新聞の広告で民間療法を中心にして取り上げた字が一杯の雑誌、例えば壮●とか健●とかを目にした方も多いと思います。
そんな雑誌の表紙・広告に踊る「●●をしたら高血圧、糖尿病、ひざ痛、耳鳴りが消失した❗」なんてタイトルに今までドン引き状態だった私ですが、一般診療を行なっていると患者さんからこれらの民間療法的な治療?についての意見を求められることがしばしば。
町医者としては知っておかなければならない情報・知識として今回は「ふくらはぎをもむと体が変わる」的なことが書いてある雑誌を購入して検討を加えてみました。ふくらはぎマッサージ⋯これは結構いいかもと思っています。
ふくらはぎは第二の心臓です
人間の体に血液を行き渡らせるのは心臓であることは常識ですが、下半身も実は大切な働きをしている事は間違いの無い事です。重力の影響で人間の水分、もちろん血液を含むのですが一日活動していると、どうしても下半身に溜まりがちになります。心臓のポンプとしての機能が衰える高齢者はとくに下半身にむくみを起こし易いのです⋯ふくらはぎは第二の心臓です、という考え方は決して間違ってはいません。
男性の泌尿器科領域の病気で不定愁訴中の不定愁訴である「慢性前立腺炎」の場合、座りっぱなしの姿勢が病状を悪化されますので、「歩くようにしてください」と泌尿器の専門家もアドバイスするのは、血行不全・血流の改善を目的としたものなのです。下半身は第二の心臓です、というのが適切なんでしょうがそこは経験値の高い雑誌社編集部です。「ふくらはぎは第二の心臓です」ときっちり断言していて見事です。
医師に対して患者さんが不信感を抱く原因の一つとして「説明が分かりにくい」「はっきり言ってくれない」が挙げられますので、断言するということによって、患者さんの迷いが払拭される⋯他の選択肢を提示しないし、選ばせない、という非常に有効なテクニックです。
おバカな医師が書いた本よりも明らかな間違いが少ない健康雑誌
医師の書いた健康本は自説が正しいように見せかける為に、医学論文や医学データを載せていたります。ですが明らかに間違った解釈は後日完全否定された論文を掲げている場合も有ります。そんな場合は私はもちろん各方面から総攻撃を受ける場合も有りますし、医療専門家としてその本を全く無視するという戦法もあります。
しかし、患者さんと接する機会が多く、自分の専門分野以外の病気の相談を受ける町医者の場合は、民間療法といえども十分な知識を持ち合わせる必要があると私は考えます。99.9%西洋医学信奉者の私でも先日ブログで『「しゃっくりを止める方法」医学的治療VS民間療法、一発で治すことができるのは?』というもので「民間療法の勝ち」としました。このようなおばあちゃんの知恵的ものを100%バカにする態度の医師もいますが、それはあまりにも勉強不足だと私は考えます。
今回の健康雑誌は医師も投稿しているのですが、非医師の書いた内容の方が医学的用語の使い間違いはさておいて、内容の濃さ、興味深さでは優れているようです。できれば医学論文なんて引用しないで、また厳格な統計学に裏付けられていないデータは列記しない方が私としては素直に主張を受け入れる事ができます(最近結構、丸くなったと周囲の評判高い私です)。
ふくらはぎマッサージ療法を簡単に説明すると
下半身に滞りがちの血液・リンパ等の体液をマッサージすることによって、強制的に心臓に送り帰すことによって、全身の血液の流れが良くなる事によって「耳鳴り、夜間頻尿、腰痛、高血圧、冷え性、自律神経失調症」などなどが改善するということです。なかには「??」という効果もありますが、自律神経を介してそのような機序がないとは否定しきれませんので、間違いではないと判断します。
でも、なんだか怪しいんですけど
子供のとき渋谷の街中の電柱に「赤面、対人恐怖症、ど●り」を治すことを謳った字で一面埋め尽くされたポスター広告を憶いだしてしまう健康雑誌の表紙と新聞広告です。これ自体にはたくさんの情報を多くの人に知ってもらいたいという編集者の熱意が感じられますので、特に怪しいものではないですが、実際に雑誌を購入して「これは無いんじゃない」と残念なことが起きてしまいました。
健康雑誌の後半って健康食品の広告のオンパレードであるのは、まあしようがないとしても「金運グッズ」も多量に掲載されています。このような広告を載せないでも雑誌も売れていますし、健康グッズの広告も掲載されているのですから経営は順調と思えます。「見るだけで大富豪になる絵」等の広告が怪しげ度を急上昇させ、雑誌の記事自体の信用度を落としている気がするのは私だけでしょうか?