NHKの「あさイチ」で先日「女のポジティブひとり死」と題して朝っぱらから深刻な問題をテーマにあげていました。
たまたまTVを見ていた私ですが、結婚をしない「おひとり様」系の話なんだろうと思っていた私の予想とかなりかけ離れたものだったのです。女性の方が長生きなので当然、核家族化が進んだ現代では夫に看取られる確率は下がるんだから当然じゃん的に思っていたのですが内容は違っていました。家族がいても迷惑をかけないで死んでいこう!という趣旨でした。
朝からネガティブな話をポジティブにこなしてしまうNHK「あさイチ」
時間的に圧倒的に女性が視聴している時間帯に話題性のありそうなテーマを打ち上げる(過去にはこんな事NHKでやっていいの?例えば「セックスレス」とか「性風俗で働く母親たち」なんていうのをやっておりました)NHKらしからぬ番組作りには感服いたします。今回その中で取り上げていたのは都内で80歳代の女性が自宅で亡くなっていて、発見されたのは死後数ヶ月後とのことがトップに挙げられていました。
番組によりますと、65歳以上で女性の一人暮らしはなんと5人に一人とのこと。つまり、65歳以上になると既婚・未婚を問わず20%の女性が一人暮らしという事になります。
さらに番組独自の調査によると将来的にだれにも看取られないで一人で死んでいくと考える女性が70%もいるそうです。そのためか人生の終わりを迎えるための活動を「終活」と呼ぶそうですが、そんな言葉本当にはやっているのかという点が「あさイチ」らしいといえば言えます。
その活動は40歳代になったら始めましょう!が今回の番組の大きなテーマだったようです。
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/2013/11/18/01.htmlより
晩年は女性の方が不自由な老後
ここで気になる話があります。人口の超高齢化によって死亡前まで元気に過ごせる可能性は女性の方が少ないという調査結果がJAMAに掲載されていました。
これによりますと、死亡年齢が高齢になればなるほど最晩年の二年間は ・着替え ・入浴 ・食事 ・ベッドから起き上がる ・室内歩行 ・トイレ のどれかに支障を及ぼす障害を起こしてしまう可能性が大きくなるとの報告です。当たり前と言えば当たり前の結果なんですが、この調査を詳しく読み込んでいくと 障害発生率は 女性対男性だと32対21の比率となり、女性の方が障害発生率が高くなるという結果が記されていました。
ちなみにこの生活に影響を及ぼす障害の発生率は高齢になればなるほど高くなるということも判明しました。
・50-69歳で死亡した場合 14%
・70-79歳で死亡した場合 21%
・80-89歳で死亡した場合 32%
・90歳以上 50%
となっています。
高齢になればなるほど晩年の2年間は生活に不自由を感じながら過ごさないといけない!なんてこの論文は大発見のように書いてありますが、当然といえば当然のような気がするのは私だけでしょうか?
夫を失った女性の方が長生きするような気がするんですが⋯
話を元の戻して女性の「ひとり死」まあ言って見れば「孤独死」なんですが、日本人の平均寿命は82.59歳ですが、男女別で考えると女性は86.41歳、男性は79.94歳なので約7歳強の差がもともとついています。結婚した場合を考えると初婚年齢は女性は28.8歳、男性は30.5歳となっています。
内閣府「平成24年版子ども・子育て白書」より
ということは
女性は結婚してから死ぬまで86.41-28.8=57.61年
男性は79.94-30.5=49.44年
男女の差は57.61-49.44=8.17年が導きだされます。
女性は平均的に結婚をして、平均的に天寿を全うした場合、約8年間は一人暮らしをする事になるという計算です。この数字が予想より短いと感じるか長いと感じるかはその方の取り方でしょうが、実際に診療をしているとご主人を先に無くした女性は元気に遊び回っていて、奥様を先に無くした男性はどんどこ弱っていく傾向はどの医療関係者もイメージとして持っているように思いますが⋯。ご主人を亡くしたあとに自由気ままに遊ぶためにも女性はよりいっそう日々の健康作りに励んでいただき、へそくり(古い言葉か?)を貯め込むか、タップリ生命保険を残してもらいましょう!
姉さん女房の薦め?
ここで提案です。女性が男性より8.17歳年上で結婚した場合は、夫婦揃って天寿を全うすることが可能なんですが、なんで人間って不思議と男性が女性より年上のことが多いのか?謎は深まるばかりです。姉さん女房であれば「女のポジティブひとり死」とか、なんとなく強がったイメージが伴う考え方もしなくてもいいんじゃないかな、なんて思ってしまいました。
このように実際「姉さん女房」は増加傾向にあるのです。となると少し古い言葉になってしまっていますが、「肉食系女子」が若い男性を獲物として結婚するというのは、生存本能が男性より強いとされている女性の野性的な感による戦略なのかもしれません。