首や肩が痛いときに自宅でできることは?と聞かれたら「湿布」を貼る・冷やすと答える人が多いはず。そして、アリミアンと答える人も多いのではないでしょうか?
アリナミンはパブロン・ルル・イブ・正露丸・ロキソニンといった国民の多くが知っている有名大衆薬です。ドラッグストアにいけば、似たようなパッケージ・そっくりなネーミングの商品がたくさん並んでいると思いませんか?
本記事の内容
ビタミン剤の雄「アリナミンEXプラス」とその類似商品とで違いはあるのか?
アリナミンはビタミン剤です。ビタミン剤って一般的にはあまり副作用の心配がないと考えられていると思います。でもビタミン剤を主成分とした先発品とジェネリックで成分や効果に違いがあるのかどうか、比較検討していたら、ちょっと怖いことに気がついてしまいました、
OTCに関して処方薬のように先発品とかジェネリックとか呼び分けるかについては私は知識がありません。
アリナミンシリーズの一つであるアリナミンEXプラスと富山常備薬グループのリョウシンJV錠の成分や効果・効能について以前比較を試みました。
その後、よくよく調べていみると富山常備薬グループ以外にもアリナミンEXプラスと似たような薬が出回っていました。市販薬(OTC)の場合、ジェネリックと呼ぶのかは不明ながら、アリナミンEXプラスのジェネリックとアリナミンEXはどのような点に違いがあるのかを比較検討してみます。
処方薬は、薬局やドラッグストアで医師の処方箋無しでは手に入れることができない薬です。新しい処方薬を作るには膨大な研究開発費が必要となり、薬の値段(薬価)も高額になりがちです。
しかし、時間とお金と努力を注ぎ込んで開発した新薬も一定の期間が過ぎると特許の縛りがなくなるために、他の製薬会社がサクサクと同じ成分の薬を製造販売が可能になります。新薬を先発品、他の製薬会社が作る薬を後発品とかジェネリックと呼んでいます。
ジェネリックは同じ成分なのですが、ひと様の苦労を端折ってどんどこ複数のメーカーがゾロゾロと参入することから、以前はジェネリックのことを、「ゾロ」と呼んでパチモノ扱いさえされていました。
アリナミンEXの類似品「ビタトレールEXP」とは?
アリナミンEXより強そうで、リョウシンJV錠より露骨なネーミングの「ビタトレールEXP」というビタミン剤を見つけました。
「ビタ」は当然ビタミンのビタ、でしょうし「トレール」は多分なんらかの症状が取れる、を意味しているんでしょうね。EXはプレミアム的な特別感を出すときに頻用される言葉で「Extra」の略だと予想されます。
以前ちょいとばかりイジってしまった富山常備薬グループのリョウシンJV錠より「ビタトレールEXP」の方がイジリがいがありそうな予感。さらにで最後の「P」は何を意味しているのか興味津々。
※アリナミンの場合、アリナミンA、アリナミンEXプラス、アリナミンEXプラスα、アリナミンEXゴールドなどのラインナップがあります。
ビタトレールEXPはアリナミンEXより効果があるのか?
ネーミングに魅了されたビタトレールEXPをアリナミンEXのジェネリックの代表例として、その効果や効き目や成分を検証を開始します。
ビタトレールEXPの効果は
- 目の疲れ
- 肩こり
- 腰の痛み
であり、アリナミンEX PLUSの方は表現に違いはあっても、「疲れが目・肩・腰にきたら」と同じことを広告では伝えています。
ビタトレールEXPとアリナミンEXはここが違う
ビタトレールEXPの「P」が「premium」のPであることが、取扱会社である株式会社メディスンプラスのウェブサイトを見ることによって判明して、かなりスッキリしました。
ビタトレールEXPは株式会社メディスンプラスというところが取り扱っているのですが、会社概要を見てみると医薬品卸売販売業許可番号は得ていても、どうも製薬会社ではなさそうな雰囲気です。ビタトレールEXPはOEM(取引の注文で製品を製造して、取引のブランドで販売する方法「Original Equipment Manufacturing」の略)で株式会社メディスンプラス販売に専念しているようですね。
ビタトレールEXPはアリナミンEXと同じく第3類医薬品に分類されている列記とした薬であることには間違いはありません。しかーし、武田とも富山常備薬グループとの違いがありました。ウェブサイト上にいわゆる薬の添付文書がわかりやすい位置にないのです。
ビタミンB1誘導体、ビタミンB6 、ビタミンB 12、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、ガンマ・オリザノールが主成分であることは記載されているけど、それ以上の詳細な情報を容易に得ることができません。
主成分はアリナミンEXと同じなので、効果や効能も同じようになってしまいますので、やっぱりアリナミンEXのジェネリックと呼んで差し支えなさそうです。
ビタトレールEXPの詳細は情報はこれでゲット❗
独立行政法人医薬品医療機器総合機構という重厚な名称の組織があります。医薬品医療機器総合機構は英語だとPharmaceuticals and Medical Devices Agencyであるために通常は略してPMDAとして使うことが多いです。
私にもPMDAから毎週のように薬の副作用情報などのメールが届きますし、書類としても郵送で定期的に手元に届きます。このPMDAのウェブサイトでビタトレールEXPの全貌を明らかにすることができます。
なーんだ、やっぱりビタトレールEXPを製造している会社は株式会社メディスンプラスじゃなくて、寧薬化学工業株式会社という地味な会社じゃん、ってことまで知ることができるのです。
ここでちょっと気になったことがあります。ビタトレールEXPを服用してなんらかの問題が発生した場合は、株式会社メディスンプラスに相談するのか、あるいは寧薬化学工業株式会社ってことです。
先程、ジェネリックのことを人様の褌で相撲を取る的な表現をしてしまったけど、ビタトレールEXPってジェネリックどころではなく、人様の褌でさらに人様に相撲を取らせているような状態に思えてきました。
※武田薬品工業は子会社である武田コンシューマーヘルスケアを通じてアリナミンシリーズを製造販売していました。2021年4月1日にアリナミン・ベンザなどの事業を売却して武田コンシューマーヘルスケアはアリナミン製薬という新会社になりました(参考:アリナミン株式会社ウェブサイト)。
薬は規制が厳し過ぎるとのご意見もあるけど、このあたりを考えると・・・
私は、「かぜ薬なんか、クリニックを受診しないでドラッグストアで購入すればいいじゃん」との立ち位置でした。使用経験が多い処方薬もどんどんOTCにすれば良いじゃん、通販でも良いんじゃないのくらいに薬に関しては規制はできるだけ外しても良いとの考えだったんだけど、今回アリナミンEXのジェネリックを調べていたら、いくつかの不安を抱き始めました。
OEMでビタミン剤とはいえ他社で製造して、販売チャンネルを持っているか販売に自信のある会社がそのビタミン剤をネットを通じて大量に売る。合理的といえば合理的ではあるけど、万が一なんかが起きてしまったら、その場合、薬の購入者はどこに相談すればいんんだろう、めっちゃ低い確率であっても重篤な副作用が出てしまったらどこが保証してくれるんだろう等々。
なんでもかんでもゼロリスクを求めていたら話は始まりません。でも、例として挙げて大変申し訳ないのですが、ビタトレールEXPを調べるうちに不安になってきちゃいました。
※寧薬化学工業株式会社がビタトレールと同じものを「ビタエビシンEXP」という別の名称で販売しています。
販路が無いとかブランド力が弱いと縁の下の力持ちになるしか無いのでしょうね。色々な意味で調べてよかった的に私も勉強になりました。