りんごダイエットは効果あるかもしれないし、エイジングケアも期待できる!

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今まで様々な非科学的なダイエット法に対して反論を行なってきた私ですが、芸風が変わったというかキャラ変というか、リンゴについて調べていまして、まさに「目からウロコ」状態なんです。

様々なダイエット法をイジメてきた私ですが,リンゴは興味津々

「リンゴダイエット」などの、いわゆる一つのものばっかり食べる「単品ダイエット」はもちろん大反対というか体に言い訳ありません。特にサプリで簡単に痩せるなんてことは先日問題となった「夜スリムトマ美ちゃん」が措置命令がでたことでも判るようにかなり怪しげであることは間違いありません。ご興味のある方は「絶対痩せる方法?あるわけないです!代表的な治療方法4つを検討してみました。」をご覧頂けると幸いに存じます。

インチキりんごダイエット

ダイエットを単に「痩身」という意味で世界中で解釈されていますが、元々の意味である「健康に導く食餌療法」として捉えた場合、リンゴはかなり優れた食べ物であると考えられます。さらに他の食事との組み合わせ方に工夫をこらせば「減量を目的とした食餌療法」にもなる可能性が大です。リンゴダイエットってかなり前にブームになったらしいのですが、改めて効果とメカニズムを検証してみます。(今は、「朝リンゴダイエット」というのが流行だしているみたいですね)

一日一個のリンゴで医者知らず、ということわざがあります

これは実は英語のことわざにあるんです。「An apple a day keeps the doctor away.」といって発祥は英国またはドイツと言われています。あくまで予想ですが、中世から近代にかけてヨーロッパの人々は餓えとの戦いの歴史でしたし、衛生環境も下手すると日本の方が優れていたくらいなのです。もちろん上流階級はそれこそ王侯貴族のような生活(あっ、当たり前か。本当の王侯貴族だ)ですが、庶民は病気に罹っても医師の診察を受けるなんてことは不可能で、身の回りにある食べ物で工夫したり、おまじない系で健康の回復をはかっていました。

一日一個のりんごで医者知らず

そのような時代からの謂れですので「おばあちゃんの知恵」的なものであり調べてみる価値ありと判断して、今回追求してみました。ちなみにしゃっくりの止め方は現代医療より「おばあちゃんの知恵」の方が安全で効果的であることは以前ブログ「「しゃっくりを止める方法」医学的治療VS民間療法、一発で治すことができるのは?」でご紹介しました。

気になるリンゴのカロリーと栄養

りんごって甘くて何とはなしにカロリー高そう、というイメージを私は持っていました。大きめのしっかりしたリンゴは一個あたり250グラム程度あります。カロリー表示をする場合は100グラム相当量で表記することになっていますので、だいたい半個として考えていきます。

・カロリーは54kcal⋯牛肉もも赤みで191kcal、白飯168kcalと比較しても低カロリー!
・食物繊維は1.5g⋯ご飯は玄米でも1.4g、白飯に至っては0.3g、肉は0g!
・ビタミンはAからEまで均等に含有

と非常に優れた食品と言えると思います。しかし、どうもリンゴが健康に良いとされているのはポリフェノールに秘密があるようです。

りんごのポリフェノールの効果を明らかにした論文多数あり

りんごに含まれるポリフェノールはわざわざ「apple polyphenol」と呼ばれていて「APP」英語の論文では書かれています。

りんごダイエットポリフェノール論文

Exp Anim. 2006 Jul;55 (4) :383-9.より

これはリンゴポリフェノールを与えたラットの脂肪量にどのような影響が及ぼされるか、ということを調べたものです。お茶に含まれるポリフェノールは実は食欲を抑制しているから痩せるんじゃない?という噂も検討していますが、食欲を抑制しないで脂肪を減少させる効果がリンゴにはありました。

ひょっとするとリンゴはエイジングケアも高いかも

さらに出てきました、こんな論文が!「Marie Ménard apples with high polyphenol content and a low-fat diet reduce 1,2-dimethylhydrazine-induced colon carcinogenesis in rats: effects on inflammation and apoptosis.」(Mol Nutr Food Res. 2012 Aug;56 (8) :1353-7.)。なんと低脂肪食とりんごを組み合わせて食べるとあの「アポトーシス」を促進させるというのです。

アポトーシスは細胞が死ぬことを意味しますが、腐って死ぬ壊死(necrosis)とは全く違う意味を持っているのです。人間の体で言えば健康状態を好調に保つ為に積極的に必要でなくなった細胞が死んでいく予定された細胞の死であり、遺伝子に組み込まれた新陳代謝という考え方もできます。健康に関心のある方は一度は聞いたことのある「アポトーシス」を促進する働きがリンゴにはあるようです。

りんごはアボトーシスを抑える医学論文

この論文によれば結腸がんの炎症を抑える効果があり、アポトーシスを増加させることにより強力な化学的な効果が期待できると記されています。

三日間りんごダイエットは無理っす!

今まで散々、世の中で体に良いとされていたり、痩身としてのダイエット効果がある方法を批判してきた私がこんなにリンゴを誉め称えるのは「ひょっとしてリンゴダイエットという本を書くんじゃないか」とか、「どっかの食品会社に接待されたんじゃないの」さらには「リンゴが入ったサプリでも出すんじゃないの」的に思われた方、残念でした。そんなこと一切ありません、あくまでニュートラルに「りんご」について検証した結果が此の様になっただけです。

私が言いたいのは「単品ダイエット」はあり得ないし、何かを食べるだけで簡単に痩せることなんて不可能だし、サプリを飲むだけで簡単に体重を落とすことは不可能だし、痩身効果のある薬品はそれなりに不利益もあることを声を大にして、みなさまに知っていただきたいのです。どんな食べ物だっていい点と悪い点があるのですが、良い点だけにフォーカスを充てて「なになにを食べると健康になる」とか「何々を食べて一週間で5キロダイエットに成功!」なんてあり得ないのです。いくらリンゴが体に良いと言っても一日に成人男子が必要とされる1800から2200kcalを食べるとしたら一日にリンゴだけ15から16個も食べなくてはいけないのです、私は絶対嫌だ❗ちなみに私はこれでお腹の贅肉を確実に落としました。「ライポソニックス」という脂肪を破壊するマシーンです(広告してしまった)。

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なお、当ブログは果物業界や果物屋さんからは、研究費・協賛費等は頂いておりませんし、利害関係もないことをここに記します(これは論文を書くとき製薬会社や利害関係のある業界と関係していませんよ、と明記するルールがありますので、それを真似てみました)。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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