コロナになったらいくらかかるか?検査結果によって払う金額が違う???

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高額な自費による検査が流行した影響なのか「熱があるのですが、検査したらいくらくらいになりますか?」との問い合わせが時々あります。健康保険の場合は1-3割の自己負担が生じます。

多くの方が気にしている、もしも新型コロナウイルスで感染したと思ってクリニックを受診したらいくらかかるの?という疑問についてお応えしますね。

行政検査を委託されているクリニックであれば新型コロナ検査料は無料?

医療機関を受診したときに明細書をお渡しするのが原則なのですが、その明細書の見方が分からないという方もいますので当院の電子カルテで例を挙げてお伝えします。

「熱がある、息が苦しい感じがする」といった症状がある場合、当院を受診したとします。現時点で発熱があれば新型コロナウイルス感染を疑え状態なので、一般の患者さんとは別の場所で抗原検査とPCR検査をします(インフルエンザの時期だったらインフルエンザの迅速キットも使用)。

呼吸が苦しいという症状があればまずは血中の酸素飽和濃度を測定しますので以下のような内容なりますよね。

初診料+院内トリアージ実施料+経皮的動脈血酸素飽和度測定+鼻腔・咽頭拭い液採取料+SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出+SARS-CoV-2核酸検出+免疫学的検査判断料

検査にかかる費用

合計の点数が3767点、保険診療は1点を10円で計算するので、受診して検査するだけで3万7670円ってことは、三割自己負担だとしても1万1300円必要になります(全額自己負担の街中の自費検査よりはこれでも安いだろうけど)。

受診するクリニックが届け出をしていれば一部は公費でカバーなので無料だよ!

日本の医療費が安いとの話もありますし、健康保険制度が優れているとかの話もあります。

今回の全国的にひろがっている新型コロナウイルス感染に対して、検査等に関わる費用の一部を患者さんに代わって支払ってくれる制度が出来ています。

「平成10年法律114号感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」という難しい名前の法律の第15条に基づいて都道府県から行政検査を依頼されているクリニックの場合は、PCR検査と抗原検査に関わる自己負担を都道府県が肩代わりしてくれるのです。つまり、受診料は自分で一部を自己負担しないといけないけど、

検査に関しては自己負担ゼロ❗

これらの検査代金は公費が負担してくれます。

新型コロナウイルス検査公費でカバー

ってことになるので、結果的には薬の処方が無ければ自己負担は1870円で済んじゃうのです。

発熱外来届出のクリニックを受診した場合の自己負担金額

検査結果が陽性でも陰性でも検査料金の一部は公費負担です。

巷では新型コロナウイルス感染の検査をして陽性だったら医療費がゼロ、陰性だったら医療費全額を加入している健康保険の負担割合に応じて支払わなければならない、という間違った話が出回っているようです。

症状があって検査をした場合は検査結果にかかわらず公費負担です。

たぶん新型コロナウイルスに感染していると診断されて入院した場合は全額公費の負担であり自己負担がゼロという話がヘンテコな伝言ゲームになったからかもしれませんね。

発熱外来届出

こんな感じの契約書が必要となります。

おまけ:検査結果が陽性だったんだから自己負担したお金を返せ事件

出勤途中でこんな話が聞こえてきたので車を止めてナビの画面をガン見。

「陽性取り下げろ」トンデモ要求も 医師が思わず涙–テレ朝news

『PCR(検査)が陽性ならお金が一切かからないと聞いた』と、『なのに自分がお金を払った。どういうことだ』と、そうではなく『陽性になった後はかからないですけど、最初の時、初診料は発生するんです』と、『そんな話は聞いたことがない』と、『お前のクリニックで負担しろ』と

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000226855.html

医療機関を営んでいる私としてもちょっと怖い話だなあ、と思いながら昔のことを思い出しました。

ワイドショーとは真逆の陰性なんだから無料事件と院内では語り継がれています。

開業して早々にある検査をした患者さんに一週間後に検査結果をお伝えすると「陰性なんだから検査料は無料だよね」と返金を求められたことがありました。もちろんお断わりしましたけど。

陽性なんだから金返せ話、ここもちょっと気になりました。

微熱とせきの症状を訴えたためPCR検査のほか、採血やレントゲンなど診察を行い、約6000円を払って帰っていったといいます。

すでにお伝えしたように初診料以外にも検査の判断料とか感染予防対策(例えば防護服などのPPE)の費用であると考えられている院内トリアージ実施料などの自己負担分を頂くことになるとしても6000円ってどっから出てきたんだろう?

追記:濃厚接触者の場合の新型コロナ検査費用について

一部の自治体では濃厚接触者も症状の有無を問わないで健康保険扱いで自己負担は公費というところもあるようです。理由としては保健所の業務負担軽減のためです。もちろんそのクリニックが都道府県と行政検査の契約を結んでいることが前提です(ちなみに当院は該当する医療機関ですが、どう見ても濃厚接触者では無い方はNGだし、自費の検査は行なっていません)。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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