誕生学なるトンデモ学問を勝手に推進している大葉ナナコさんという、環境省の環境アンバサダーや東京都青少年問題協議会委員を歴任している方がいらっしゃいます。
このちゃっかり公的役職に就任している大葉ナナコさんがなんと、あのヴィーガン給食の公立小学校で講演をなさっていました!!
とにかく「自然なお産を」との主張が溢れたトンデモ本「体と心にやさしい ナチュラルなお産」(アスペクト)を読んでの感想を述べさせていただきます。
本記事の内容
大葉ナナコさんとヴィーガン給食校長は環境アンバサダーつながり
私は医師免許を長らく保持していますが、産婦人科が苦手で特に産科に関しては居酒屋で隣り合わせたオッサンより知識がプアーである可能性が高いことを前もってお伝えしておきます。
そんな私と比較して5回の出産経験をお持ちである大葉ナナコさんは出産に関してはお言葉を拝聴するべき方なのでしょうけど、妊娠・出産に関しての科学的・医学的な知識と思考は独自の解釈に溢れたトンデモなんです。
公的役職を数々こなしているらしい大葉ナナコさんは例のヴィーガン給食を行った小学校で2019年2月10日に「誕生学」、同年2月18日に「みんなで創る私たちの未来」という題名の講演を行なっています。
ヴィーガン給食問題に関してはこの記事をどーぞ → 【トンデモさん引き寄せの法則】フードファディズムを助長するヴィーガン給食校長の問題点
環境アンバサダー繋がりでトンデモさんを講師として次々と招く公立小学校の校長も問題ですが、ノコノコと小学校で「誕生学」なる妄説を開陳される大葉ナナコさんもかなり問題だと考えております。
大葉ナナコさんが科学的知識及び医学的知識がど素人であることは以前ブログ記事でも取り上げました。
自然なお産は文化である!!って誰が決めたの???
「ナチュラル」との言葉に妙に惹かれてしまう現代人の心の隙間を狙ったかのような大葉ナナコさんの著作「体と心にやさしいナチュラルなお産」では帝王切開は自然なお産文化に反するものである、との言質で溢れかえっています。
無痛分娩が多いことで有名なのはフランスですが、その背景として、フランスは製薬会社がとても多いということがあります。
「ナチュラルなお産」P 38
無痛分娩は製薬会社の陰謀だあ!!
とも解釈できますね。でも国々によって医療制度は大きく違っています。無痛分娩が多い国では産後の入院期間が短いことが特徴で、英国だとキャサリン妃なんて出産の翌日に退院したことで驚いた人もいるんじゃないかな?
産後の母体の回復期間を短縮するために無痛分娩が行われていると常識的には解釈できるのではないでしょうか?逆を言えばナチュラルな自然分娩はリスクがあるということにもなります。
ちなみにフランスには製薬会社が多いと大葉ナナコさんは述べていますが、私は製薬会社の数を調べる能力は無く、陰謀を企むレベルのフランスの大きな製薬会社としてはサノフィくらいしか思い浮かびませんでした。
2019年はロッシュが売上高トップでした。ロッシュはスイスの製薬会社ですから、無痛分娩が多い理由が製薬会社の陰謀なのであればフランスより無痛分娩率が高いのでしょうね、その辺りの知見をぜひ大葉ナナコさんにご教示願いたいと思います。
100年前のナチュラルな妊娠ライフが理想???
100年前のお産状況について、大葉ナナコさんは
お産で多くの人が死んでいただろうと短絡的に思う人もいるようです。
と昔はお産がきっかけで亡くなる人が多いと考える常識的な知識を否定しています。
信頼度が高いと考えられる国立社会保障・人口問題研究所の資料として明治32年(西暦だと1899年)から2019年までの妊産婦の死亡数と死亡率を見てみましょう。
大葉ナナコさんが「ナチュラルなお産」を出版したのが2007年、その100年前である1908年(明治41年)近辺の妊産婦死亡率387.8〜333.0であり2007年は3.1!!
明治時代、妊婦さんは今の100倍以上死んじゃってるぞ!!
という結果になっています。ナチュラル、自然がとにかく良い、自然なお産は文化であるとさえ述べている大葉ナナコさんはどのような資料に基づいて本をお書きになっているのか非常に気になりますし、産婦人科が苦手な私としては文献などをご教示いただきたいと存じますぜ。
まあ、エビデンスなんて考え方をしない大葉ナナコさんですから、胎内記憶なんてトンデモ系悪質ニセ医学を信奉しちゃっていることは先日記事にしました。
胎内記憶は幼児虐待さえも肯定してしまう思想であり、大葉ナナコさんは児童の前にでちゃいけない人だと思いますぜ。
環境アンバサダー大葉ナナコさんとヴィーガン給食校長
講師を招いて講演を聴くという行事は児童にとっては記憶に残る体験となり、時間が許す限りはどんどん行われることが望ましいと考えています。
しかし、トンデモさんやニセ医学方面の方を小学校に招いて講演会を開催するのはいかがなものでしょうか?
この方はヴィーガン給食の小学校で2021年5月20日に「ZEN呼吸法」という講演を行なっています。
環境アンバサダーという環境省の称号があります。大葉ナナコさんは
一般社団法人BIRTH&EARTH 代表理事・バースセンス研究所 代表取締役 自身の初産時から女性の身体能力やセルフケアに関心を持ち、出産準備教育を学ぶ。自尊感情を高めるいのちの教育プログラム「誕生学」が行政・学校・PTA・育児支援企業等に好評を博し、年間800 校~ 1,000 校で授業を提供している。
https://www.env.go.jp/nature/morisatokawaumi/ambassador.html
と紹介されています。一方のヴィーガン給食の校長先生は
持続可能な開発のための教育(ESD) を研究し、日本ユネスコスクールESD 大賞で最優秀賞を受賞。SDGs を広げ、持続可能な社会の形成者を育成するために、(以下省略)
と紹介されていることがわかります。
またヴィーガン給食のきっかけとなったと考えられる室谷真由美さんも環境アンバサダーであり、
モデル/ ビューティーフード協会 理事長/ 日本ヴィーガン協会 理事長カラダの中からキレイになれる食を追求し(以下省略)
とプロフィールが書かれています。
室谷真由美さんも大葉ナナコさんと同じ思考・嗜好なのか偉い人がお好きなようですね。その件は以前書きました。
なお環境アンバサダーの岸紅子さん・藤田承紀さんもこの小学校で講演を過去にされたことを保護者の方に教えてもらっています。
とにかく環境省の環境アンバサダーという肩書きに惑わされてしまっている児童及び保護者も少なくは無いと思います。
ヴィーガン給食の小学校に講師として招かれた方の中にはマルチ商法系アロマの信奉者も混じり込んでいるとの話も耳にします。環境アンバサダー繋がり及び自然派拗らせた方々に児童が毒されないことを祈るしかなさそうです。