トンデモ女医さんへ、「ワクチンが原因で生理の血が青くなる」ワケが無いじゃん!!

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医師でありながら科学的思考を放棄したかのようなツイートをしちゃう人が後を絶ちません。例えばこれ・・・。

生理の血が青くなった

https://twitter.com/koumonka_doctor/status/1470334689026375680

なぜ普通の診断を行う過程や思考を経ずに、身体の異常をワクチンと結びつけちゃうのでしょうか?

ワクチン接種で生理の血が青くなったと騒ぐ肛門科専門医の女医さん

ワクチン接種後にいつもと違う身体の状態になってしまう人がいるようです。多くは免疫機能の刺激による注射部位の腫れや発熱だと思われます。医学常識では予想できなかった身体の反応の全てを否定することは科学的思考を放棄したものと考えることもできます。しかーし、

ワクチン接種が原因で生理の血が赤くなるとの話は理解不能!!

それも医師が生理時の出血が青かったことをブログに書きツイートしていることに驚愕してしまいました。

ワクチン接種後の月経異常で青い血液が出た

「みのり先生の診察室」より

自分のブログに「先生」と付けちゃうセンスもどうかと思うけど・・・。

ワクチン接種後の月経異常として青い出血!?

血液の色は誰であっても赤いことは医学常識というより、一般常識です。しかし、皮膚を通して見える血管はなぜか青っぽく見えますよね。その理由は身体の表面から見える血管のほとんどが静脈であり、静脈が青っぽく見える理由は皮膚を通して見える光の波長の違いであって、実際の血液が青いことはあり得ません。

なのにこの医師は

また以前ブログで書きましたが、生理の血が青くなって、それがワクチン接種後半年経っても治らないという20代女性もおられます。

ワクチン接種後の”月経異常”

なんてことを書いています。

さらに引用としてスウェーデンの外科医である宮川絢子先生のツイッターを引用しているブログを孫引きしていますが、宮川先生はワクチンの「有害事象」としてツイートされているわけで・・・有害事象=副作用では無いことを肛門科専門医の女医さんは理解していないのか、あるいは引用した記事中のこれまた引用したツイートの内容を読んでいない可能性もありそうです。

生理の血が青いと勘違いさせてしまう生理用ナプキンの広告の見過ぎじゃないの?

テレビやネットの画像で真っ赤な血が噴き出るシーンに拒否反応を起こす人もいるでしょう。私もクリニック内で血液を見てもなーんとも思わないけど、子どもたちが小さい時に転んだりして出血をしてしまうと背筋がゾーッしたりしました(苦笑)。

生理ナプキンメーカーのCMでナプキンの月経血の吸収性を示すために、このような画像が使用されることが多いようです。

青い液体と生理用ナプキン

ソフィ・超熟睡ガードのCMより

「多い日も安心」とのキャッチフレーズとともにスポイトで青い液体を生理用ナプキンに垂らして吸収性を訴求するCMを見た方も多いと思います。これを見た純情無垢な人は「ひょっとして生理時の血液は青いのかあ」と誤解しちゃうかもね。

しかし、子どもじゃないし医師免許を持っている人が生理の血が青い、とブログに書いてツイートしてしまうのは非常に恥ずかしいことだと思いますぜ。

さらに高齢者がワクチン接種がきっかけで生理が来た、なんて事まで信じ込んでしまうと医療過誤の原因にもなりかねません。

閉経したのに生理が来た・・・それって不正出血じゃないの?

かなりキテいると思われるこの医師はこんなことも書いています。

ワクチン接種後に生理が来た・・・という閉経している60代、70代女性患者さんを私も数名経験しています。

https://ameblo.jp/drminori/entry12714241639.html

高齢者の不正出血(老年性不正性器出血)は私のような泌尿器医であっても経験するのは珍しくありません。健診などの尿検査で尿潜血陽性と判定されて泌尿器科を受診しても尿中に血液が混じり込んだわけではなく、性器からの出血が原因であることは極々普通のことです。

このトンデモ女医さんは数例ワクチン後に生理が来たと来院した60代・70代の患者を経験したと述べていますが、当院レベルであってもワクチン接種+血尿OR潜血陽性の患者さんは数名レベル以上経験していますぜ。

そのような場合、子宮ある腟(膣と書くのは素人が多い)、あるいは下着による摩擦や尿道カルンクルが原因であることが多いですし、後述する子宮体がんの初期症状であることもあります。

日本の高齢者の90%以上がワクチンを接種しています。これだけ高確率でワクチン接種が行われていない時代であっても、下着に血液が付着した、トイレで血液が滴り落ちたとの症状で泌尿器科を受診したけど、出血部位が性器であったと診断された患者さんは数多です。

高齢者の不正出血で見逃してはならない病気として子宮体癌による出血があります。子宮体がんの患者さんが年々増加していることは婦人科を専門としていない医師の間でも常識となっているはずなんですけど。

子宮体がん患者数年次推移

子宮体がんの罹患は50歳代から60歳代がピークですが、不正出血が早期の症状として現れることも婦人科を専門としない医師であっても知っているはずですし、知っておかなければならない知識です。

原因と結果を明らかに見間違っているこのようなお医者さんを受診してしまった患者さんのその後が心配でなりません。

生理時の血液が青いと主張する肛門科専門医の女医さんのご様子

この肛門科専門医の女医さんのブログを拝見すると、ワクチン慎重派というより反ワクチン的な主張が多く見られます。またブログ中にワクチンを受けたらデトックスとか栄養療法・サプリメントというカテゴリーがあったり、さらに限りなくニセ医学である分子栄養学も実践しているお医者さんであることを知ることができます。

分子栄養学信奉者であろうと、オーソモレキュラー療法を採用していようと、ホメオパシー信者であろうと、自然派を拗らせていたとしても今回だけはワクチン接種を行なって欲しいと思うんだよなあ。それができないならせめてワクチンを打とうと判断している方々、ワクチンを接種した方々を不安に陥れる間違ったトンデモ医学情報をご披露するのをお控え願いたいと思うぞ。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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