いつも「民間療法の怪しさ」をブログに書いてきた私ですが、この「吃逆(医学的にはこのように呼びます)」の止め方は医師よる治療より民間療法の方が圧倒的に優れていると断言します!
今さらなんで「しゃっくり」なんだ?
「しゃっくり」が医学的には横隔膜が痙攣して引き起されることは皆さんご存知でしょうし、筋肉の不随意運動が原因、なんてことも十分ご承知だと思いますが、原因は不明の場合がほとんどです。いつの間にやら治ってしまうことが判っていても、人前では避けたい「しゃっくり」を人類は必死になって止めようと様々な手段・治療法を考案してきました(少し大げさ)。しゃっくりを実践的かつ即効的に止めるための「医療VS民間療法」を比較検討してみました。
器質的疾患の無い「しゃっくり」を今回のブログの対象としていますので、脳腫瘍や内臓の病気等がしゃっくりの原因となる場合がご心配な方は主治医にご相談ください。
大げさで実用的ではない医学的しゃっくり止め治療
「しゃっくりが止まらないんです、ヒクッツ」、英語だと「hiccups! 」という患者さんが目の前にあらわれた場合の医師の対応をご紹介します。
1:速攻性を期待する医師
しゃっくりの原因が横隔膜の痙攣にあると考えて、「この場でしゃっくりを止めることができないと医師のプライドが許さない」と考え、内蔵系の筋肉の動きを止める「抗コリン薬」を注射する場合があります。この「抗コリン薬」はお腹の痛みを止める作用があり、横隔膜は腕や足の筋肉と違って「内臓系の筋肉」と考えられますので、このアプローチは医学的に間違いではありません。しかし、この薬は泌尿器系ですとおしっこが出せなくなる「尿閉」を副作用として引き起こしますし、閉塞隅角緑内障に対しては禁忌(絶対に使用してはいけないという医学用語)です。また、腸管の動きが悪くなりがちな高齢者は腸閉塞を起こすので、できるだけ避けたい薬です。気になる効果ですが、効果のある場合もありますが、無い場合も多いです。
2:飲み薬で対応してみる医師
注射薬は思わぬ副作用が起きることがありますので、慎重な医師(自分の立場に対しても慎重)は即効性は期待できないが、せっかく来院した患者さんをガッカリさせたくないと考えた医師は多分、筋肉の緊張を抑える薬を出すと思います。腰痛の時などに処方されることが多い「筋緊張改善薬」と呼ばれるものです。でもこの薬って筋肉を緩めるものですので「ロレツが回らなくなる」「歩くとふらふらする」「脱力感がでた」なんてクレームが殺到することが予想されますので、しゃっくりごときに処方するのも考えものです。一日三回を一週間分なんて処方されても困りますよね、だってしゃっくりなんて放置していても自然と収まることがほとんどですから、この薬の効果は期待しない方がいいですね。
3:もとから原因を断とうとする医師
理論的には確かに筋肉の痙攣でしゃっくりは引き起されていますので、不随意運動を中枢系、つまり脳に影響を与えて止めてしまう作戦も考えられます。しかし、これらの薬は「向精神作用性治療薬」と呼ばれていて、一般的には精神科で使用されることが多い薬ですので、処方された時に添えて渡される「薬剤情報提供書」の注意書きを見たらほとんどの患者さんは「そこまでして、しゃっくりを止めなくていいや」と言って処方された薬はゴミ箱直行の運命をたどることが強く予想されます。ちなみにこの薬を「こむらがえり」、つまり足がつる症状の方に処方を試みたことが私も数回ありますが、薬の内容を説明したら100%の患者さんが「そこまでしなくていいです、我慢します」と回答しました。この方法は効果は期待できますが、患者さんサイドの都合により避けられることがほとんどですので実際に処方されることは無いでしょう。
4:新しい治療を試みる医師
抗痙縮薬と呼ばれるクスリを使用した治療が「新しいしゃっくり治療法」とされています。更に世界基準とさえ呼ばれています。
この論文を読んでいる勉強熱心で新しい治療法を取り入れている医師は積極的に「抗痙縮薬」を処方すると思います。この薬は脳血管性や脳性の痙性麻痺と呼ばれる筋肉が引きつれた状態の解消に使用されますが、副作用がふらつき・めまいから始まって悪心・嘔吐まで36.6%も出現します。つまり、10人中4人が何かの副作用を引き起こしてしまいますので、いくら医師が「これが新しい世界基準のしゃっくりを止める薬です」と言っても、患者さんは「なにもそこまでして、しゃっくりを止めなくても」と言って処方を遠慮する人が圧倒的多数になるのが目に見えています。しゃっくりの治療で世界基準を採用しない日本人は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加した時点で非難を受けることになりかねませんので、この論文は読まなかったことにしましょう!
