世界水泳最終日ですが、プールの6割で大腸菌が検出されてしまいました⋯米国の話です

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猛暑が続いています。子供たちも夏休みを存分に楽しんでしますが、気分を害する報告がアメリカでありました。アメリカの疾病対策センター、略してCDCと呼ばれますが、此処が昨年全米の161の公共プールの水質を調べました。

アメリカでの検査結果とはいえ、日本でも⋯?

なんと公共プールの60%のサンプルから大腸菌が発見されました。Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR 2013:62 :385-388) に掲載されています。

Microbes_in_Pool_Filter_Backwash_as_Evidence_of_the_Need_for_Improved_Swimmer_Hygiene_—_Metro-Atlanta__Georgia__2012

緑膿菌も検出されてしまいました

今回の方法はプールのろ過装置から菌のDNAが検出されないかを調べたものです。結果は

  • 大腸菌は58%のサンプルから検出
  • 緑膿菌は59%のサンプルから検出
  • 42%のサンプルから上記両者が検出された

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大腸菌です

結構な率で菌によって汚染されていることが判明しました。幸いなことに大腸菌の中でも重篤な感染をしめすO-157は検出されませんでした。

プールにおける注意は?

プールを介した感染症があることを忘れてはいけません。プール熱や結膜炎、また小さい子供に良く見られる疾患である「水イボ」は重篤な病気とは言えませんが、治療はかなり厄介な問題になります。

塩素でプールは水質が汚染されない様にされていますが、消毒薬は決して万能ではありませんし、即効性のあるものではないことを注意しないといけません。しかし、なぜ大腸菌等でプールが汚染されていたのでしょうか?理由は簡単です。

  • プールに入っているときに「おもらし」をしてしまっている
  • 使用前に体に付着している糞便を洗い流していない
  • 汚染されたオムツをつけてプールに入っている

上記の単純な理由以外には考えにくいのです。当たり前のマナーが守られていないことによりプールの汚染は起きているのです

利用するマナーの再確認を

プールに入るときの注意書きはどの施設でも明記されていると思われますが、CDCでは以下の注意が必要と警告しています。

  • 下痢の時はプールは避ける
  • 泳ぐ前に石鹸を使用して体を洗う
  • 子供の場合は、60分ごとにトイレ休憩をとる
  • トイレ使用後、オムツ交換後は石鹸で手を洗う
  • プールに入る前に塩素濃度やPHレベルを確認する
  • プールの水を飲みこまない

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一々水質を調べてから、プールに入る人はいないと思いますが、塩素は1-3ppmで効果を発揮します。適切なPHは7.2-7.8とされています。

以前東急ハンズで水質検査キットを見かけたことがあるので、ご自分で試すのも面白いかもしれません。お子さんの夏休みの自由研究の一環として調べるのもお勧めですが、プールのスタッフに見つかった時にかなり気まずい思いをすることが予想されますので、その点はご注意ください。

せっかくの楽しい夏休みです。お互いに気持ち良く使用するためにマナーには十分注意をしましょうね!

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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