万病に効く日本古来の伝統薬「萬金丹」。伊勢参りのお土産して有名ですが、果たして萬金丹は現代医学的にはどのような立ち位置なのでしょうか?
本記事の内容
鼻くそ丸めて万金丹はさすがに失礼だろ❗
「萬金丹」という薬を知っていますか?私の脳内では「萬金丹(まんきんたん、万金丹)」といえば、「鼻くそ丸めて万金丹」というフレーズがクルクル回りだします。たぶん、子どもの頃に脳内に入り込んだものなんでしょうね。
先日、たまたま伊勢市に行く用事があって萬金丹ご本人(?)と遭遇することができ、長年耳にはしていたけど萬金丹って本当に存在しているんだと感慨にふける間もなく脊髄反射的に購入しました。
「鼻くそ丸めて萬金丹」って萬金丹の形状からイメージされる昔の子どもの囃子唄的なものだと考えいたら、なんとことわざらしいのです。
薬の原料は案外つまらないものが多いということ。また、効き目がないことをあざけっていう言葉。
故事・ことわざ・慣用句辞典オンライン https://kotowaza.jitenon.jp/kotowaza/4088.php
薬の原料がたいしたことない⁉効き目が無い⁉これでは萬金丹にあまりに失礼だと考え、萬金丹の成分を調べその効き目は現在でも認めうるものであるのかを検証してみます。
萬金丹の「指定医薬部外品」ってなんだ?
伝統ある伊勢くすり本舗の純正萬金丹の正式名称は「伊勢ノ国萬金丹」で薬の分類としては指定薬部外品になっています。指定医薬部外品というのは効果が緩和なものであるけど、あくまで薬だからね!ってイメージです。医薬部外品の定義は以下のようになっています。
- イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
- ロ あせも、ただれ等の防止
- ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
これだと萬金丹は医薬部外品には入らないことになってしまい鼻くそ丸めて的な扱いになってしまいます。よくよく調べてみると医薬部外品の後付的に「薬事法第二条第二項第三号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医薬部外品」なるカテゴリが存在していて「胃の不快感を改善することが目的とされている物」が平成21年2月6日厚生労働省告示第25号というお触書がでているために、これが萬金丹が所属する指定医薬部外品なんでしょうね。
ちなみに私はホテル内のお土産コーナーで萬金丹を購入しました。指定医薬部外品を販売するにあたって保健所に届け出は必要ないようですね(そのあたりの詳細は法の専門家に任せます)。
萬金丹の成分は和漢薬でこのような構成になっています
萬金丹の成分とその分量は以下のようになっています。
- アセンヤク末1000㎎
- ケイヒ末100㎎
- チョウジ末100㎎
- モッコウ末100㎎
- センブリ末50㎎
- l-メントール10㎎
- 添加物 カンゾウ末・米粉・金箔
自然にあるものだから安心と思い込んでいる自然派さんも安心な萬金丹、と考えていたら大間違い。添加物忌避派の自然派さんがひっくり返るような「添加物」の言葉が萬金丹の成分には記載されいます。米粉はグルテンフリー信奉者にとってはうれしいところなんだろうけど、金箔って自然はこじらせた方面ではどのような扱いをされているんだろうね笑。
今回はじめて購入した萬金丹、表面の一部が金箔でコーティングされているんですね、実物を見るまで知らなかった。
はたして萬金丹の効果は現代医学で立証できるのか?!
萬金丹の成分のそれぞれに関して現代医学での評価をお伝えします。
- アセンヤク・・・アセンヤクは漢字では阿仙薬と書き、薬理作用としては小腸蠕動運動抑制作用、止瀉作用です。つまり下痢止め。
- ケイヒ・・・ケイヒは漢字では桂皮と書き、私たちが処方薬としてつかう漢方薬でも多用されている成分です。薬理作用としては腸蠕動運動亢進作用・発汗解熱作用などです(あれ、あれ~、アセンヤクと腸に対する働きが真逆のような気もするんだけど)。
- チョウジ・・・チョウジは漢字では丁子と書き、香辛料のクローブのこと。現代西洋医学的には漢方処方の調剤に用いる調味料的な扱いだけど、養命酒のウェブサイトでは胃腸の消化機能を促進作用があることになっています。
- モッコウ・・・モッコウは漢字では木香と書き、キク科の植物の根から得られるアルカロイドなので、嘔吐、下痢、感染性下痢を抑える作用が期待できます。
- センブリ・・・センブリは漢字では千振と書き、その苦味によって健胃作用があり消化不良,食欲不振に効果があります。
- l-メントール・・・l-メントールは英語だとl-Menthol、日本語のだと薄荷(はっか)。清涼感があるお菓子などで使われているもので、芳香・矯味・矯臭を利用して薬効というよりは調剤に用いるトッピング的な使い方が一般的です。
以上から、とにかくお腹の調子が悪い時に萬金丹を服用すれば調子が良くなるよってことなんですね。
伊勢ノ国萬金丹の効能または効果として書かれている「食べ過ぎ(過食)又は飲み過ぎ(過飲)による胃部不快感及びはきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔い・悪酔いのむかつき、嘔気、悪心」は成分から判断してそれなりに期待できるものだと考えて良さそうです。
萬金丹は薬の原料は案外つまらないものが多く、効き目がないというのは大変失礼なことであり、昔の子ども達は萬金丹に謝るべきなんじゃないでしょうか(笑)。
結論:伝統的な和漢薬、現代でも残っていることに意義がある
私は西洋医学ガッチガチの信奉者と一般的には受け止められているようです。また本当はそんなことないのにエビデンス至上主義者であり、「エビデンス棒を振り回す」的な批判をされたことさえありまし。しかし、伝統薬やおばあちゃんの知恵などの民間療法を頑なに否定する立ち位置ではないことをブログ記事愛読者(大した人数ではないだろうけど)にはご理解いただけているはず。
いや~、タケプロンやネキシウムカプセル、タケキャブ、ガスター、アコファイド、ナウゼリンなんかより私には太田胃散の方が身体にあっています。
しゃっくりを止める方法としては間違いなくこれが効果あります(すくなくとも私の身内では)。
日本古来の伝統薬を舐めんなよ!これが今回私が皆様にお伝えしたかったことです。
萬金丹を扱っている伊勢くすり本舗のウェブサイト(https://www.isekusuri.co.jp/history/)にある600年の歴史をもつ伊勢の伝統薬万病に効く、お伊勢さんの霊薬 『萬金丹』って表現はちと盛りすぎではありますけどね(笑)。