当院では細々と地元のかかりつけの方を中心としてワクチンの個別接種をおこなっています。
ワクチン不足が叫ばれていますが、行政が定めた一瓶から6回分ではなく7回分とれることに気が付きました。
本記事の内容
いつでもどこでもどなたでも、簡単にコロナワクチン1瓶から7回分取れる方法
まず標準的に行政から供給される予防接種セットはこんな感じになってます。
個別接種用コロナワクチンが入っている瓶( vial 、バイアル)と共に区役所のワクチン接種課に私が毎週取りに行って保冷バックに詰めてクリニックまで運びます。
希釈用および接種用の針は内腔に無駄が出ないように、こんな工夫をしたローデッドスペースタイプ(?)の針(今回はじめて見ました)。普段の用途は不明の注射針です。
そして区側はローデットスペースのシリンジ(注射器)として供給しているのがこれ。
でもねえ、0.3mLを接種するのに2.0mLの注射器ってのもちょっとねえ。針もシリンジもなんか変だし・・・あとで正真正銘のローデットスペースのワクチン接種セットをお見せしますね。
コロナワクチンを生食で溶かせば、しっかり7回分になります
ファイザーのコロナワクチンは生理食塩水で溶かす前は0.45mLです。手順書によればこれを1.8mLの生理食塩水で溶きますので、
0.45mL + 1.8mL = 2.25mL
一回あたりのワクチン接種量は0.3mL、そうすると
2.25mL ÷ 0.3mL = 7.5 ですから、1バイアルから7.5本のコロナワクチンを確保することができます。でも、瓶のそこに微量の溶かしたワクチンが付着しますし、シリンジや針の内腔にも微量の溶かしたワクチンが残留してします。予防接種に使用できないワクチンをシリンジ0.5本分と考えても丁寧に溶かして注射器に詰め替えれば確実に7回分を確保することができます。
限りなく無駄を無くすための注射器がこれじゃあねえ・・・。
私が独自に確保しているローデットスペースタイプのシリンジの先端はこのようになっており、シリンジ内の薬剤を無駄なく針に送り込むことが可能になっています。これ別にめちゃくちゃ特殊なシリンジではなく製造販売元は日本です。
一方の区から支給されたシリンジの先端はこんな感じになっており、どう見てもシリンジの先端に薬液が残ってしまいます。
この針、めちゃくちゃ工夫しているようでどれだけ節約できるのか?
区から頂いた針ははじめてみました。内腔がこんな感じになっていて、通常の針よりデッドスペースが少なくなるという意味なんでしょうか?
二重丸のような構造になっています。
この針とシリンジを組み合わせると、なぜか押しにくく途中で引っかかる感触を経験します。大した量を節約できないローデットスペース風のシリンジと使いにくい針、これでは確実に1バイアルから7本を確保するのは困難であり、さらに使いにくいとあくまで個人の体験です的な感想をお伝えしたいです(って、誰に伝えりゃいいんだろ)。
悩ましい7本目の取り扱い
先日、一日12人限定でワクチン接種を行いました。その時、採れた7本目がこれです。
区から供給される針とシリンジでも十分に7回分接種可能です!
一部でワクチンが足りないと言われているようです。もしも1バイアルから7本取れたら、7人分として接種すればいいじゃん、と皆さんは考えるでしょう、でもねえ、ワクチンを打った証明にもなるシール。が1バイアルにつき6枚しか配布されていないのです。
接種するたびに速やかにVRSに登録すれば大きな問題は起きないはずなのですが、接種済みシールを貼ってもらえない方は不安ですよね。コピーでいいじゃんとの意見も医師の間で出回ってはいるのですが、そうなると接種していないのに接種済みシールを見せて、「接種しましたー」とズルをする人が出ないとも限りません。VRSに記録が残っていれば、将来的にワクチン済みパスポートなどの発行は不可能になるはずですけど。
いまの日本の戦略は安全確実にワクチン接種希望者にとにかく打って打って打ちまくることだと解釈します。
容認じゃ困るんだよね、行政から委託されて接種しているんだから。さらに普通に入手できるの注射器と針でも7回分取れちゃうよ。
なんちゃってローデットスペースシリンジや、なんじゃこりゃローデットスペース針の件はさておき、7本目のワクチンの使用方法を行政がしっかり指示を出してくれることを現場の医師としては声を大にしてお伝えしたいです❗