各家庭に配布される布製マスクの効果と目的を検証しました。

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インパクト強すぎたガーゼマスク姿の安倍首相。マスク不足解消のために、日本国政府は布製マスクを全世帯に2枚ずつ配布しアベノミクスに因んでアベノマスクと呼ばれています。

この布製のアベノマスクは感染症対策になり得るのか?使用目的について医師が解説します。

インパクト強すぎ、ガーゼマスク姿の安倍首相

私は多くの科学的医学的根拠によってマスクのウイルス感染予防効果は期待できないよ、と主張していました。

今回の新型ウイルスによるヘンテコな感染症が世界的に拡大することにともないマスク不足が深刻化しています。

マスク不足を解消するために、日本国政府は布製マスクを全世帯に2枚ずつ配布する予定です。

アベノマスク

毎日新聞|首相「全世帯に布製マスク2枚配布」 感染者数多い都道府県から順次郵送(https://mainichi.jp/graphs/20200401/hpj/00m/010/001000g/1)

他の閣僚はサージカルマスク風のものか、ドラッグストアで購入できる不織布を使ったものが目立つ中、安倍首相がガーゼマスクを着用して、国会に登場したことに驚かれた人も多いと思います。

今回の新型コロナ騒動の初期にこのようなブログを書きました。

【要注意!】手作り布マスクはウイルス感染リスクが高まる可能性あり。

【要注意!】手作り布マスクはウイルス感染リスクが高まる可能性あり。

あくまで、マスクによって自分を感染から守る効果は期待できないことを述べたものですが、タイトルだけを見て、内容を読まないで反応する人々から、「日本政府がマスクを配るんですよ、それも布製マスクじゃ無いですか、キーッ」との抗議のメールやお電話をいただく可能性があります。

私が何回も伝えているのは、マスクは感染した人が感染を拡大させないための効果はあるけど、自分自身を感染から守る効果は期待できない、です。

そういえば医療機関としては絶対的に必要としているN95マスク不足が深刻化しています。

それなのに、こんな人がいるのです(2020年4月16日追記)

N95マスク不足を告発しながら、N95マスクを無駄使いする医療ジャーナリスト。

N95マスク不足を告発しながら、N95マスクを無駄使いする医療ジャーナリスト。

非常に迷惑な医療ジャーナリストさんだと思います。

政府が国民にマスクを配布(一世帯に2枚でどう対応すればいいんだ?)することの意義は、今回の新型コロナは無症状であっても、ひょっとして感染している可能性があるので、そのような無症状感染者から健常者へウイルスをうつすことを防ぐことが目的であると考えられます。

新型コロナのワクチン等による予防法や治療法が早期に確立されることが待たれます。じゃないと、こんな信じられない医師がでてきてしまいます。

BCGを新型コロナ予防のために注射⁉非常識にもほどがある(怒)

BCGを新型コロナ予防のために注射⁉非常識にもほどがある(怒)

BCGをスタンプ式でなく直接注射することを絶対に避けるべきことは医学的な常識なのに。

安倍首相が使用していたガーゼマスクはこれだと予想されます

全国的なマスク不足の解消を目指して、日本政府は新型コロナ感染が拡大するために、マスクを緊急増をマスク製造会社に要請したことを受け、興和はこのようなプレスリリースを出しています。

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興和株式会社 ガーゼマスクの取り組みについて(https://www.kowa.co.jp/news/2020/press200305.pdf)

前掲のブログで布マスクは医療用マスクと比較した場合、、ウイルス感染する防ぐ効果は低く、逆にリスクが高いと述べた根拠となる医学論文はベトナムの14の病院のデータを解析した研究です。

私は日本の医療機関でガーゼマスクを使用している医療関係者を目撃した記憶は無いのですが、海外では使用されていたのですね。マスクに期待できる効果は、繰り返しますが、自分自身を感染から守ることではなく、自分が第三者に感染させるリスクを下げることです。

今回の新型コロナ感染症で問題となっているのが、感染しているのに無症状である人たちによって、感染拡大が起きている可能性です。

無症状なのにウイルスを撒き散らしていることを前提とすると、「日本人は風邪の季節になると、なぜかみんながマスクをする不思議な習慣がある」と世界中から冷ややかな目で見られていた状況も変わる可能性があります。

CDCがマスク着用を勧告する可能性も出てきた?

