アルツハイマーの原因が殺虫剤!虫嫌いの方は注意?

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最近、カブトムシでさえ気持ち悪くて触れない、なんて子供がいます。中学校で行なうカエルの解剖なんて卒倒者続出との不確かな情報もあります(笑)。と偉そうに行っている私ですが、カエルはなぜか子供の時は平気だったのに、大人になってからは全く触ることが出来なくなったのはなんだろう?女性の多くはゴキブリを忌み嫌っていますが、あの光沢と予想不可能な動きに動揺するのではないでしょうか?

案外知られていない殺虫剤の正しい使用法

農薬を散布する姿

アルツハイマーなどの認知症になる原因として「景気が悪いと将来「認知症」が増える!」なんて言われていますし、認知症の見分け方として「認知症を診断する簡単な方法、二つ質問するだけでOK」という話もあります。さらにアルツハイマーを防ぐ為には食事に気を使う「地中海ダイエットは認知症にも効果あり」とされていますが食べ物に含まれる残留農薬の中で殺虫剤が含まれていると認知症になる危険が増えることが以前から指摘されています。

実は安易に使用している殺虫剤ですが、正しく使用している方って案外少ないのです。

家庭省殺虫剤アースジェットとキンチョー

噴霧式のものは飛んでいるハエに直接放射する方が多いのですが、これはCMでの使い方や殺虫剤自体の形状から予想される動作です。本来はハエの飛んでいる部屋全体に一定時間噴霧しておけば、殺虫剤を含んだ空間を飛行したハエが退治できるんですけど。

私もクリニックのスタッフにそのように使用するよう日頃から指導していますが、なぜか飛び回るハエを追いかけ回して噴霧する「肉食系女性スタッフ」が当院では主流となっています。頭上を飛び交う殺虫剤に曝露されながら、論文読みを行なっている私自身の健康状態はどのような影響を受けるのか調べてみました。

ジクロロジフェニルジクロロエチレン(DDE) とアルツハイマーの関係

ジクロロジフェニルトリクロロエタン (DDT) はその危険性から少なくとも先進国と呼ばれる国では使用されなくなっていますが、DDTが体内で変化して生体内で変化して生成されたジクロロジフェニルジクロロエチレン(DDE) という物質が先進国の人から検出されています。

このDDEなかなか分解されないく、脂に溶ける性質(脂溶性も高い)により、発展途上国で使用されているDDTが原因となって、食物連鎖の一連の流れにのって先進国の人の中に入り込んでいる可能性は否定できません。このDDEの血中濃度がアルツハイマー病の人に高く認められることから、DDEとアルツハイマー病の関連性を調べた論文がありました。「Elevated Serum Pesticide Levels and Risk for Alzheimer Disease.」(JAMA neurology. 2014 Jan 27; doi: 10.1001/jamaneurol.2013.6030.)という題名でJAMAの神経系を取り扱ったオンライン版に掲載されていたので、信頼度は高いものだと思われます。アルツハイマーはADと略して書かれていますが、この論文の対象になった人はこのような背景です。

殺虫剤とアルツハイマーの関係

この研究に協力してくれた人はアルツハイマー(AD) のひとが86人、健康と思われるひとが79人です。ADであることはMMSEスコアという方法を用いて判定しています。そして血液中のジクロロジフェニルジクロロエチレン(長いのでDDEと略して話を進めていきますが)の濃度を調べてADとDDEの関連を調べた結果が下記のようになったのです。

DDEとアルツハイマー型認知症の関係グラフ

アルツハイマーの場合は比較したグループの3.8倍のDDEが検出されました!

仕事で殺虫剤に触れる人は注意が必要?

DDEは基本的に先進国では使用されないDDTが原因物質となって体内に存在しますので、農家の方や私のようにスタッフに殺虫剤を故意、あるいは過失で噴霧されても心配はありません(でも、なんで私の頭上ばっかり狙うんだろう?かなり故意である可能性高しです)。実は以前から職業上殺虫剤を使用する人にアルツハイマー病の人が多いと囁かれてはいました。

日本では1971年以降は使用が禁じられているDDT

日本では1971年以降は使用が禁じられているDDTですが、米国でも1980年代には使用が禁じられているはずです。今回の研究は直接殺虫剤を使用してDDTに曝露した結果、体内のDDE濃度が高くなったとは思えないのです。現在DDTは中国とインドで製造されており、これが発展途上国においてはマラリヤの感染拡大を防ぐ為に使用されています。

過去には中国野菜からDDTが検出されたという事件もありましたので、海外から輸入される食品には注意を払う必要があります。でも、最近DDTじゃないけど、農薬を故意に悪意をもって混入させた日本の派遣社員もいましたね。食の安全ってどこまで自分自身で守ることができるのか、追求すればするほど不可能なように思えてきました。

そういえばDDTを製造していた製薬会社って、昨年高血圧の薬に対する治験でインチキした会社だったなぁ⋯悪い社風もDDEのように自然ではなかなか代謝排泄されないんですかね!

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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