「食べない生き方」で生きられるのかなぁ?少食は世界を救う!

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先日の年末年始のだらしのない生活で体重が4キロ増えてしまった私が「こりゃ、いかん❗」と思い体重を調整しようと思った日の新聞の朝刊が様々な方法の「ダイエット系」の本でいっぱい埋め尽くされていて、参考にする本を選ぶのに「頭が都知事状態」になったことは「頭の中が混乱⋯医学は果たして科学なのか?」でブログに記しました。

田母神さんと宇都宮さんの中から投票するという究極の選択を「頭の中が都知事選状態」を表現し、ダイエット本の選択することとに擬して書いたところ極々一部の方に非常に受けたのでもう一回書いてみました(ここんところマギー司郎風)。

一日50キロカロリーで生活している人がいる⁉

私がとりあえず選択した本は都知事選も舛添さんの立候補が決まったように選択の余地がでた、というか気持ちに余裕がでたため「食べない生き方 森美智代著」を購入したところ、椅子から転げ落ちました⋯本当に転げ落ちたのです。新聞の広告に載っていた題名と著作者の写真(私には60歳代に見えたんだけど)から「おばあちゃんの知恵」的本と勝手に思っていたら作者は私よりお若い51歳であり、現在一日50kcalの青汁のみで生活しているとのこと。一日50kcalですよ!500kcalの間違いではありません。

食べない生き方で世界を救う⁉

著者の師である甲田光雄氏が「少食は世界を救う」と唱えていて、世界中の人が少食になればアフリカ等の飢餓問題が解決できるとのこと。確かに通常成人が必要とされているカロリーは1600から2000kcalですので、著者のように「一日50kcalで通常より健康な生活」が送れるのなら、私たちが必要以上に摂取している飽食の分を世界中に分配できれば、一人当たりの必要カロリーの最低でも30人分以上にはなりますので、今後起こることが予想され、現実に起こっている食料危機は確実に防げることになります。

出ました!「波動」と「気のパワー」と「オーラ」⋯不食の理論⁉

この本の出版社があのSマーク出版であり、師である甲田光雄氏の著作もオカルト専門出版社からでていることから、当然予想された事態ではですがやっぱり出てきました、疑似科学。この本は飽食をいさめて健康的な生活を薦めており、簡単な体操も紹介されていて「ちょっと良さそう」と思う部分もありますが、途中から啓蒙本化していき最終的には疑似科学オンパレードになっていくという、まさに「トンデモ本」の世界に突入していくのです。

トンデモ本は「と学会」という博覧強記の知性あふれる方々によって書かれた疑似科学を温かい目でdisる、一連の著作物のことで私の愛読書でもあります。「食べない生き方」は医学的・科学的に怪しげな記述が多く含まれていますが、なんせ鍼灸を専門とされる中年のおばさま(私は最初はおばあちゃんだと思っていてスイマセンでした)が書かれたものなので、あんまり重箱の隅的な読み方はいかん、と読み進めた私って偉い(自画自賛)。

しかし、波動とかのオカルト御用達用語と疑似科学理論がこの本の基本スタンスであったことに対して鷹揚に振る舞う大人の対応も限界に達してきました。

不食はもちろん、少食で世界は救えないぞ!

以前ブログで「ケトジェニック・ダイエットで肉だけ食べて痩せて、世界を救う計画を立てたぞ!」という妄想を書いて、多くの方に失笑された私ですが、飢餓問題について少し勉強しました。

成人に達した方が低カロリー食を行い、明らかに肥満を引き起こす余分なカロリーを栄養不足で飢餓状態の方にまわしたら食料問題の一部は解決することは可能になり、餓えが原因で亡くなってしまう方を救うことができます。

でも、そんな一日50kcalで安全な妊娠・出産って可能なんでしょうか?この本の記載がすべて事実であり、多くの方が50kcalとはいかなくても500kcalで生活すれば、現時点で地球上に存在している人は飢餓に悩まされる可能性は低くなるかもしれませんが、安全な出産が不可能なら最終的に人類は滅亡してしまいます。

各国の食材摂取カロリー

http://www.chikyumura.org/よりお借りしました

経済活動を考えた場合、日本人全体が超少食を行なっていけば当然、農家も減産を行なわなければいけなくなりますし、食料品業界も大打撃を受けることなってしまいます。アフリカなどの飢餓問題は単に食料が足りないといった簡単な理由ではなく、いくら外国が食料を援助しても必要な人に行き渡らない流通問題、インフラの問題、そして政治体制が本当の理由なんではないでしょうか?

不安定な政治体制による戦争・内戦問題が解決されないかぎり飢餓の問題は解決しないと私は考えますが、いかがでしょうか。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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