ここ一年半以上デマ系医学情報が氾濫しています。全く医学的根拠のないデマを親切心からタレ流してしまう人も目立ちます。
以前から健康医学方面のデマが多いとされているFacebook、ひさびさに覗いてみたらすごいことになっていました。トンデモさんのお手本をご紹介しますね。
本記事の内容
ピレスロイドを吸うと新型コロナ感染症が消える⁉?
先日、Facebookにこんな投稿があるよ、と教えてもらいました。
ピレスロイドで症状が消える⁉?あのねえ、ピレスロイドって殺虫剤の主成分じゃん❗
この方の文章は句読点を極限にまで減らした怪文書界隈でよく見かけるものですね、時々私もこんな感じの空間を字で埋め尽くしたお手紙をいただくこともあります(笑)。
非常に読みにくい文章であるため、私が余計なお世話でしょうけど、内容をわかりやすく分解してさらに真偽を確かめてあげるね。
ジムで知り合いになった人がダイアモンドプリンセスに乗船?と妄想
文章のトップに結論を書いている点は好感度高し!ですね。次の行からすごいことになっていますので少々整理をしてみます。
- ジムで知り合った人がクルーズ船に乗ることが趣味である
- 最近見かけないのでダイヤモンド・プリンセス号に乗っていたのでは?と思った
- ジムで知り合った人は乗船していなかったと答えた
- ところがどっこい、その人と近距離で筆者は会話してしまった
- その後突如と胸痛を感じた
- うつされたあ❗
ってことらしいのです。ここまではこれでいいかな?次から治療編だよ❗
蚊取り線香で症状が緩和???
半年以上、不思議な症状に悩まされていたこの方は、たまたまアースジェットを噴霧したところ、症状が全部消え去ったとのこと。
アースジェットの主成分であるピレスロイドによって悩ましい症状が消え去ったために毎日ベランダで蚊取り線香をたいてしまっているめちゃくちゃ確証バイアスがかかった純真な心と親切心あふれる方のようです。
だってこの方がベランダで蚊取り線香を焚くことによって階下のジムで咳をしていた人たちの咳がピタリと止まってしまったのですから、そりゃ蚊取り線香をがんがん炊きますよね。
蚊取り線香をよそさまに吸わした場合、こんな厄介なことが
蚊取り線香は通常の使用ではそれほど安全性を気にする必要はないことを前もってお伝えしておきます。
蚊取り線香を燃やした場合、発がん性があるベンゼンが発生することが知られています。主成分であるピレスロイドが殺虫効果を発揮するのですから、問題があるベンゼンが出ない工夫としてフマキラーの「ベープマット」シリーズや「アースノーマット」が開発されたことが大いに予想されます(この辺り、フマキラーの関係者に後日確認するね)。
ピレスロイドについてはこちらもどーぞ。
発がん性のあるベンゼンを階下の人たちに吸わせて大丈夫?
このオバサンは若い子たちに発がん性が懸念されているベンゼンを吸わせちまっていますぜ。
ピレスロイドという薬剤で蚊取り線香にも多く入っているようなので、それ以来ずっとベランダで蚊取り線香をたいています。すると階下のジムに来ていた子らが物凄い咳をしていたのですが咳が止まった様でしたので、恐らく有効と思って以来ずっと焚いています。
https://www.facebook.com/100008940341382/posts/2627745354200117/
オバサン(オジサンの可能性も)!主成分であるピレスロイド以外に発がん性物質を振りまいてはダメじゃん❗
と私は考えた次第です。
定番の水素水の登場❗
こんなことも書かれています。
ジムの契約をして会費は払っていたのですが運動にはいかず追加で頼んでいた水素水を飲むと風邪をひかないという話があったので入り口に置かれていた水素水だけを汲みにジムに行っていて入口周辺に集まった子らが物凄い咳をするのを見たのです。
このオバサン(オジサンの可能性も否定はできない)はちゃっかり屋さんのようで、階下のジムまで水素水を汲みに行く日々のようです。
さらに日々アースジェットを吸いまくる生活であることをFacebookから伺い知ることができます。
体調が悪い時はアースジェットを吸いなさい❗(笑)
豊橋技術科学大学 大学院修士課程工学研究科物質工学専攻という輝かしい学歴をもつこのトンデモさんは1982年に卒業しているようなのでオジイちゃん・オバアちゃんと呼ばれるよりは若くてお兄ちゃん・お姉ちゃんと呼ぶほど若くはないので、やっぱり「オバサンまたはオジサン」のカテゴリで良さそうです。
よっぽど勉強好きだったようで、1979年と1982年の2回も豊橋技術科学大学へ入学している一方で1982年に入学するとともに同年に卒業という離れ業も披露しています。
ひさびさの大物トンデモさんですね。
ぜひぜひ経験則にしたがって「体調不良はアースジェットで治しなさい!」とか「99%が知らない真実 病気はアースジェットで治る」とかの著書が出ることを願っています。
トンデモさんの涙ぐましいエピソード
豊橋技術科学大学を卒業したトンデモさんはピレスロイド依存症になってしまったのかもしれません。
その後免疫が無くなったように少しでも咳をする人が周りに居るとただちに風邪をひくようになってしまいました。その度にアースジェットを床に撒いたりして少し吸って治していました。
ピレスロイドの比重は1.108、気体の比重は空気との比較ですからピレスロイドを床に撒いてそれを吸引できるんでしょうか?階下のジムには確実にピレスロイドを届きますけどね。ちなみに発がん性のあるベンゼンの比重は0.87なのでジムに人達にベンゼンは吸わせないで済んでいたようです。この辺りはさすがの学歴をお持ちのトンデモさんですね。でもよくよく考えるとこの方が最上階に住んでいない限り上階に方々にはベンゼンを吸わせちゃっている可能性もありますねえ。
ちなみに私もアースジェットを愛用しています。
もちろん嗅いでまわったりはしませんけどね。
※私が考えるトンデモさんの定義は、「ご本人が説明すればするほど科学的思考から外れていく本を出していること」なんです。さらに条件があってひと様に迷惑を書けない点と本になっていることがトンデモさんのマスト事項であり、ニセ医学として批判・批難を浴びせかけることの無いように気をつけています。早く本をだしてくれないかなあ。
※トンデという言葉はそもそもは「トンデモ本」が起源です(笑)
ところでこのFacebookの方、誰に話しかけているんだろう。そもそも友達も数人のようなので「デマ」と見出しに入れてしまったことを少々後悔しつつ、トンデモさんに事後処理的にお詫びしておこうかな。
そう言えばこんな本を書きました。ニセ医学本にはかなわないようで書店に在庫がてんこ盛り、よろしければお買い上げくださいませ。期間限定でこんなこともやっています。
拙著“意識高い系"がハマる「ニセ医学」が危ない!
— 桑満おさむ (@kuwamitsuosamu) September 11, 2021
恥ずかしいことが2つあります。
1:売れ行きがいまいち
2:痛恨の誤植が一か所
以上より、誤植を見つけた方先着10名様に豪華御礼プレゼントを企画。誤植を見つけた方はプレゼントの準備ができるまでそおーっとしておいてね。https://t.co/oBL1vUPNJh
実用的なプレゼント、間違いなく拙著より高額だよ。2021年9月にはじめたイベントなので今月いっぱいくらいで締め切る予定です。