世の中には親切な方もいるようで、気が付かないで使用している身の回りの日常品の危険性を教えてくれます。
ただこのような方たちの多くが一次ソースを確認しないし、科学的な思考が苦手で、量の概念とかを考えない特徴があり、一般的には「トンデモさん」と呼ばれています。
本記事の内容
テフロン加工のフライパンが危ない❗って何が危ないの?
ひさびさにかなりキテいる方を発見しました。
ご親切なことにどのご家庭にでもある、こびりつかないフライパンの代名詞「テフロン加工のフライパン」が危ないことを教えてくれています。
- 自分が使っているフライパンがテフロン製であった
- 猛毒であるフッ素を使って加工してある
- 銀歯は水銀や鉛と同じ猛毒中の猛毒
という世の中の99%の人が知らない真実(これってヘンテコな人がよく使う表現、7000万人が知ってんじゃん!と返しましょうね)的なことを140文字という制限がある短文の中で端的に教えてくれています。
知らないことを教えてくれる行為はとかく批判を受けやすいSNSの良い点なのですが、教えてくれる時には必ず 真実を語るか、黙りましょう という原則を守っていただきたいと思うんですよね(このセリフ、SNSで使うとかっこいいよ)。
使用例
反ワクチン派の医学的にデマと考えられるツイートに対して「真実を語るか、黙りましょう」ってカッコいいぞ。
そもそもテフロン加工はフッ素加工と同じことなんだけどね!
テフロン加工はとフッ素加工は同じものであることを基本的な知識として頭に入れておきましょう。
テフロン(Teflon)は米国の化学メーカーであるデュポン社(DuPont)の商品名であり素材をコーティングするために使用されています。
テフロンは化学名はポリテトラフルオロエチレン(Poly Tetra Fluoro Ethylene)でありPTFEと略して使用されることが多く、耐熱性・耐薬剤性の性質があるために多くの素材をコーティングするためにフッ素樹脂加工の一つとして使用されています。
剥がれ落ちたテフロンが口に入っても体内では吸収されないでそのままウンチに混じってでてきますし、加熱したテフロンを吸い込んでも猛毒とは言えないことが食品安全委員会のファクトシートに記載されています(https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/f02_fluorocarbon_polymers.pdf)。
フッ素は猛毒なのか?
フッ素は身近な日用品だと虫歯を防ぐ効果が期待され歯磨き粉に使われていますよね。さらにフッ素は「水道水フロリデーション」として水道水にも混ぜられています。
※詳細は厚生労働省e-ヘルスネット「水道水フロリデーション」(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-010.html)をどうぞ。
水道水にフッ素が入っていて危険、危険❗と伝えてくれる親切な人々がいます。
どんなものであっても、大量に一気に摂取すればなんらかの健康被害が起きます。例えば人間が生きていくために絶対的に必要な水でさえ摂りすぎると頻尿になりますし、水中毒と呼ばれる生命に危険を及ぼす状態になります。
フッ素の場合も少量を慢性的に必要以上摂取すれば虫歯予防のつもりが逆に歯に影響を及ぼす場合もありますし、大量に一気に摂取すれば急性中毒として吐き気や腹部の不快感が生じます。
急性中毒は体重1キロあたりフッ素2㎎で起きるので計算上はお口をクチュクチュする洗口を体重60kgの人が一気に540ml飲めば発症すると考えられています(参考:奈良県歯科医師会やe-ヘルスネット)。
フッ素怖い怖いさんはトンデモさんの特徴である量の概念がヘン❗を実証してますね。
いくらなんでも「お口、クチュ、クチュ。 モンダミ」を一瓶一気飲みする人はいないでしょうからね(急性中毒例は奈良県歯科医師会によればゼロですから)。
<水銀、鉛は猛毒中の猛毒は真実だけど・・・
ツイッターで見つけた親切に身の回りの危険なものを教えてくれるけど基本的な知識に問題あり、ついでに量の概念というものが無い方が述べている中に真実がまじり混んでいます。
確かに「水銀、鉛は猛毒中の猛毒」ではあるのですけど
銀歯に鉛は含まれていないよ〜❗
私の専門は泌尿器科ですが(そう言えば泌尿器でなくても医療機器はテフロン加工というかフッ素樹脂加工されたもの多数)、歯科で使用されいたアマルガムの問題くらいは知っています。
銀歯と呼ばれるアマルガムは銀・スズ・銅・亜鉛・無機水銀で構成されていて、たしかに銀歯に水銀は含まれていたとしても前掲のトンデモさんが親切に教えてくれる鉛は含まれてはいないと思うんだけどなあ。
※身の回りある水銀は、金属水銀・無機水銀化合物・メチル水銀があります。銀歯から溶け出た無機水銀は猛毒といえるレベルだとはとても思えませんし、微量の無機水銀であれば体内で最終的には尿として体外に排出されちゃうはずなんだよね。
トンデモさんにぜひお伝えしておきますね、リスクは有害性×摂取量なんですぜ。
つまりトンデモさんの特徴である量の概念を無視をこの方は実証してくれているのです。
おまけ:「テフロン加工 船瀬俊介」で検索したら一発でやっぱりねえ的トンデモ記事を発見
反ワクチンで有名な何の専門家なのか不明な船瀬俊介氏なる人物がいます。
今回取り上げたトンデモさんのツイートをいくつか拝見したところ、どうも船瀬俊介氏の影響が強いように感じられ
「船瀬 テフロン」で検索したところ一発で「船瀬俊介の船瀬塾 – テフロン加工のフライパンの悲劇」というFacebookの記事が見つかりました。
室内でテフロン加工のフライパンを使用してたところ飼っていた鳥たちが死んじゃったんだってさ。
テフロン加工のフライパンを必要以上に熱してしまえばそりゃあ有害な成分が空気中に漂うでしょうね。でもテフロンから有害ガスがでるためには475℃〜650℃以上は必要だよ(参考文献:労災疾病等医学研究普及サイト「フッ素樹脂燃焼による中毒)。
常識的に調理をするときのフライパンの温度はどんなに高くても250℃~260℃程度、死んじゃった鳥たちはガンガンに熱したガスレンジによる酸欠とか一酸化炭素中毒とか考えなかったのかなあ。
トンデモさんの特徴である再検証不可能なものを信じる、あるいは再検証しようとさえしない、を実践している船瀬俊介氏でした。