安倍首相になって景気が回復傾向にあると報道されていますが、実感している方は少ないのではないでしょうか?
日本経済は長い不況の時代を早く抜け出す事が大きな問題になっていますが、経済状況が悪い為に病気にもなれない、なんて方もいらっしゃいます。
認知症と不況の密接な関係
保険診療の自己負担額も以前は1割であったサラリーマンもいつのまにやら3割負担になっていますし、老人の医療費も東京都では一時無料化させていたのですが、いつの間にやら負担額が上昇しています。
実は不景気になると医療機関を受診できないという問題以外に、「不況を経験すると将来認知症になり易い」というショッキングなデータがあります。
解雇の不安や給料低下が認知症を招く?
ヨーロッパの11カ国の1万2020人を対象とした研究によって「不景気の経験をした中年は50歳以降に認知症になるリスクが高まる」という論文が発表されています。ご存知のように欧州でも景気が悪いといわれていて健康問題との関連を調べたものです。
- 男性5891人、女性6129人が対象となった
- 経済不況を経験した回数は0.73回から1.33回
- 男性では中年期に不況を経験すると50歳以上になると認知症になる率が高かった
- 女性では若年期の不況が50歳以上になると認知症になる率が高かった
以上の様な結果が「Do economic recessions during early and mid-adulthood influence cognitive function in older age?」(/jech-2013-202843)と言う題名でオンライン版に掲載されていました。
この論文によれば男性の場合、中年期(45−49歳)で景気が悪い時代を経験すると「ひょっとして俺って解雇されちゃうんじゃないの?」と思う事がストレスとなって将来中高年期以降(50−74歳)に認知症を発症することが多くなっている可能性を示しています。女性の場合はなぜか若年期(25−34歳)で景気の悪い時代を経験すると将来認知症になる危険が増えるのは「転職や待遇が悪くなるため」と予測していますが⋯ひょっとすると「望んだ経済的な魅力のある男性と結婚できなかった」とか「結婚したのに思わしい結婚生活が遅れなかった⋯経済面で心配だったので」なんて理由もあるかもしれません。
今回のデータなんですが、男性の場合は継続して仕事を続けていることが前提に捉えられる書き方をしていますが、女性の場合結婚しても仕事を続けていたか、結婚はしたのか等の区分けがされていなかったのでこの辺りの宿題がでると思われる論文です。
不況と自殺の関係
景気が悪くなると自殺が増えると言われていますが、そのデータは日本ではこのようになっています。
http://www.lifelink.or.jp/より
明らかに景気が悪くなってから自殺者は増えています。自殺をするということは「精神的に不調を来した」場合の最悪の結果なので安易なことは言えませんが、経済的に恵まれないことが強く関連していると考えられます。
うつ病と認知症の関連
「うつ病と認知症の関連」に対してはあるデータによると若年期にうつを罹患すると、高齢になって認知症を発症する率が3.76倍になるというものさえあります(「うつ病と認知症との関連について」精神経誌(2012)114巻 3号)。景気が悪いとストレスによって精神的にダメージを受けることが、将来認知症になる可能性を高めているということが言えるのではないでしょうか?景気が悪いと国の財政も当然悪くなりますが、その結果認知症の人が増えるということは更に医療費の負担が個人だけではなく国の財政にもダメージを与えます。様々な問題を抱えた日本ですが、まずは景気問題を解決することが優先事項なのではないでしょうか?
今日は大雪の中の2014年東京都知事選挙です
景気問題より論点は違った方面のものになっていますが、果たして結果はどうなるのでしょうか?投票は権利であるとともの義務でもあると考えますので、寒いけど必ず投票にいきましょうね!
雪による転倒には注意してください!頭部外傷は将来の認知症と関連があるとされていますので。