マトリョーシカ状態のフェイク情報を拡散するトンデモ女医さん

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毎度お騒がせのトンデモ女医さんが、どう見てもワクチンは接種するべきでは無いと読んだ人々に思わせるTweetをしております。

肛門科女医みのり先生

ご自分のことを○○先生、と名乗っちゃうのもかなり違和感が。

元ネタをしっかり読んだのかよ、という代物です(苦笑)

一次ソースとか、引用元の信頼度なんてもんはなんのその、自分のツイートやブログが話題になれば良い、という方もいるでしょうね。言論の自由は最低限守るべき、守られるべきがプリンシパルである私ですが、医学情報、それも旬のものであればあるほど慎重に扱うべきであると考えています。

よりによって「ワクチンが原因で生理の血が青くなる」なんてことを以前ツイートしていたのがこの女医さんなんです。

トンデモ女医さんへ、「ワクチンが原因で生理の血が青くなる」ワケが無いじゃん!!

トンデモ女医さんへ、「ワクチンが原因で生理の血が青くなる」ワケが無いじゃん!!

思いつきなのか、情弱なのか、本当に医師なのか、デリケートな戦場に果敢に間違った医学知識で斬り込むチャレンジャーなのか・・・。

この肛門科の女医さん、定点観測していたところ前掲のトンデモツイートを見かけたので、何を根拠としてこのようなことを言い出しているのか余計なお世話でしょうけど調べてみました。

本当に公開された機密文書なの?

後ほど詳細は述べますが、トンデモ肛門科女医さんがご自分のブログで紹介(たぶん自分では一次ソースのつもり)しているヘンテコなブログ(がんの激増(卵巣など)はコロナワクチンが原因?ファイザー機密文書と英国の統計からの考察)もこれまた他のブログ(カウンセリング赤坂)を一次ソースとしています。

例えば「公開されたファイザー社の機密文書」と称しているのは「A Tissue Distribution Study of a [3H]-Labelled Lipid Nanoparticle-mRNA Formulation Containing ALC-0315 and ALC-0159 Following Intramuscular Administration in Wistar Han Rats(PDF)」のことだと思われます。

この詳細な内容はともかく、この研究は動物実験におけるものですから、即人体に同じ影響を及ぼすとは限りません。

ワクチン接種で卵巣がんが急増!!??

さらにヘンテコな女医さんが引用しているブログに書かれている、ワクチンが卵巣に蓄積することが原因で英国では卵巣がんが史上最高になったことを受けて、この女医さんは「ワクチンを接種した人は読みたくないかも・・・。」とツイートしています。

英国で新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されたのは2020年12月。本格的にワクチン接種が広く行われたのは当然2021年でしょうから、本年2022年3月現在で2021年におけるがんの発症数が既に把握できているのか?とちょっとでも公衆衛生や健康関連、特にがんに関するデータに触れた人ならば医師で無くても不思議に思うはずです。

ワクチンを打ってすぐがんが発症するわけないじゃん!!

この女医さんが引用したブログ中で卵巣がんに罹患した人のデータが記載されていますが、確かに2021年の卵巣がんと診断された人の数は2019年及び前年2021年を上回っているかのように見えます。

ワクチンでがんが急増というデータ

普通、このグラフを見たら2020年はコロナパニックで受診するのを控えた人が多かったために2021年にがん健診などを受診したので2020年より2021年に卵巣がんと診断される人が増えたんだろうね、と解釈するはずです。

日本においても2020年にはがん検診を受診する人が激減したために、胃がんとして記録された方が11%以上も激減したことが知られていますもんね。

がん情報サービスの「がん統計予想」はあくまで予想、そりゃそうですよね、2021年の罹患数が2022年の3月に判明するわけがないですから。

これによれば2021年に卵巣がんと診断される予想数は13,100人、残念ながら2020年のデータがあれば比較して2021年、つまりワクチン接種後の卵巣がんの罹患数の増減がわかるのですが、参考とするのであればしっかりと実数のデータが確認できる2016年に卵巣がんと診断された人は13388人です。

スコットランド公衆衛生局によれば・・・やっぱり一次ソースを確認していないでしょ!!

変な女医さんが引用しているブログがこれまた引用しているスコットランド公衆衛生局のサイトなのですが、卵巣がんのことなんて一切書かれていないんだよなあ・・・

英国では卵巣がんが増えているという不確かな話

そもそも孫引きの孫引き、信頼度はスッカスカ

このヘンテコな女医さんが自分のブログで引用しているソースはこれ。

デマ:コロナワクチンで卵巣がんが急増

そしてこの無責任な世界の裏側ニュースと称するブログが引用しているのがこれ。

デマを拡散している記事

おまけにこれも一次ソース的に掲載しているけど・・・。

ワクチンに関するデマを拡散しているサイト

どこからどう見ても怪しげなサイトじゃん!!

マトリョーシカ状態の与太記事に翻弄される肛門科女医さんですね。

コロナウイルスに感染すると生殖器にダメージを受けるリスクがある

毒はなぜか下半身方面に蓄積し、病気の原因になってしまうというのがトンデモさんのお約束、ワクチンが「生理の血が青くなる」「卵巣がんになる」もその影響かと予想されます。

実はワクチンが原因ではなく、新型コロナウイルス感染が男性の生殖器に異常をきたすリスクがあるとの説が出ており、ワクチン接種によって精巣へのダメージが回避できることを伝える論文があります。

「An immunoPET probe to SARS-CoV-2 reveals early infection of the male genital tract in rhesus macaques」(PMID: 35262081)は査読前のプレプリントであり、対象はアカゲザルだけど、肛門科女医さんがネタもととしている与太話よりは信頼度が高いと思われます。

最終的にはお約束のトンデモ系ニセ医学に誘導

ヘンテコな女医さんのブログに戻りますね。この記事を読んで不安を感じた方に対して親切な動線が貼られています。

トンデモ系ニセ医学のサイト

https://archive.ph/t0yOV

この親切なウェブサイトはお察し案件でした〜!!

トンデモ感染症治療クリニック

このトンデモクリニックを追いかけていくと、けっこう面倒な人々が出てきそうな予感がするので、やっとこ発熱外来も落ち着きを取り戻し安寧な生活を送ろうと考えている私としては本日はこの辺りでやめておきます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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