子供の時から胃腸が弱く、特に毎日飲酒するようになってからは食欲は無いし、常に胸焼けがするし、吐き気を伴う胃もたれもすれば、胃痛に苦しんできた私。
当然、処方薬であるマーズレンS配合顆粒、ムコスタ、マーロックス懸濁用配合顆粒、ナウゼリン、アコファイド錠、ガスター、ザンタック、タケプロン、タケキャブ錠、新しいネキシウムカプセル20まで、ありとあらゆる薬を試してみましたが、どれもこれも私の症状にはあまり効果がありませんでした。
そこで試しに市販薬である太田胃散(第二類医薬品)を服用したところ「太田胃散、ありがとう。いい薬です」と素直に言ってしまいそうなくらい効果・効能が現れ、ここ数十年間苦しめられて来た胃の症状がスッキリしてしまったのです。
本記事の内容
太田胃散「ありがとう。いい薬です」は本当なのか?
私は今まで散々と漢方薬や市販薬の効果・効能をdisってきました。一方でおばあちゃんの知恵的な民間療法はそれなりの効果があるよ、とお伝えして来たつもりです。
とか
で、漢方薬をdisっています。
これではおばあちゃんの知恵的な民間療法が効果あることについて述べています。
年末年始のついつい食べ過ぎ飲み過ぎに伴い、胃の調子が悪い時はなぜ太田胃散が効果を発揮して、西洋医学至上主義者的に思われている私が「いい薬です」と言ってしまいそうになったのか、そして気になる太田胃散の秘密と気をつけなければいけない副作用等について述べさせていただきます。
太田胃散は漢方薬では無い、との驚きの真実が明らかに(笑)
「太田胃散ってそういえば親父が飲んでいたっけ?」と思い出し、処方薬では全く効き目を感じなかった胃の様々な不調に悩まされていた私は衝動的に近所のドラッグストアで太田胃散分包を購入しました。
「まあ、市販薬だし、漢方薬だから添付文書を読む必要ないね」と全く添付文書や成分はチェックもしないで服用を開始しました(皆さんは真似しちゃダメだよ)。
胃がむかむかしたり、時々起こる胃痛の症状はあっという間に消え去りました。そこでやっと添付文書の効果・効能をチェックしてみると、飲みすぎ、胸やけ、胃部不快感、胃弱、胃もたれ、食べすぎ、胃痛、消化不良、消化促進、食欲不振、胃酸過多、胃部・腹部膨満感、はきけ(胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、悪心)、嘔吐、胸つかえ、げっぷ、胃重、となっていて胃の調子方面ならなんでもこい❗的な太田胃散。
処方薬に慣れている人間としては「なんでも治す薬なんて無いよ〜」原理主義にゆらぎが出て来ちゃいました。
そこで成分を事細かにチェックすると「健胃生薬」としてケイヒ・ウイキョウ・ニクズク・チョウジ・チンピ、ゲンチアナ、そして初めて目にする謎の成分ニガキ末、「制酸剤」としては炭酸水素ナトリウム・沈降炭酸カルシウム・炭酸マグネシウム・合成ケイ酸アルミニウム、そして「消化酵素」であるビオヂアスターゼで構成されていることがわかりました。
https://ohta-isan.co.jp/product/medicine/ohtaisanb/より
てっきり太田胃散って漢方薬じゃん、と思っていたらしっかりと胃酸を抑える成分としてい、見慣れた西洋薬の成分が含まれていたのです。
さらに日頃私が目の敵にしている「酵素」まで含まれています。
太田胃散が漢方薬では無い理由はこれだよ
酵素スムージーとか酵素ダイエットだとか、生きている酵素だとかは科学的・医学的に間違いです。この考えを改める予定は無いけど、以前からブログでお伝えしてきたことの1つとして消化酵素は医学的にも科学的にも効果がありますので、太田胃散のビオヂアスターゼの消化酵素としての効果については納得。
そういえば太田胃散の制酸剤の成分は処方薬の一部としても使われています。ということは、太田胃散って漢方薬じゃない、ってことになります。
太田胃散は漢方薬(正確には生薬)と西洋薬が合体した「いい薬です」になぜなったのかを暇にあかせて調べてみるとこのような逸話がネット上にありました。
太田胃散サイト(http://ohta-isan.co.jp/column/01.html)より。明治12年、オランダ人名医ボードウイン博士の処方を弊社の創業者 太田信義が譲り受け、製造・発売しました。その後、百三十余年もの長きにわたり、研究改良を重ねて現在に至っています。
なーんだ、漢方薬(しつこいけど 、正確には生薬)に西洋薬をトッピングしたのが太田胃散なんでね。
でもさあ、太田胃散の漢方薬成分というか、生薬成分が太田胃散の肝なんじゃないの?と素朴な疑問を持ちながら調べてみたら次のようなことがわかりました。
太田胃散の主成分って西洋で使われているスパイスじゃん
太田胃散のことを漢方薬だと解釈していた、健胃生薬成分はよくよく考えてみれば、ケイヒはシナモン、ウイキョウはフェンネル、ニクズクはナツメグ、チョウジはクローブ、チンピはみかんの皮、これらはもともとヨーロッパでスパイスとして珍重されていたものなんじゃないの?
結論として太田胃散は西洋のスパイスに西洋薬でも使用される制酸剤をトッピングした薬であって、漢方薬でもないし、西洋薬でもない明治時代に発明されたハイブリッド薬であることがわかりました。
もっと海外に輸出してもウケるんじゃないかなあ。
太田胃散の危険な副作用にご注意ください
医薬品について、近所のオバサンが語った内容より、医師である私が伝えた内容の方がエビデンスレベルとしては高いことになります。太田胃散の副作用と注意点に関して述べておきます。
健胃生薬成分と消化酵素に関しては、アレルギー症状以外は通常の服用量であれば、重篤な副作用は気にしなくても大丈夫です。
制酸剤の成分は腎機能障害があるひとは要注意。甲状腺機能障害がある人も注意が必要です。
日頃の運動不足に加えて、だらだらテレビを観まくる年末年始。さらに普段は朝は食欲がなくコーヒーと家人が作ったジュースのみ、昼食は食べたり食べなかったりの私も年末年始は家族につきあわせて朝昼晩としっかり食事をとっているので常に腹部膨満感と胸焼け。一昨年から禁酒生活を送っているのに胃の調子はあいかわらず悪いのです(お酒を飲みすぎるから胃の調子が悪くなると家族にいわれたので禁酒したのに〜)。
そんな胃の不調にお悩みの私は太田胃散を服用することによって、着々と体重が増加しています。
副作用⋯胃の調子が良いために、体重が増えます(n=1) 。
この重篤な副作用にはご注意くださいね。
あと、効果はあくまで私の個人的なものであり胃潰瘍などの重篤な疾患が無いことは内視鏡でしっかりチェックしてあります。
COI(conflict of interest)について 太田胃散とは開示すべき利益相反は全くありません。