいます。

海藻のカロリー

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802/002/009.pdf”より

ファイトケミカル?フィトケミカルが本式の呼び方です

フィトケミカル(phytochemical)のことをファイトケミカル(闘う化学物質?)と表現するのは英語をカタカナに直すために仕方ないことなのかもしれません。でも「食物のもつパワー」って表現をしていますので、ファイトという言葉になった様な気がして⋯少し、重箱の隅をつつき過ぎかもしれませんけど。

ファイトケミカル?がダイエット、がん予防、エイジングケア、免疫に役立つという論調の雑誌・ネット記事が多数見受けられますので、機会がありましたらフィトケミカルを検証してみます。基本的には長期的に人間にとって有用であるかはまだ研究中と考えられるものです。詳しくはアメリカがん協会等の公式見解をご覧ください。

パンがカビない理由が添加物の作用?

これは決定的なことなんで、管理栄養士がこの知識では困ります。大工場で製造されたパンにカビが生えないのは、単純にカビさえ入り込めない厳重な衛生管理のもとでパンが製造されているからなんです。なにも添加物をガンガン加えてカビが生えないように細工しているわけではないことは、理系のオッサン達にとっては当たり前の話なんですけどね。「パンのカビ発生メカニズム」に詳しく書かれています。

なんだ雑穀米の宣伝かぁ!

南国原産の食べ物は体から熱をとって冷やす働きがあるそうです、著者によれば。そして冷え性はダイエットに大敵なんでバナナダイエットは効果無いというロジックを使っていますが、米(コメ)ってもともと熱帯〜温帯が原産なんですよ。

結局最終的には著者がプロディースした雑穀米の宣伝のための本だったようです。もっと変なのは著者が監修している料理のレシピのアプリがあってその名前が「バランスごはん 炭水化物ダイエット」だって。炭水化物をドンドン食べましょう、といっているのと真逆じゃん❗(笑)

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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