偏頭痛って最近よく聞きませんか?偏頭痛は片頭痛とも書くことがありますが、イメージとしては頭の片方が痛みを感じてその特徴としては「ズキンズキン」と脈の動きと一致する痛み、音に対する過敏な反応、光に対する過敏な反応など通常の「頭痛」とはかなり違った病態を示します。一般的な頭痛は「緊張性頭痛」と呼ばれていて首や後頭部さらには背中の僧帽筋の緊張によって起こるもので、単に頭痛というとこのタイプが90%くらいを占めるとされています。今回は頭痛と肥満が密接な関係にあるという話をしていきます。
肥満だと偏頭痛になる確率が1.8倍増える?
女性に多い偏頭痛
一般的に偏頭痛は女性に多いと言われていますが、下図のように確かに男性と比較して女性が占める割合が多いですし、働き盛りの30歳代の人に多いことは海外でも労働力の低下に繋がり重要な問題と考えられます。日本ではあまり問題になっていない肥満(BMI30以上)も米国では健康上の理由だけでなく、労働力の低下を引き起こしているので公衆衛生における重点課題になっています。
その当たりの関連を米国の研究者が論文にしているのを見つけました。「Episodic migraine and obesity and the influence of age, race, and sex.」(Neurology. 2013 Oct 8;81 (15) :1314-21)という題名で掲載されていました。今回の調査は18歳以上の男女を対象にアフリカ系アメリカ人および白人のデータ4700人分を検討しました。今回の目的は体重と偏頭痛の関連を調べるものでしたので、肥満度の判定にはBMIを使用して以下のように分類されます。
- BMI 18.5未満
- 低体重 BMI 18.5-24.9
- 普通体重 BMI 25.0-29.9⋯過体重
- BMI 30.0以上⋯肥満
このように分類して、体重と偏頭痛の関連性を検討しています。 その結果、肥満だと偏頭痛になる確率が1.85倍に増える ということが判りました。 低体重や過体重ではリスクの上昇は認められませんでした。 偏頭痛の人種差は? 女性に絞って今回のデータを分析すると白人の女性はアフリカ系アメリカ人より2倍近く偏頭痛を起こすことが判りましたが、日本人を含むアジア人は今回の調査では対象となっていませんでしたので、日本人が白人とアフリカ系アメリカ人の中間に位置するのか、または全く違った結果がでるのかは不明です。偏頭痛は月経との関連性も示されていますので、女性ホルモンがなにかの影響を及ぼしているという考え方が一般的ですが、それならなんで男性でも発作が起きるのか?という点などまだまだ解明しなくてはいけない問題を多く含んでいます。
偏頭痛の特徴
偏頭痛に対しては国内では「日本頭痛学会」という学会があり、「国際頭痛分類」というものを日本語に訳して使用されています。内容はかなり詳細に分類されています⋯と、いうことは一般の方には判りにくい内容になっていますので、ざっくり判り易くしてみると
- 発作的にズキンズキンと頭が痛む
- 発作の起こる頻度は月に1−2回、多くて週に1−2回
- 頭痛に伴い吐き気が起こる ・頭痛に伴って音や光に過敏になる
- 発作が起こると部屋を暗くして、じっとうずくまる
- 発作前に目がチカチカすることがある
このような特徴があると「偏頭痛」の疑いがでます。
頭痛で部屋に閉じこもっている人を誤解してはいけません
頭が痛い、なんて奥様やお嬢さんが言って部屋に閉じこもっていると「頭が痛いくらいで部屋に閉じこもって!」とか「ダラダラしているから余計頭が痛くなるんだよ!」なんて心ないことを言っているオッサンいませんか?前述したグラフから判るようにオッサンはあまり罹らない病気が偏頭痛なんです。特に私のブログを読んでくれている方は40歳以上のオッサンが多いので(もっと女性に読んでもらいたいのですが⋯泣)、周囲に偏頭痛の方がいらしたら医療機関を受診することを薦めてください、現在では多くの偏頭痛に効果がある薬がでています。そのとき絶対に知ったかぶりで「肥満の人は偏頭痛を起こし易いんだよね」なんて言わないでくださいよ。そんな豆知識を披露してしまうところがオッサンが嫌われる大きな原因なんですから(私が証明です)。