私はワクチンの専門家でもないですしウイルスの研究者でもありません。単に普通に地域の患者さんに日々接している一町医者です。私が知りうる情報(一般のかたも知ることができる)を使って、ワクチンの効果や重要性を整理してみたいと思います。
本記事の内容
高齢者が高齢者に移す場合
ワクチン接種事業が進み、現時点では東京都の場合80%が2回接種済みです。2回接種した効果として高齢者の感染者数および死亡者数は激減していることは周知の事実ですよね。
ワクチンを2回接種しても感染してしまうブレイクスルー感染が話題になっています。
しかし、ワクチン2回接種済みであると高齢者であっても重症化はしにくいですので以前のような危機的な状況回避のいとぐちになっていると考えられます。
高齢者間での感染は現時点ではマスクをすることで、万が一ワクチン接種済みでブレイクスルー感染したとしても、感染拡大は抑え込める状況と考えて良いと思われます
。若者が高齢者に移す場合
高齢者と同居している若者から高齢者が感染する、高齢者施設の若い職員から高齢者が感染する可能性を考えてみましょう。高齢者が2回接種済みであれば重症化は防げますし、第三者に感染させるリスクも下げることが今の時点では分かっています。
若者から高齢者に移す場面を考えるとワクチン接種が実施されたことによって大きく違った状況になっています。高齢者と接することが多い人はワクチン接種によって自分の身を守る効果、高齢者に移さない効果を今まで以上に高めることが期待できます。
高齢者が若者に移す場合
2回ワクチン接種済みの高齢者が高齢者以外から感染しても症状は軽症ですむことは死亡者数の減少や重症化の中における高齢者の割合減少から今のところ確認されています。
高齢者がブレイクスルー感染した場合、ワクチン未接種の若者に感染させることは考えられます。この場合、ワクチン未接種であると重症化のリスクも死亡のリスクも高まります。
若者もワクチン接種は積極的に行なうことが重要です。
首都圏の64歳以下の接種状況はこの様になっています(薄緑1回、緑2回接種済み)
若者でワクチン接種していない人が若者のワクチン接種済みの人に移す場合
ワクチン接種を行なっていないと自分の身を守ることもできないですし、第三者に感染させることがそもそもの感染症の厄介な点です。現在はやっているδと呼ばれる微生物は感染力が強いことが世界中で確認されています。
ワクチン接種をしていない人からワクチン接種済みの人が感染したとしても重症化及び死亡リスクは減少するのですからこの場合、若者のワクチン未接種者が問題となってきます。
若者でワクチン未接種の方へのワクチン接種が急がれるのは当たり前の話です。
ワクチン接種済みの若者がワクチン接種していない人に移す場合
ワクチン接種済みに人が第三者に移さないとはいい切れません。ワクチン接種済みだと派手に症状が出ないため、感染しているとの意識が無く、周囲の方に感染させてしまうリスクは避けらません。そうなるとワクチン未接種の方がワクチン接種済みの方から感染した場合は、普通にワクチン未接種の方からの感染と重症度や死亡リスクに変化はありません。
ということはワクチン未接種の方はとにかくワクチンを接種するべきです。
18歳未満、特に子供の場合はワクチン接種の優先順位は低いのでは?
ワクチンによる副反応が必要以上にクローズアップされています。なかには長期的な副反応に関してデータがないじゃん、と意味不明なことを喧伝している人さえいます。
自分でワクチン接種をするか否かの判断を出来ない未成年者の場合、万が一トラブルが発生したら保護者もお子さんも一生悩みを抱えてしまう可能性があります。
未成年者の場合、成人と比較して圧倒的に行動範囲は狭いですし、接触する人の数も今は夏休みであることから少ないと仮定した場合、12歳から18歳未満へのワクチン接種の優先順位は低いと考えられます。
今は高齢者や基礎疾患をお持ちになった方のワクチンがある程度行き渡ったと考えた場合、高齢者以外未成年以上のワクチン接種をどんどん進めていくことが肝要だと考えています。
しかし、自治体同士のワクチン確保争いやワクチン接種率競争を必要以上に意識していることがワクチン接種事業を遅らせていると思えるような出来事がありました。
国家単位で感染症対策を考えたらありえない話だと思うのは私だけじゃないと思います。