大人になると腸の中に老廃物が溜まって、それが肥満や生活習慣病・アレルギーの原因になるという話は多くの方は聞いたことがある、なんとなく信じていらっしゃることでしょう。大ブームの腸活・腸活ダイエットについて医師がマジメに考察します。腸活に医学的根拠はあるのでしょうか?
本記事の内容
腸活ダイエットの仕組みとその効果は医学的にはかなりヘンテコ
「腸活」という言葉が書籍でもネット上でも溢れかえっていています。
とにかく今、「腸活」が大ブームらしいのですが、そもそも「腸活」とは何を持って定義されているのか、と気になって気になって、いろいろと調べてみたわけであります。
本当に腸活でダイエットができるのか?という疑問
ちなみにamazonで「腸活」で検索したら「腸活革命」というすごいネーミングの商品までありました(苦笑)。
腸活の効果・効能として免疫力がアップするとか、病気を治すとか、病気の予防とかがあるそうですが、今回は腸活ダイエット、つまり腸活によって体重減少効果、痩せることができるかを検証したいと思います。
腸活ダイエットのためには、あれを食べろ、これは食べるな、お腹を温めろ、などなど様々な流派が存在しているようです。
今回はこの記事を代表的な腸活ダイエット指南書として、俎上に載せて話をすすめさせていただきます。
腸活の定義は腸内環境を整えることらしいけど⋯
のっけから腸活の定義をこの記事は教えてくれています。腸活とは腸内の環境を整えることであり、その結果として免疫機能を調整してくれて、神経伝達物質を合成してくれるそうです。
免疫機能を調整して、神経伝達物質が合成されたとしても、どうして腸活によってダイエットができるのかは、私の医学知識では理解不能です。
確かにこのブログのお題であった「グルカゴン様ペプチド-1(glucagon-like peptide-1 略してGLP-1)」はは下部消化管の腸内分泌細胞には関連はあります。
でも、腸活をすることによってGLP-1生産が促進されるとは思えません。
腸活をすることで、美肌、見た目の若々しさ、ダイエット効果、アレルギーや風邪の予防&改善、メンタル面の健康、睡眠改善など、健康にも美容にも嬉しいメリットがたくさんあるのです。
腸活の効果としてはこのように記載されていますが、今回は腸活によるダイエット効果の検証ですから、免疫機能の調整とか神経伝達物質の合成に関しては触れないで話を進めます。
腸活によって得られる効果としてがダイエットが可能であることをこの記事は述べているようにしか読解できないのです。
腸活によってウンコがスッキリ出ることによって、本当にダイエット効果が現れるのか、甚だ疑問です。そんな疑問を残しながら読み進めていきます。
水を飲んでも、温かい汁物を飲んで腸活してダイエット効果があるのか不明
腸活のやり方について
起きたらすぐにコップ1杯分の水を勢いよく飲みましょう。これだけで、腸が刺激されて活発化されます。便秘の原因のひとつ「水分不足」も解消します。
と書かれています。
この腸活方法は胃・結腸反射を促進して大腸の蠕動運動を促進させる効果を狙ってのことだと思われます。でも、これって単純にウンコをスッキリ出す効果だけであって、なぜダイエットになるのか、まだ私には理解できません。
お腹を冷たい水で刺激して胃・結腸反射を促すのは医学的に認められている現象です。でも、この記載に続いて以下のように書かれています。
野菜たっぷりの温かい汁物は〝腸温活〟にもなるのでおすすめです。
冷やしたり温めたり忙しい腸活ですが、これは野菜の繊維質によって排便を促すための行動だと思われます。
ってことはやっぱり腸活でダイエットはウンコをしっかり出しましょうということなるのかな。
さらに発酵食品と食物繊維を積極的に食べることを薦めています。となると、先ほどの野菜たっぷりの温かい汁物はお腹を温める効果を狙ったからなんでしょうか?
