美容医療の発展・発達・進化は目覚ましいものがあり、メディアでもしきりに取り上げられます。玉石混淆状態の美容医療に対する私見をお伝えします。
本記事の内容
美容医療をとりまく環境の変化
当院は泌尿器科を中心とした健康保険対象の医療と美容外科・美容皮膚科という健康保険で治療することはできない自由診療を併設した1997年に設立したクリニックです。さらに美容外科や美容皮膚科を行っているのに地元密着型という方針で運営してきました。
近年、美容医療が注目され一般的になってきているため、都心部のターミナル駅を中心として美容医療を行っているクリニックがコンビニ状態で乱立しており、その波及効果のためか今までは普通の近所のクリニックであっても、美容医療を取り入れだしています。
美容医療の発展・発達・進化は目覚ましいものがあり、メディアでもしきりに取り上げられます。玉石混淆状態の美容医療に対する私見をお伝えします。
一般の医療と美容医療の違い
一般の医療、つまり保険診療でカバーされている医療の一番の目的は生命の維持です。その人の命を優先するために、なんらかを犠牲にすることもあります。
最優先は「生命」、次が「機能」、そして「見た目」の順番になっているのが一般の医療です。
例えば胃がんが発見されたとします。胃の機能は食べたものを消化することです。しかし、胃の消化「機能」よりも「生命」を優先するために、胃を切除します(ここ数十年で胃を切除するのではなく、病変部分だけを内視鏡で切除できるように医療は進化しましたね)。
腸にがんが見つかった場合は腸を切除する必要があります。がんの発生部位によっては人工肛門を設置する必要が出てきます。この場合、生命を優先するために腸の一部を切除して、可能な限り「機能」を温存するために、「見た目」を犠牲にすることになります。
機能は見た目よりも優先されなければならないからです。
戦争がきっかけで美容医療は進歩してきました
戦争で傷ついた人々の見た目を改善するために外科の一分野として出来たのが形成外科です。この形成外科の見た目をさらに追求して生まれたのが美容外科です。
「見た目」をさらに発展させて「きれいになりたい」「コンプレックスを解消したい」との要望にお答えできるように発展してきたのが美容外科・美容皮膚科という医療行為です。
きれい・コンプレックスは個人の価値観であり、第三者が評価するものでは無いと考えています。様々な医療技術を駆使してきれいになりたい、コンプレックスを解消したいとの要望にしっかりと答えることが求められているのが美容外科・美容皮膚科という美容医療の使命だと当院では認識しています。
美容医療の現状、まさに玉石混淆である点が問題
美容外科医になりたい、美容皮膚科医を目指したいという医学生も多いと聞きます。特に切らないレーザーやヒアルロン酸やボトックスを使う美容皮膚科はちょっとした医学知識さえあれば医師免許さえあれば簡単にできると大きな勘違いをしている医療関係者も少なくないようです。
美容皮膚科も美容外科もまだまだ発展途上であり、体系的な学問の一分野としての地位を築かなければなりません。体系化されていないが故に医師個人の自己満足になってしまい、第三者の検証さえ不可能な治療さえ出回っています。
美容医療は全額患者さんが負担する自由診療です。そのために結果が強く求められるのです。健康保険でカバーされるから、いい加減な治療で済まされるワケは無いのは当然ですが、美容外科・美容皮膚科への患者さんサイドの評価は結果です。
結果を出すために美容医療に携わる医師は常にハイレベルな治療をできるスキルを磨くべきであり、積極的に知識を収集して身につける必要があります。
患者さんのほうが知識がある?
当院でも時々患者さんから身体の悩みではなく、「◯◯法で手術お願いします」といった問い合わせがあります。◯◯法って何?と医師の間で話題になり、ある医師が自分で開発した独自の手術方法であり、文献等で確認ができないものであったりします。
美容医療を「生命に関わらない」と安易に考えている医師も残念ながらいます。安易な考えのために、知識もブラッシュアップされていないし、実績もともなっていないのに患者さんの数だけを誇る医師もいます。美容医療といえども医療なのですから、常に緊張感は必要とされるべきなのでは無いでしょうか?
未熟で発展途上の分野だからこそ大事にしたいこと
日本では医療は信頼関係の上になりたっています。健康保険が適用されない美容外科・美容皮膚科であってもスタートは信頼関係です。美容医療はがんの治療のようにガイドラインもありませんし、標準治療も確立されていないのが現状です。
もしも、美容医療を受けようと考えている場合は、とにかく信頼できる、そしてできるだけアクセスの良い美容外科医・美容皮膚科医を探すことが重要なポイントとなります。
世界中が2020年から2021年にかけてへんてこなムードに覆い尽くされています。このムードが解消されても当院の基本は地元密着であり、そこから情報を発信していきたいと改めて考えています。
※オンライン診察を駆使して、遠方でもアクセスが容易になりました。事前の相談等をオンラインで済ませ治療をしたのちもポイント、ポイントはオンラインを活用することによってリアル来院回数を増やす試みを行っています。