Ⅱ型糖尿病は食事制限に加えて適度の運動をすることによって予防ができる生活習慣病の一つです。
現代病の代表的な疾患であり先進国では確実に増加傾向があります。
確実に増え続けている生活習慣病の一つ糖尿病
糖尿病が進むと糖尿病性腎症を合併していまい人工透析をしなければならなくなり、患者さんの精神的・肉体的負担は予想以上に大きなものになります。また医療費も膨大なものになり国側も必死になって糖尿病予防を国民に呼びかけています。しかし、厳格な食餌療法を取りながら、適切な運動をすることはよっぽど意志に強い方でないと継続できないことが多いのも事実です。今回英国で発表された論文で簡単な注意で運動療法より効果があるものが報告されましたので、お伝えします。
とにかく座りっぱなしが悪い
Associations of objectively measured sedentary behaviour
and physical activity with markers of cardiometabolic healthという題名でDiabetologia(2013 May;56 (5) :1012-20.)に掲載されていました。座りがちな行動様式が心血管代謝に与える影響を調べたものです。英国では中等度以上の運動を一週間に150分以上行うことが糖尿病リスクの高い人に推奨されています。
日本では厚生労働省によってこのように推奨されています
目標は1週間に23エクササイズ!
しかしこのような運動をしなくても坐位及び臥位、つまり座りっぱなしや寝転がっている時間を意識的に減らすことで糖尿病の予防につながることがわかりました。方法は2010年から2011年に2型糖尿病のリスクがあるとされた878例のデータをもとに解析されました。
結果は
・坐位時間が長っくなると血糖値が高くなる
・坐位時間が長くなるとHDLコレステロール(善玉コレステロールとされているもの)が低くなる
・坐位時間が長くなると中性脂肪が高くなる
上記のように坐位時間は糖尿病だけでなく、血管系とも密接な関連性が認められました。
この傾向は比較的若い人からお年寄りまでに、みられる可能性がありました。さらにここが大事ですが、中等度以上の運動より血糖値、コレステロール値、中性脂肪値との関連が強いことがわかりました。つまり、座りっぱなしの姿勢時間を短くすることは心血管代謝の改善に強く影響するのです。執筆者のHenson J氏は2型糖尿病の予防には運動より坐位行動に絞った指導が有効であるエビデンスが得られたと述べています。
この結果をいいように捉えると⋯
坐位は1日のうちで多くの時間を占めています。この時間を短縮するだけで、やりたくない運動をしないで済む可能性も出てきました。つまり従来のつらい糖尿病予防の手段における運動療法の位置づけが変わる可能性があるのです。
なんて都合の良いことを考えていたらHenson先生は
「糖尿病予防の150分の運動プログラムに加えて坐位時間を減らせば、糖尿病の予防により効果が高まります」
とコメントしていました。