5:漢方好きの医師
さすが中国4000年の歴史、しゃっくりも当然4000年前からあったでしょうから漢方薬の処方は多岐に渡っています。漢方薬やサプリメントを散々いじめてきた私ですが、ザックリ調べたところでも製剤として専門外の医師でも処方できる顆粒状になった漢方薬が5種類以上見つかりました。また周囲の医師にも聞いたところ漢方薬をしゃっくりに処方した経験がある、と答えた人も結構いました。多分、上記の1から4の治療法に疑問を持っていて、先輩医師から聞いたり医学雑誌で読んだ記憶がある漢方薬を処方した可能性も大です。漢方薬なら大きな副作用もあまり出現しないし、なんにも処方しないで患者さんに帰っていただくのも医師のプライドが許さないし、万が一しゃっくりが治らなくても死ぬわけじゃ無い的発想から苦しまぎれに処方したなんて決して思っていませんので、私。
しかし、漢方薬の中にある成分はしゃっくりを止めるのに非常に有効なんです❗
民間治療薬?
治療薬といっていいのか迷うところですが「柿のへた」はしゃっくりをほとんど確実に止めることができます❗これ本当です。おじいちゃん、おばあちゃんの知恵とでもいうのでしょうか?実戦的な医師や勉強熱心な医師はもちろん知っていますし、自分が子供の時しゃっくりが出て困った時におじいちゃん、おばあちゃんに「柿のへた」を煎じて飲まされた人も多いのではないでしょうか。
http://www.yanagidou.co.jp/よりお借りしました。でも、「柿のへた」を常備しているご家庭ってあるでしょうか?また、来院された患者さんに「柿のへたが良く効きますよ」といいながら処方箋に「柿のへた」なんて書くこともできませんし、電子カルテの処方薬、処置の欄にもそのような記載はありません(当たり前ですが⋯)。そのような状況に追い込まれた場合の医師を助けてくれる強い味方があります。処方薬では無いのですが、柿蒂湯 (シテイトウ) という薬で、一般のドラッグストアや薬局で購入することができます。成分は柿のへた・生姜・丁子ですので強い副作用は考える必要はないですし、しゃっくりに対して使用する漢方薬ですから長期に渡って蓄積される副作用も考える必要がありませんね。漢方薬というとゆっくり優しく効果がでるので、しゃっくりなんか長期に続くわけじゃ無いんで「この薬は効果無し」って判断すると思うかもしれませんが、皆様の予想に反して速攻性があります。
100%効果がある?民間療法
この方法で効果が無かった人は私は今まで経験したことがありません(赤ちゃんを除く)。「絶対に効果があります」と言いたいところなんですが、医学的発言では「絶対」は「絶対」使ってはいけない言葉とされていますので使用しません。
- 水を入れたコップを用意します。
- そのコップを口に近づけます。
- 手前ではなく、向こう側のコップのふちに唇を当てます。
- コップを加えながら、体を前に傾けて⋯
- 水をそのまま吸い込むように飲み込みます
これで100%近くの方(絶対という言葉が使いたくて使いたくてどうしようもないけど)がしゃっくりを止めることが出来ますよ!この民間治療法は医学的には口蓋垂を刺激して舌咽神経や迷走神経に影響を与えることにより、横隔膜の不随意運動による強直性痙攣を止める作用によるものと解釈できますので、ぜひ覚えておいてください。「柿のへた」は普通身の回りに常備されていることは無いと思いますので。