手相占いの信じて、運の良い手相を作るなんて正気の沙汰じゃないと思われる方が大半だと思いますが、世の中にはホクロ占いなるものがあるそうです。
年齢と共に増えがちなホクロ。
五本木クリニックにホクロを取るために来院される方は多いのですが、ホクロを取った後に運勢が良くなったのかどうか院長としてはちょっと気になったので、研究発表を行います。
本記事の内容
ほくろ占いで運勢・運命が変わるか?の症例研究発表です
1:私の運勢の変化
私のクリニックは炭酸ガスレーザーを最初に導入しました。私自身も小鼻のほくろを取り除きました。当院が皮膚科・泌尿器科の他に美容皮膚科を掲げる第一歩となったのです。つまり、小鼻のほくろを取ろうとしたことで当院の方向に多様性が生まれたのです、って少し大げさ。ちなみに「小鼻のほくろ」はほくろ占いによれば「金運に恵まれる」そうです。レーザーってどんどん新機種がでますので、それを次から次へと導入しないといけなくなり、小鼻のホクロを取ったことにより、システム金融にはまったみたいに現在でも買い続けて金運は去っていきましたので、「ほくろ占い」は当たっています。
ちなみにほくろの治療って患者さんは楽チンですが、医師に取っては結構テクニックが要求されます。「ホクロとはレーザーで簡単に取れるか?」を参照ください。
2:本当に人生が変わった女性の話
以前から鼻の下に目立つほくろがいくつかありました。子供の時は「鼻くそがついている」と揶揄われ、どうしても人の目線が自分のほくろを見ているような気がしてついつい俯き加減になってしまっていたそうです。。かなり大きなほくろでしたので一回の治療では無理があるので、数回にわけて取り除きました。たった一つのほくろを取るだけで自分の人生がかわったとおっしゃっていたのですが、ほくろを取って10年近く経つのですが、未だに毎年年賀状をクリニックに送ってくださってどれだけ楽しい生活を送れているか報告してくれます。「ほくろ占い」によれば鼻の下のほくろは難産で双子を生むそうですが、現在その方はお子さんは二人いましたが双子ではないです。ですからホクロ占いははずれです。
3:顔中のほくろを取ったけど一個だけ残した人の話
中年の女性で無数のほくろがありました。お小遣いの範囲で少しずつレーザーで消していき、おでこの真ん中のほくろだけ残しました。そのほくろは占いによれば残した方がいいと言われたとのことで一個だけ残しました。おでこの真ん中のほくろは「ビジネスで成功」とか「自滅か大成功」タイプとのことです。他に運勢に影響を与えるほくろをすべて取り除いたのですから、この方の人生に影響を及ぼすのは「おでこの真ん中のほくろ」だけのはずです。その後その方は少なくともビジネスで成功もしていませんし、自滅もしていない良い3人のお孫さんのおばあちゃんです。この症例では「ほくろ占い」は全くの大外れでした。
手術でほくろを取る、取らないはどこに相談すればいいか?
1:ほくろ占いの先生に相談した場合
ほくろ占いは私の経験上、当たる当たらないに関しては他の占いと大差はないと思います。中には手相を変えて運勢を左右しよう、なんて変てこなことをする方もいるくらいです。悪い運勢を変える為にホクロを取ることは運勢がよくなる可能性もありますし、少なくとも将来にわたって黒色腫になる運命を取り除くことができますので、取った方が良いです。
2:医師に相談した場合でも確かに人生かわります、寿命だけど
ダーマスコピーという診断機器を使用すればそれが悪性のものか良性のものかは簡単に判断が付きます。悪性の疑いがある場合は「皮膚腫瘍」として病気として取り除きますので、保険適用となります。明らかに良性のものであれば「美容的治療」ですので保険外の治療となってしまいます。当院では良性のものであれば、「取っても取らなくても見た目の問題ですから」とお伝えすることが多いので、気になるならホクロ占いを参考にしてもいいかもしれませんね?!
3:どこにも相談しないで、ほったらかしにした場合
ほったらかしにした場合、万が一悪性のものである可能性もありますから皮膚癌になる可能性を残します。気になったら一度診断を受けるべきだと思います。もちろんひょっとしたら変わるかも知れない運勢も変化しませんよ?!
ほくろは気になったら医療機関を受診しましょう!取るか取らないかはまず診察してからで
理由1:日本では悪性黒色種は10万人に2人くらいの発症率です
日本人はもともと悪性黒色腫の発症頻度は白人と比較して少なめですし、紫外線の量も赤道付近の国々よりかなり少ないために、ホクロを見つけたら取り敢えず取り除くというオーストラリアなどど比較すること自体が無意味です。有名人やその関係者が「悪性黒色腫で亡くなった」「皮膚癌でなくなった」と報道されると患者さんが一気に増えますが、そのような報道は皮膚癌の啓蒙運動には貢献していますが、多くの方が良性と判断され「なんだぁ、心配したのに」といって帰られます。
理由2:高齢者と若年者のほくろ治療の違い
フランスの医師によってメラノーマ(悪性黒色種)の治療が年齢によって違っているという論文がJAMA Dermatology (2013;149:1150-1157) に掲載されていました。70歳以上になると頭頸部のメラノーマが発生しやすくなり、さらに治療を開始する時期が遅れがちになるために、広く広がる傾向が見られたとの報告です。また、病変が取りきれない症例も70歳未満では5%なのに、70歳を超えると16.8%に増加していました、とのことです。老化によっての老人性角化症と思っていたら、実は皮膚癌であるメラノーマということもありますので、高齢者ほど早期発見・早期治療が必要ですね。
理由3:足の裏のほくろは摘出するという鉄則があります
足の裏にできた黒子は直ちに切除するというのが、皮膚科では鉄則とされていました。現在ではダーマスコピーで悪性良性を見分けることが可能になっていますが、確定診断は切り取って病理検査をすることです。良性であっても将来悪性黒色腫(メラノーマ)に変化するとされていますので、足の裏にほくろがあった場合は、即医療機関を受診してください。
ほくろを取るか、取らないか迷った時は
ほくろが気になった場合は悪性の可能性があるので医療機関を受診しましょう。
簡単な検査機器で悪性か、良性かを見分けることが可能です。
良性の場合
「ほくろ占い」に従って残した方が良い運勢なら残し、摘出して明るい未来が予想されるなら取りましょう。でも将来の運勢に対する保証は医療機関は一切いたしません。
悪性が予想されるほくろは保険診療の適応ですが、明らかに良性の場合は美容的な治療になります
良性の場合は自費となりますのでお財布とそうだんしてください。
上記をほくろが気になる方は参考にしてご自分の顔をジックリ鏡でご覧ください。