日本の感染症対策が十分では無いことを伝えるときに、よく出てくる言葉で「CDC」があります。CDCは正式名称はCenters for Disease Control and Preventionであり、日本語だと米国疾病管理予防センターと訳されることが多いです。

日本にも国立感染症研究所などの感染症対策施設はあるのですが、CDCは予算も人員数も桁違いであり、その時期の政権に忖度しないで自国民に対して科学的医学的に正しい情報を伝える独立性をもった機関として認識されています。

CDCは以前からマスクに感染症予防効果は無いことを強く主張していました。今回の新型コロナの感染拡大に対しても、マスクは無意味だよ、と述べていました。

しかし、感染者数・死亡者数が中国を大きく上回る状況になったため、マスクの効果を見直す動きがあります。

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米国は感染者数では世界一、死亡者数でも世界で3番目に多くなっています。

ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)にこのような記事が掲載されています。

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https://www.nytimes.com/2020/03/31/

医療用マスクでないマスクの普及が新型コロナの感染拡大を減少させる効果があるために、CDCが一般の方がマスクを着用することを推奨するガイドラインを作成する可能性があることを伝えています。

この報道といままでのCDCの考え方と私の知見を合わせて整理してみます。

  • マスク着用によって自分を感染から守る効果は期待できない。
  • N95という医療従事者が使用する特殊なマスクはウイルス感染から自分自身を守ることが可能である。
  • マスクの効果は感染者がウイルスを含む飛沫を撒き散らすことを防ぐ効果はある。
  • 日本や香港や台湾のようにマスクをすることによって、他の国のような感染の拡大が抑制されている可能性がある。
  • 一般の方がマスクを通常より使用することによって、医療従事者が使用するマスクの不足が起きている可能性がある。

ざっくりですが、こんな感じになります。

医療従事者以外は布製マスク・ガーゼマスクを使用するべき?

インフルエンザ流行の季節になると、いままでは気軽にインフルエンザ診断キットが医療機関で使用されてきました。今回の新型コロナ感染拡大を受けて、発熱等を主訴とする患者さんに対してインフルエンザ診断キットを使用することは控えた方が良い、との通達が医療関係者に出ています。

理由としてはインフルエンザ診断キットを使用して検査する時も、対象となった患者さんが新型コロナに感染している可能性があるからです。

新型コロナに感染していることも考えに入れて、鼻や喉に綿棒を差し込む検査をする時にはPPE(Personal Protective Equipmentの略、日本語だと個人防護具)が必要となるからです。

日本の医療機関ではN95を含むPPEが現時点では絶対的に不足しています(世界中の医療機関も同じ状況)。有名モデルが自分自身を新型コロナ感染から守るために、このような姿で飛行場に現れたことがありました。

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MTV|これがモデルの本気!ナオミ・キャンベル、完全防護服で飛行機に搭乗 (http://www.mtvjapan.com/news/52nldl/200313-02)

大変申し訳ないのですが、いくらセレブであっても非医療従事者がこのようにPPEを使用されると、医療機関で必要とされる限られた資源が枯渇します。

CDCのウェブサイトでは新型コロナおよびヘンテコな感染症に関して、すでにこのような見解を述べていました。

マスクの効果

病気出会った場合はマスクを着用してね(これは以前から述べられています)、病気をしている人の面倒をみるときもマスクを着用してね(病気の人、たとえば小さい子供とかはマスクを着用できないこともありますからね)、そしてこのような文言が追記されたようです(すいません、以前からこの文言が書かれていたかもしれません。いまあらためてCDCのウェブサイトを見て、気がつきました)。

Note: During a public health emergency, facemasks may be reserved for healthcare workers. You may need to improvise a facemask using a scarf or bandana.

医療従事者用のマスクを確保するために、スカーフやバンダナをマスク代わりに使用してください。

かなりインパクトのある安倍首相のガーゼマスク姿が多くのメディアによって報道されました。繰り返しますが、一般の方が周囲の人々に対して新型コロナをうつしてしまうことをガーゼマスクであろうが、布マスクであろうが、手作りマスクであろうが防ぐ効果はあったとしても、ご自身を守る効果はかなり限定的です。

しかし、無症状であっても感染していて、他人にうつす可能性があるためにマスクを着用することは今後世界中で推奨されると予想されます。プロ仕様であるN95やサージカルマスクのご使用はご遠慮いただき、政府が配布するガーゼマスクを医療従事者でない方々には使用していただきたいと思います。

つまり、

一般の人が1億枚の布マスク・ガーゼマスクを使用 → 1億枚分のマスクが市場に出回る → 1億枚のマスクが医療機関に供給される

といった流れの、ところてん方式で医療機関のマスク不足が解消されることを目指した方策だと考えられます。

おまけ

マスク着用は、症状がなくとも感染している可能性があるので、人にうつさないためのもの。ご自身の身を守るためのものではありません。3密を避ける+とにかく手洗いです。医療向けのマスクは医療従事者に行き渡るようご協力お願いします。

しかし、一世帯に配られるガーゼマスクはたったの2枚とは⋯。

2020年4月4日追記よろしければこれもお読みください。

緊急事態宣言と医療崩壊の深い関係について説明します。

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マスク不足が医療崩壊の1つの原因にもなりかねません。

【マスクのまとめ】今でも勘違いされている目的と効果

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著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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