民間療法を伝授するネット広告を覗いてみたら、驚きの遠隔施術「SF療法」ってのにぶち当たってしまいました。
本記事の内容
天才D.C.が開発した民間療法「SF療法」って何?
世の中にはヘンテコな独自の健康方法を実践している人がいるけど、自分で考案して自分で行うのであれば他人が口を挟む必要はないかと考えることができます。
しかし、ひとさま、つまり第三者に対してトンデモ健康法を伝授することは一般人が親切心から行なったものであってもそれなりに罪作りであり、私が以前から批判してきたトンデモ医者は国家資格を持ちながらトンデモ療法を生業としていることはそれなりに戒められることです。
一方で民間療法となると取り扱い注意案件になります。なぜなら正式な国家資格ではないために、明らかな薬機法や医師法に抵触しない限り罰則を適用するにはかなーり障壁があるようで、はっきり言って野放し状態。
そんなこんなの民間療法界隈に燦然と輝く超新星とも言える「SF療法」なる貴重な案件を先日採取したので報告させていただきまーす。
このSF療法はネタ採取のために日々ネット上のリスティング広告を踏みまくって定点観測していた、某社が主催するセミナー形式のトンデモ民間療法の流派の一つです。
なぜ「SF療法」とのネーミングになったのか、SFといえばサイエンス・フィクション(Science Fiction)なんだけど・・・どうみてもオカルト領域の民間療法なんじゃないのかなあ。
米国パーマー大学で4200時間学んだ天才カイロプラクターさんについて
SF療法を開発された方は米国のパーマー大学で4200時間以上も研究と施術を行なったそーで、さらに米国では医師と同じレベルの学位である「D.C.」なるものを取得された、それはそれは権威のある方だと判断してしまう純情無垢な人々もいるんでしょうね。
純情なんて言葉は無縁、無垢ってなーにレベルの私としては詳細を調べないと、最近熱中しているプラモ作りに励めないです(この辺りは私のツイッターのフォロワーさんはご存知のどうでもいい話だけどね)。
米国のパーマー大学とは「Palmer College of Chiropractic」の事だと思われます。カイロプラクティックの大学であり、それなりに論文も多数投稿している研究熱心な大学であることはPubMed等にて確認することはできることはできるんだけど、大学や論文と言ってもピンからキリまであって学問の自由・言論の自由・研究の自由を担保するためには最終受け入れ先的な専門誌も無いわけでは無いのです。
まあ、パーマー大学で毎日8時間お勉強と施術をしていたとしても、525日で4200時間になるので医学部で医学を学ぶよりは短期間で効果的な資格をゲットできる計算になりますね。
謎の肩書き「D.C」っていうのはDoctor of Chiropractic、つまりドクター・オブ・カイロプラクティックの略であり、某ウェブサイト(http://chiro-safety-program.com/dc.html)によれば日本でも同様の資格があるようで、この場合は4300時間の勉強が必要とされています・・・あれっ!!??SF療法の開発者さんは100時間足りないようだけど(笑)。
トンデモインチキ系医師よりはマシかも
22世紀の整体科学との自称しているSF療法に関しては、その効果・効能に関しての詳細はYouTubeで観ることができます。正当な医学の立ち位置から判断すれば笑っちゃうような内容なのですが、まあ、これを頼りにしざる得ない状況に追い込まれてしまっている患者さんがいることついて、私たち医師も猛省をする必要はあると考えております。
一方で、トンデモ系のどうみてもインチキっぽい医療を行なっている医師も少なくはありません。怪しげな民間療法のセミナーと比較した場合、真っ当な国家資格である医師免許を持ちながら科学的・医学的にあり得ない治療を行なっている闇堕ち医師よりSF療法の方がまだ可愛げがあるように感じている次第です。
敵に塩を送るを送ることになるけど、SF療法の理論の裏付けにこれはどうかな?
SF療法は22世紀のサイエンステクノロジーを駆使した米国政府公認の天才D.C.が開発したことになっています。さらにどこのどなたか存じ上げない米国の脳神経科学の権威も推薦しているっぽいのですが・・・こんなのに惑わされちゃう人がいるんだあ、が正直なところの感想です。
SFや22世紀なんてワードを散りばめているのですから、こんなエビデンスでも添えて広告してはいかがでしょうか?
脳内の動き、特に意識に関して量子論で説明できることを2020年ノーベル物理学賞を受賞したオックスフォード大学のロジャー・ペンローズ(Roger Penrose)とアリゾナ大学のスチュワート・ハメロフ(Stuart Hameroff)を「Consciousness in the universe: A review of the ‘Orch OR’ theory」(PMID: 24070914)なる論文を発表しています。
医学に関して波動とか量子力学が出てきたら、ほとんど99.9999パーセントはトンデモであることは以前からお伝えしてきました。SF療法を開発した天才D.C.さんも大きく出て一般の方を煙に巻くのであれが、このくらいの理論を持ち出しても良いのではないでしょうか?
あっそうか、4200時間の勉強では日本のカリキュラムより100時間足りないのでここまでは学んでいなかったんでしょうね(笑)。
気になるよね〜、ノーベル物理学賞受賞者やアインシュタインの弟子が研究した物理法則ってのも(たぶん、量子力学なんじゃないかなあ)。
気になって気になってプラモ作りに専念できない「SF療法」のSF問題。これって商品に満足できなかったら全額返金保証付き+10大特典の情報商材を購入しないと判明しないのかもね。