花粉症の民間療法に厚生労働省は冷たすぎです(笑)。

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春になると多くの人を悩ませる花粉症ですが、二月にスタートするのはスギが原因物質アレルゲンとなり、アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎、さらに肌荒れの原因になっている場合もあります。

「花粉症の民間医療について」の厳しい評価

毎年決まった時期に症状がでる「予期できる病気」である為に、医療機関は基本的に前もって抗アレルギー薬の服用と花粉を取り込まない方法で対処できるとしています。

でもやっぱり体質的に改善できないかな?なんて花粉症になってしまう方は希望されるのは当然だと思います。減感作療法という、簡単に言えば体質を変える治療方法があるのですが、効果が発揮する為には何回も通院しなければ行けませんし、アナフィラキシーショックという重篤な副作用も起こりかねませんので、ついつい「民間療法」に魅力を感じてしまう傾向を私たちが積極的に止める事はできません。

お役所仕事の典型(すんません!)とされる厚生労働省のHPでは、結構過激な表現で民間療法に安易に手をだすことを警告しています。

花粉症の民間医療を代替医療と言い切っている

のっけからそのサイトでは「民間医療(代替医療)とは」から始まっていて、医師である私でさえ、こんな上から目線で民間における治療法を一部の極端なインチキを除いては言い切れません、さすがお役人様です。その俎上にのっている民間治療法・民間医療は健康食品や食品は解るのですが、厚生労働省が認めている漢方や鍼灸まで代替医療としていて驚かされました。

厚生労働省花粉症に対する民間療法

厚生労働省HPより

食品類に対しては「まあまあ大人の対応を!」なんて絶対言われたくない私でさえ思わず言ってしまいそうな勢いです。

問題となっている花粉症の民間医療と民間療法

個別に挙げられている治療法はこんな感じになっています ・前記の食品類 ・鼻スチーム法 ・温泉 ・アロマセラピー ・気功 ・波動水 ・鍼灸 などです。波動水とか気功は明らかに医学的見地からはインチキですので、これを問題ありとするのは納得ですが、他の治療法は自律神経系に作用する事によってある程度の効果は期待できると思います。厚生労働省の民間医療に対する調査では下記の様な結果がでました。

花粉症の民間療法の種類

これはアレルギー性鼻炎の患者さん6679人に対して行なった調査結果らしいのですが、縦軸が民間医療を受診した事がある人の数で割合としては19%の人が経験したことがあることが判明しました。

民間療法でも効果がある程度認められることもありますので、その結果をまとめると

  • 漢方⋯50%(そりゃそうでしょ、当事者が承認しているんですから)
  • 鍼⋯44%(効果がなかった人 44%と微妙になっています)
  • 鼻スチーム療法⋯46%(耳鼻科でも行なっている様な気がするんですが)
  • 鼻洗浄療法⋯46%(アレルゲンを直接取り除くからそれなりに効果はあるでしょうね)

となっています。

ここまでは「まあ効果あるんじゃない?」といった気軽な判断のようですが、健康食品系となると結果はかなり厳しいものになっています。

  • 甜茶14%
  • クロレラ8%
  • しそジュース18%

つまり、食品類じゃ殆どの人に効果がないよ、という事です。

花粉症の民間療法の評価

厚生労働省HPより

厚生労働省の民間療法に対する危機感

米国では医療費が高額であるためと国民皆保険制度がないために、民間医療・民間療法を受ける人が半数以上いるとされていますが、お国が国民界保険制度を四苦八苦で維持しているのに民間療法が効果がないならまだしも万が一健康被害が出た場合に、なにかの責任問題を追求される可能性を考えてこんな警告じみた広報を行なっているのかもしれません。

健康雑誌を賑わし、ネット上にまき散らされた「対花粉症の民間療法」がかなり気に食わない様子がひしひしと伝わってきます。最近データを表示しながら広告を見かける「ヨーグルト」や「乳酸菌系食品」に対しても効果は30%程度しかなく、プラセボでもそんな数字はでるんだよ、と諭すように記述されています。

もちろん医療機関で処方された以外の漢方薬というか薬草が毒性物質で汚染されている可能性もありますし、民間医療・代替医療、さらには極端な場合は命に関わる疾患でもそのような怪しげな治療に頼るあまりに死期を早めてしまうこともあります。

花粉症自体、罹患している方に取っては苦しい病気であることは間違いないのですが、死に至る病でない事も明らかです。多分、民間療法が効果があるとプラセボでも思い込んだ人がガンなどになった場合もそんな治療に専念してしまいせっかくの科学的医療の恩恵に与ることが出来なくなる事を危惧して、このような見ようによっては「上から目線」の記述になったと思います。

でも、実は私がこのサイトを読んでいて怖くなった事があるんです。マスメディアはまだ気づいていないけど、密かにこれらの民間療法による花粉症対策によって陰で大きなトラブルが発生しているのではないかという事です。そんな気持ちにさせられるくらい民間療法に対して強く警告文にさえ思えるお役所厚生労働省の見解でした。そんな時のお役所の言い訳って「こっちはホームページで以前から警告しています」って感じになるんじゃないでしょうか?

でも、厚生労働省のホームページなんて、普通の人は先ず訪れませんよ!

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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