医師によって言うことが違う❗とのお叱りの言葉を浴びせられることがあるようですが、この記事を書いた人は「同じ人なのに、数行のうちの違うこと言っている」と思われちゃうのでは、と余計な心配をしてしまいます。
朝起きて水を飲む、温かい汁物を食べる、乳酸菌と食物繊維を摂取する、この3つがダイエット効果をはっきするのは、朝のスッキリ快便で排出された重さだけだと思うのですけど⋯。
腸活では避けるべき食材もあるようですが、これも疑問だらけ
記事は腸に良いものを摂取することも腸活の1つであると述べています。
腸活は「腸に悪いものを入れない」ことも大事。例えば小麦粉などに含まれるグルテン。このグルテンは腸に炎症を起こし、バリア機能を破壊、リーキーガット(腸漏れ症候群)を引き起こしやすくなってしまいます。
あのさー、「リーキーガット」が出てきてしまった時点で多くの場合というかほとんどの場合というか、間違いなくというか、トンデモ認定なんだよね〜。
リーキーガットに関して確かに医学論文は存在しますが、真っ当な医師、特に消化器を専門としている医師は間違いなく「What’s リーキーガット」なのです(この言い回し、私が尊敬する消化器外科の教授が実際に使った言葉)。
リーキーガットは「leaky gut」のことであり、腸から漏れるという意味の真っ当な医学用語としてはかなり微妙な存在です。病気の定義も病気の病態も明らかではないですから、治療法も確立していませんし、そもそもそのような現象が実際に人体で起きているのさえ不明です。
リーキーガットに関しては、「お前が勉強不足なだけであって、海外では常識だよ」とマウントされた経験があります。
海外でもリーキーガットだから、ああしろこうしろ、ってサイトは存在します。
少なくとも英国の厚生労働省的な存在である National Health Service(略してNHS)はこのような見解を表明しています。
リーキーガットは一部の医療従事者(多くは代替医療方面)が主張した病態であり、腸が漏れやすい状態であるとの理論を支持する証拠は現時点でほとんどない、と書かれています。
腸活によってお通じをよくしてダイエット(まあ、ウンコの重量のみ)は多めに見ても、ありもしない病態や病名のために腸活を行ってどんな意味があるのでしょうか?
記事中にグルテンの弊害が記載されています。セリアック病などの場合は確かにグルテンを含む食材は避けるべきですが。
普通の人が腸活のためになんでグルテンフリー生活を送らないといけないのか意味不明です。
グルテンフリー(小麦粉を抜く)にすることで腸内環境が整い、便秘改善、デトックス効果、なんとなく不調などの解消が見込めます。
だははっ、やっぱり出ました、「デトックス」。これもトンデモを見分けるポイントの用語ですよね。
デトックスとお腹ぽっこりに関しては上記のブログを参照してください。
腸に悪いものを入れないで腸活しても、結局のところは便通をスッキリさせて排便した量のみのダイエット効果が得られるだけのようです。
結局のところ
腸活してダイエットは排便をスッキリさせて、その重量だけダイエット
ということになるようです。スッキリさせても次に食事したらその分だけすぐに体重が増えちゃうのでは、とこの記事を書いた人は自問自答しなかったのか不思議でなりません。
この腸活でダイエット記事はこの後もいろいろな食材が紹介され、その調理方法も紹介しているけど、特定の商品へ誘導する広告としか思えないので放置しておきます。
最後の締めも私がこの腸活ダイエットから知ることができた、その効果と効能の解釈が間違っていないことを再確認できたことは、長ったらしい記事を読み進めた努力を報いてくれました。
夕食後にヨーグルトを食べることで、夜間に善玉菌が働いて腸内が活性化。老廃物や有害物質を減らしてくれるなど、太りにくい体質作りに役立つのです。
やっぱり快便になってウンコの重さだけダイエット効果が現れるのが腸活ダイエットだったようです。
こんな方法もありますので、ご興味のある方はどーぞ。