【親ガチャ】母親のリテラシーがこどもの健康を左右する

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絵本の良書で知られている福音館書店の子育て中の母親対象の月刊誌「母の友」で拙著が紹介されていて驚きました。

母の友「桑満おさむの著書紹介記事」

絵本の読み聞かせには「リテラシー」を高める云々以上に大切なことがあります。

親の気持ちを悪用するトンデモ医学

絵本の良書で知られている福音館書店から「母の友」という月刊誌がでています。福音館書店の、「こどものとも」「かがくのとも」はセットで子ども達が小さなときに定期購読していました。その福音館「母の友」2022年4月号にてそうそうたるメンバーの仲間に私も入れてもらった『新型コロナとワクチンの「本当のこと」がわかる本』(彩図社)の書評が掲載されていました!

多大な犠牲を払ってまで可能な限り、自分のこどもが幸せに人生を送れるようにするのが親心。たかだか毎月500円程度で良書を読むことができる定期購読をする母親がいる一方で(もちろん、母親だけじゃなくて父親でもおじーちゃん、おばーちゃんでも良いけどね)、無料の情報を得るためにネット上をさまよい、大切な子どもと接触する時間を失っていく保護者もいます。

本を読んだり、本を読み聞かせることが本当の「リテラシー」

ここ数年、よく耳にするリテラシーとは「literacy」という英語のカタカナ読みであり、そもそもは文字を読んだり書いたりする能力のことです。人類が他の生物と大きく違う点はいくつかありますが、「読み書き」もその一つですよね。別に教養を高めたり、お金持ちになったり、勉強ができるようになるために「読み書き」をおぼえるわけじゃないです。「読み書き」を会得することによって第三者とのコミュニケーションが豊かになることが一番重要なポイントなんじゃないでしょうか?

親の年収が子どもの学歴に影響したとしても・・・

収入格差による二極分化が問題視されています。学力格差の原因の一つが親の年収である、との意見も出ています。それを「親ガチャ」と呼んでいると私は理解しています。まあ、自分の容姿についても「親ガチャ」を適用するひともいるようですけどね。

学費を無償化したとしても、塾や予備校に通うには金銭問題がつきまといます。親の学歴が低く、年収も低ければその子どもの学歴は低くなりがちであり、将来の収入も低くなる可能性があり、低学歴・低収入が遺伝してしまうかのごと子々孫々にまで影響してしまうことになってしまいます。

不安を不安なままにするのではなく、知識を得て自分の頭で考えることの重要性

スマホってテレビより悪質な気がしないでもないです。テレビは流しっぱなしの情報をただぼんやり眺めて、識ったような気持ちにさせてしまいます。スマホの場合は自分で検索するという努力を一応はしますので、流れっぱなしの情報ではなく、自分で探しに行った情報であるとの考えに陥ってしまい、テレビ情報よりはネット情報のほうが価値が高いと判断しているひとも少なくはないはずです。

しかし、そんなネット情報も悪質な健康・医学情報に触れてハマってしまうと、フラットな情報や正しい情報からかけ離れたトンデモ医学やニセ医学の深い深い闇に陥ってしまうことが少なくはありません。

【たまひよ】またまたベネッセのママサイトでヘンテコな健康関連記事を発見‼

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ママ向けメディアの「たまひよ」でさえ、この状態です。

ネットで見つけた情報をEvernoteやGoogleキープ等に集積して、再活用している人ってどのくらいいるのでしょうか?得意げにネットで見かけた医学情報を診察室でご開陳される患者さんも珍しくはありませんが、その情報を再表示させてかかりつけ医に見せることができる患者さんはかなり少ないと感じています。

「ネットで見つけた」「ネットで見た」「ネットで知った」は流しっぱなしのテレビ番組で見かけた「テレビでやってた医学・健康情報」と大きな違いはないような気もします。

反ワクチンと呼ばれるお医者さんがネットに跋扈。こんなお医者さんとか、

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こんなお医者さんが子育て中のママを囲い込んでいます。

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一方でオールドメディア、レガシィメディアと可している紙媒体は破棄しない限りは本棚に残すことができます。本の表紙や背表紙を見れば、「これこれ、これに書いてあったっけなあ」と記憶がよみがえり、第三者にも提示することができます。

まあ、私のように買った本を捨てることができない性格だと、数千冊の本が一部屋を占領してしまうと家族に怒られちゃうんだけどねえ。

ゆったりした気持ちで読み聞かせ

絵本の読み聞かせに関して「『絵本の読み聞かせ』の効果の脳科学的分析」という論文があります。この論文は絵本の読み聞かせによる「情緒的結びつきにより,心が落ち着き,リラックスする可能性」に言及しています。

私にとって人文系の論文は守備範囲外なんだけど、この研究は島津製作所の近赤外光イメージング装置である「SMARTNIRS」を使った科学的な手法が取られています。一方でサンプルサイズの問題、対象となったグループの偏りなど少々気になる点はあったとしても、絵本の読み聞かせは脳の血流を指標とした場合、読み聞かされる側(普通は子どもだよね)だけではなく、読んで聞かせる側(母親だけじゃなくて、父親でもいいし、全くの第三者でも当然良い)も精神的な落ち着きを得られることを伝えています。

そういえば当家の家人も子どもに読み聞かせしている時は聞かされる側より先に寝入っていたことを思い出しました(笑)。

このブログ記事を書きながら、「からすのパンやさん」や「ぐりとぐら」など福音館の絵本をパタリと閉じて寝入る瞬間に横をむくと、すやすやと眠っている我が子の姿を思い出してしまった。あの至福の時を過ごせば「親ガチャ」なんて変な言葉を使うこともないだろうし、金銭的・学歴なんて関係なしで豊かな人生を親子ともに送ることができると思います。

どんなに忙しくても寝る前に数分でいいので時間を確保して、絵本を読み聞かせることを強くおすすめいたします。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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